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第17章 真夜中の探検(メキシコ編)その1

とにかく寒い。

俺は寒さで目が覚めた。自分のスマホを確認すると、時間は深夜の3時頃だった。


寝相の悪さで布団を剥いでしまったみたいだ。どうりで寒いわけだな。とりあえず、トイレに行こう。俺は2段ベッドの上から降りた。


下のベッドを見ると、冬子がスヤスヤと深い眠りについていた。布団から顔だけを出して、仰向けで寝ていた。


フフフ、色気のある寝顔だった。俺が男なら、イタズラしてしまうかもしれない。しかし、以前に冬子にセクハラをしたことがあった。そしたら、鬼の形相で殴りかかってきた。まあ、純粋な乙女なのだ。俺の相棒は……。


まあ、とにかく寒いので、スカジャンを羽織った。そして、スリッパを履いてトイレに向かう。しかし、オンボロな建物だよな。


俺が部屋を出ると、外には長い廊下があった。そして、トイレの場所は案内プレートがあって、親切で分かりやすかった。俺はトイレまで歩いて用を済ました。


安心したら、今度は腹が減ってきた。昨日から何も食べてねえし、ハンバーガーとか食べたいなあ。俺が世界で一番旨いと思う食べ物はハンバーガーだ。これほど、好きになる食べ物は生涯ない。


そんな事を考えながら、自分の部屋に戻ろうとしたら、小さな燈が点いている部屋を発見した。燈といっても、蝋燭のような小さな燈だった。


普通の人なら気が付かないだろう。しかし、俺は視力が非常に良くて、更に夜目もきくのだ。俺は扉の隙間から、部屋の中を覗いてみた。んん? 部屋に誰か人がいるようだった。


その部屋の中は沢山の荷物が置いてあった。おそらく、物置のような場所である。俺は目を凝らすと、8歳~10歳位の金髪の女の子が食事をしていた。


横には複数の缶詰が転がっている。ここに住んでいる女の子で、夜中にツマミ食いって所だろう。俺も腹が減っていたので、缶詰を分けてもらおうと思った。


とりあえず、女の子に声を掛けてみた。

「俺にも分けてくれよ。その缶詰をさ……」

「えっ? 誰なの?」

そう言って、女の子は俺の方を見た。


近くで見ると埃まみれで汚くて、ストリートチルドレンのようだ。

「俺の名前はナツだ。お前は?」

女の子は警戒しながら質問してきた。そんな不審者を見るような目で見るなよ。

「あなた、見ない顔ね。何処から来たの?」

「お前は教会の関係者だろ? 黄金のマリア像が盗まれて大変らしいな。それを探しに来た賞金稼ぎだぜ」

そう言うと、女の子はホッとした顔をしたように見えた。


そして、女の子は自己紹介してきた。

「私はマリンって名前よ。ここの修道院に住んでいるの」

コイツ、年上の俺にタメ口なんて、なんて生意気なガキだと思った。


しかし、缶詰を分けてもらう為に媚びを売る。食う為にはプライドなんていらない時代なのだ。俺は両手を拝みなら頼む。

「なあ、缶詰を少し分けてくれよ。そこに缶詰が沢山あるじゃん。いいだろ?」

「タダじゃ嫌よ」

「オッケー、何でもするぜ」

「本当? 何でもするって?」

「ああ、何でもするぜ。約束は守るぜ」

そう言うと、マリンは缶詰を差し出してくれた。

「じゃあ、分けてあげる。好きなのを食べていいわよ」

「わーい」


俺は缶詰の蓋を開けると、中身は牛肉が入っていた。昨日から何も食べていなくて、腹が減っていたので、素早くバクバクと口に含んだ。


うん、結構いけるな。腹が減っているから、うまく感じる。マリンは他の缶詰も渡してくれた。なかなか良い子じゃないか。

「しかし、夜中にツマミ食いしていいのかよ。教会は規律が厳しいだろ。これがバレたら、怒られるんじゃねえのか?」

「ええ、そうね。私は悪い子だからね。凄く怒られるかもね」


中々と腹が座っていてよろしい。俺は度胸のあるやつは好きなのだ。

「まあ、シスター達には黙っておいてやるよ。缶詰をくれたからな。だから、誰にも言わないから安心してくれ」

「ナツ、ありがとう。それで頼み事だけどね……」


そういえば、何か言っていたな。缶詰の借りがあるから少し聞いてやるかな。どうせ、ガキの頼みだ。大した事ではないだろう。俺は恩だけは返すタイプなのだ。


なので、俺は頼みを聞いた。

「ああ、いいぜ。このナツ様に任せておけよ。それで、頼みって何だよ?」


マリンは1枚のディスクを差し出した。

「ん? 何だこりゃ?」

「あとで、ディスクの中身を確認してね」

「フフフ、エロ画像でも入っているのか?」

「バカ、そんな訳ないでしょう」


マリンは顔を真っ赤にして、俺の左スネを蹴った。弁慶の泣き所なので、痛くて涙が出そうだった。いや、もう出ていたのだけどな……。


俺は膝を抱えて喘ぐ。

「あがっ……。いってえ……。ここはダメだろ、くそ」

さらに、俺は左足を持ち上げながら、その場でピョンピョンと跳ねた。そして、大粒の涙がホロリと落ちた。クソ、このガキ……。


マリンは慌てたように喋りはじめた。

「もう、時間がないわ。早く、部屋から出て行ってよ。見回りが来るから……。このディスクはナツだけで見てね」

「俺だけ? なんで?」

「いいから、これを頼むわ。それと、教会の関係者には見せないでね」


マリンはディスクを俺のポケットにねじ込んだ。そして、俺の背中をグイグイと押す。

「おいおい、痛えよ。無理に押すなよ」

「いいから、出て行って。早くして……」

そう言われて、俺は部屋から追い出されてしまった。


そして、マリンは最後に言った。

「あと、私と会った事は誰にも言わないでね。ディスクはすぐに確認してね。約束よ、ナツ、では、おやすみなさい」

「おう。でも、何で言っちゃ……」

マリンは俺の言葉を遮って、バタンとドアを閉めた。


俺は廊下に放り出された。ムカッと腹が立ってきた。何なんだよ? あの生意気なガキは……。しかも、ナツじゃなくて、ナツさんだろうが……。


俺様が説教をしてやるぜ。礼儀がない子供をしつけるのも大人の仕事だ。かなり頭にきたので、ドアの扉を開けて、先ほどの物置部屋に入ったのである。


しかし、そこには誰もいなかった。消えた? 幽霊だったオチか? いやいや、ポケットにはディスクがある。このディスクどうしようか?


とりあえず、部屋に戻って冬子に相談をしよう。その時、後ろから声をかけられた。

「そこで、何をしているの?」

そこには蝋燭に火をついたランタンを持っている女がいた。


修道服を着ている眼鏡の女だ。若そうだが地味な感じで、同級生に年増って呼ばれてそうだ。なんか見た事あるような顔だぜ。


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