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第32章 第三次世界大戦の原因について(メキシコ編)

それから、約1時間後。教会にサイレンを鳴らしたパトカーが来た。そして、車から出て来た2人の警察官がこっちに歩いてきた。


私達は警察の事情聴取を受けた後に、マリンの友達を保護した報告が伝えられた。証拠のディスクから、取引先の相手の情報を見つけ出したようだ。


しかし、その犯罪者はすでに捕まっていたらしい。犯人は金髪男とスキンヘッド男の2人組で人身売買に関わっていたらしい。そいつらの車にマリンの友達は監禁されていた。


んっ? 金髪男とスキンヘッド男、どっかで見た2人組だな。うーん、何処だっけ?


私は警察官に聞く。

「もう、犯人は捕まっていたんですか?」

「ああ、場所はハンバーガーショップだ。昨日、匿名で電話してきた女性が捕まえたらしい。その場に駆け付けた時には女性はもういなかったけど、犯人の2人組の男がその場に倒れていたよ。その一人のスキンヘッドの男は顎を割られていたんだ。きっと、ゴリラみたいな女かもしれないって噂が立っているよ」


そうか、思い出した……。これはナツが倒したスキンヘッド男の事だ。


それを聞いて、私は思わず吹いてしまう。

「アハハ、そうですね。確かにゴリラみたいな女かもしれませんね」

「あんな大柄の男を倒す位だからな。凄い女に違いないよ」

「ええ、でしょうね。それで、その犯人が子供を連れていたんですか?」

「ああ、犯人を問い詰めたら、子供を車に監禁している事を白状したってわけさ。それで教会の子供だと聞いてビックリしたよ。だから、教会に捜査が及ぶのも、時間の問題だったって所だ」


私達がハンバーガーショップで事件をすでに解決していたんだな。これだから、人生はいろんな所で繋がっていて面白いな。これで取引先の犯罪者も逮捕されて、この事件は一件落着であった。


そして、私は警察官にルビーの生い立ちを聞かされた。元々は大人しい優等生だったらしい。しかし、戦争で両親が失業して、住むところも財産もない状態になってしまう。


そこで、アメリカからメキシコに移民として訪れたが、不景気で仕事がなくて悪の道へ進んだ。酒場で知り合ったマフィアに仕事を紹介されると、違法ビジネスでメキメキと頭角をあらわしてきた。


最後は人身売買のビジネスで独立して、海外で新しい人生をやり直すつもりだったらしい。しかし、私とナツにその夢を潰される事になった。


ここで、メキシコの移民問題について振り返ろう。アメリカとメキシコの対立は18世紀頃の米墨戦争が原因である。この時の戦争がアメリカ人とメキシコ人のわだかまりの始まりと言っても過言ではない。あれから250年経ったが、今でも多くの論争が行われている。


さて、時代は19世紀初頭のゴールドラッシュになる。この時は移民の審査が緩く、大量のメキシコ人がアメリカに渡った。その時の移民が徐々にアメリカを支配していく。2050年頃には、純粋なアメリカ人は45%になり、ヒスパニック系が65%を超えていた。


アメリカの第45代のトランプ大統領は、この未来図を予想して、国境に大きな壁を作ろうとしていた。これはメキシコマフィアの力が強くて、麻薬の汚染を減らす対策だった。


しかし、この壁を作られる事になったのは、2067年の第二次米墨戦争後の話である。実質はメキシコマフィアと米軍の麻薬問題を巡った戦争であった。そして、戦後のアメリカは移民審査を厳しくした。


まずは15メートルの高さと、地下5メートルまで掘られた壁が作られた。壁の厚さは5メートルもあったので、国境を超える犯罪者は減ったのである。


この壁はトランプ大統領の意思を引き継いだとして、『トランプ・ウォール』と呼ばれている。壁には歴代の大統領の肖像画が描かれている為、ベルリンの壁のように観光地にもなっているのだ。


そもそも、移民のメキシコ人が犯罪をするのは労働環境に原因があったのだ。21世紀の初めに、アメリカ人にとってメキシコ人は重要な労働力だったのである。飲食の下働き、工事現場の下働きなど、いわゆる低賃金の激務の仕事を請け負う人材だったのだ。


この人材がいないと成り立たない経営が多かったのだ。だから、当時のアメリカ人はこの問題を先送りにしていた。


その結果、低賃金のメキシコ人は不満を持ちはじめる。過労死する位なら、麻薬の売人で生活した方がいいと考える者も多かった。結局は双方にとって悪循環な状態であった。


第三次世界大戦後はアメリカが恐慌になると、逆にメキシコに渡るアメリカ人が増えたが、今度はメキシコ人がアメリカ人に低賃金で重労働の仕事を与えた。


その重労働に耐えられなかった、アメリカ人が犯罪に手を染めるようになった。ルビーがこのパターンである。元々の戦争のきっかけは労働者の使い捨てから始まっているのだ。


これは、私の国である日本にも言えるのだ。2100年頃の東京では、中国人が20パーセント、韓国人が10パーセント、その他の外国人8パーセント、純粋な日本人が62%となっている。


超高齢化の問題を解決出来なかったのが原因のひとつだと言われている。国会では毎日のように、野党と与党がこの責任の押しつけを50年以上もしている。


さて、日本には外国人が40%近くいるが、真面目に働く人間も多くいるのだ。その反面、反日運動も多いのだ。ただ、これは日本側にも原因があったのだ。いわゆる、外国人労働者の過労死が増えすぎたからである。


20世紀初頭から数えて、10万人以上の犠牲者が出たのである。日本政府は記者クラブを通して、この手の事件を公に扱わないように命令した。これに外国人は日本への不満を爆発させた。戦争はいつだって、貧困者の暴走によって起きるパターンが多い。


そして、とある外国人が日本の首相の命を狙って、発砲事件を起こしたのであった。この発砲事件が第三次世界大戦のきっかけともいわれているのだ。だが、このような移民の労働問題による発砲事件は、日本をきっかけに世界中で起きる事になった。


そして、その移民対策について賞金稼ぎという職業が出来たのである。今回の事件も、劣悪な労働環境に耐えられなくなったルビーの暴走である。


まあ、ルビーも両親を亡くしている被害者でもあるが、犯罪者である以上は同情を出来ないけど……。結局は裏社会で生きる事は死ぬリスクが高くなるのだ。


まあ、賞金稼ぎも似たようなものだ。結局は人殺しには違いないのだから。だから、いつ、どこで死ぬか分からない人生だ。私とナツもいつかは……。

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