第25章 第三次世界大戦の原因
第三次世界大戦の原因の一つだと言われたのが、日本の外国人技能実習生の過労死である。
2080年あたりから、11万3579カ所で労働の法令違反があったのだ。その中でも外国人の過労死問題は増えていった。
2089年1月11日に一人の労働者が、日本の首相に向けて拳銃を発砲したのであった。ヴィンヤード公国という欧州の国の人間であった。過労死した妹の仇を討つために、24歳の青年が起こした事件であった。
幸いに、首相は肩を撃ち抜かれただけで済んだ。そして、24歳の青年は護送中に、右翼団体に殺されてしまう。これにより、日本とヴィンヤード公国の関係が悪化していく。
更に日本に住む移民は暴動を頻繁に起こす事になる。労働に対する不満は爆発したのだ。これらが関東移民学生連合会の始まりであった。いわゆる、共産主義の革命である。
日本は国民と絶対に戦争をしない約束だったので、色々と模索して解決しようとしていた。この時の日本は警察力が弱く、日本のヤクザに力を借りることになる。その当時は300人ばかりの天王洲会が中心となり、関東ヤクザが集まり大きくなっていく。
圧倒的な暴力に関東移民学生連合会も大人しくなっていった。のちに、ワン姉妹が中心になり、大きな組織に変貌していく。だから、天王洲会と関東移民学生連合会は戦後も戦う関係になるのだ。
それから、日本とヴィンヤード公国は冷戦状態になる。ちょうど、その頃にヴィンヤード公国の女王の娘が2名暗殺されてしまうのだ。これが物語を複雑にしていく……。
ヴィンヤード公国とは欧州にあり、イギリスの主権国家と同じように、女性がトップの国であった。古くから、赤毛の王女が国を何百年も治めてきたのだ。しかし、後継者である未成年の少女2人が死んでしまった。
それが2090年の2月12日である。後継者は以下の2名である。
第一皇女:ヴィンヤード=エヴァリ=ハルミ(当時15歳)
第二皇女:ヴィンヤード=エヴァリ=ナツミ(当時6歳)
第一皇女ハルミは射殺されて遺体は発見されている。その妹のナツミは納屋の火事で死んだとされているが、遺体は未だに出てこない。ロシアのニコライ二世の娘であるマリアの遺体が発見されなかったように、生きている噂が世界中に広まった。
それから、今に至るまでに偽物が沢山名乗り出ている。赤毛の多いスコットランド人、金髪を赤く染めたアメリカ人など様々である。目的は有名人になりたい、ヴィンヤード公国の金が欲しいなど様々だ。
まあ、そんな話はどうでもいい。ハルミとナツミを殺したのは誰かが問題である。ヴィンヤード公国は証拠がなかったが、タイミング的な事を考えると、犯人を日本政府と決めつけたのだ。
24歳の青年と妹を殺したのが日本人という概念があったためだ。それ以前にも、日本の右翼団体がヴィンヤード公国で殺人事件をおこしていた。これらが決め手になったと言われている。
ヴィンヤード公国は王女を大切にする国であり、日本の皇族やイギリスの王室と同じような感覚があった。女王は国民の象徴であり、女王の娘である皇女を殺した日本は許せないって方向へ流れた。しばらくして、すぐに戦線布告をしてきたのだ。
当時のヴィンヤード公国は皇女の仇討ちの為に戦争をはじめた。日本は誤解を解くために動いたが、すでに時は遅かったのである。東京に20人のテロリストが放り込まれて、皇居、国会議事堂付近で発砲事件を起こした。
そして、渋谷のスクランブル交差点で、アサルトライフルを持った男達が虐殺を始めた。すぐに100人以上の犠牲者が出てしまい、日本政府も自衛隊の使用を認めた。テロリスト20名は見つけ次第に射殺された。
この争いに目を付けたのが、中国とアメリカであった。中国はヴィンヤード公国に武器や資金提供をした。表向きは民族の威厳を支持する目的だったが、本音は日中戦争の報復など言われていた。マスコミの報道は、そういうガセばかりだが、日本人は信じていた。
しかし、中国の本当の狙いは水あった。この頃の中国は水不足で悩まされていたのだ。なので、日本のプレミアムウォーターは死ぬほど欲しかった。しかし、力ずくで奪い取るわけにいかない理由があった。そう、日本の背後にはアメリカがいたからだ。
しかし、大国でドンパチする時代でもなく、平和的な侵略が望ましい時代である。なので、中国としては、水資源の豊富な北海道の土地を買いあさる作戦に出た。しかし、アメリカもカルフォルニアを中心に水不足の問題に悩まされていた。簡単に言えば、アメリカも中国も北海道を狙っていた。
日本政府は土地の売買については、ケツモチであるアメリカを優先させた。その対策として、日本政府は水資源の近くに、北海道の米軍基地を臨時に作らせたのであった。もちろん、中国をけん制するためである。
これに中国は激怒して、基地反対の工作員や運動家を送った。そこで、中国とアメリカの対立が裏で進んでいた。そうは言っても、中国としても、アメリカに下手に手を出すわけにはいかなかった。
そこで、ヴィンヤード公国を利用したのだ。アメリカも中国と正面衝突は避けたかったので、日本を利用することにした。いわゆる、アメリカと中国の代理戦争に利用されたのだ。
日本は水道局が民営化をしていたので、勝った方が日本の水を優先してもらうって具合だ。一方のロシアはアメリカと中国が潰し合ってくれている内に、どさくさに紛れて、他国の領土や資源を手に入れようとしていた。他の国々も、似たような行動は走った。
アメリカと中国の目を盗んで、各々の国が勝手に資源の奪い合いをはじめた。それらが、複雑に絡み合って、第三次世界大戦へ発展していく。
日本はアメリカの支援もあり、ヴィンヤード公国に勝利をした。その結果、中国は経済がボロボロになってしまった。そのスキを狙って、台湾と香港が中心になり、ウイグルやチベットを巻き込み、国の独立運動を始めたのだ。
それに賛同するように、中国と犬猿の仲であるモンゴルは裏で資金援助をした。なので、中国も海外と揉めている場合ではなく、国内の治安維持のために身を引いたのだ。これはCIAの工作員が紛れ込んでいた噂もあった。
しかし、中国は持ち前のビジネスの上手さで、独立運動を鎮静化させて、再び経済大国へなっていく。
この頃の世界も、アメリカ、ロシア、中国は不動のビッグ3として、世界の中心として支配をおさめていた。一方、日本とヴィンヤード公国はボロボロになっていた。
そして、当時のヴィンヤード公国の王女は責任をとり、銃殺刑とされたのであった。なぜなら、日本人が皇女2人を殺した証拠が、出てこなかったからである。そして、銃殺刑された王女の妹が後を継いでいる。
戦後の混乱期は天王洲会が東京の治安を維持した。東雲組が経済を盛り立てて、赤坂組が邪魔な敵を暗殺した。そして、網代組が歌舞伎町の治安維持を治めた。その時は1000人近くの団体になっていた。
その曲者ぞろいをまとめていた男が、私の祖父である天王洲文太である。長身に威厳のある目つきで、政府や警察との交渉力も高く、堅気の衆にも人気があったのだ。私にとっては、この頃の爺ちゃんのイメージが強く、今のガリガリの姿になるとは予想もできなかった。
この時代に爺ちゃんが、戦死した友人の子供を引き取ったのが真一であった。眼鏡で気弱な少年だったけど、私はカワイイ弟が出来て嬉しかった。
日本は戦争も終わり、復興に向けて動き始めた。それから、日本政府は外国人の労働環境を見直す事を約束した。それでも、外国人技能実習生の問題は続いている。日本人と移民の関係は難しいのだ。




