表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/118

第12章 コンビ誕生秘話(イタリア編)その2

私の目の前には、昨日の賞金稼ぎがイスに座っていた。

明るい場所で見ると、年齢は15歳~16歳くらいだろう。見るからに生意気そうな態度だが、年相応の可愛いらしい顔をしていた。自信満々な目と表情をしている。


少女が自己紹介をした。

「俺の名前はナツだぜ。ふふふ、昨日は悪かったな。手首は大丈夫か? まあ、大丈夫なワケないか……。包帯でグルグルだもんな」


赤毛の賞金稼ぎはナツと名乗った。これが本名であるかも怪しいのだが……。赤毛の外国人か……。日本でもあんまり見た事ないな。西洋人である事は分かる。


私は質問に答える。

「ああ、そうだよ。お前のせいで左手首にヒビが入っていたよ。今も痛むよ」

「俺だって、銃で撃たれて縫ったぜ。今も右腕が痛むぜ」

「ああ、お互い様って感じだな。おい、私に話があるんだろ? さっさと用件を話せよ。昨日の殺し合いをやるなら、外でやろうぜ。ここじゃあ、一般人に迷惑だ」

「ああ、その前に腹が減ったな。何か食おうぜ」

そう言うと、テーブルのメニューを手に取った。


ナツは楽しそうに、料理を選んでいるようだった。昨日、殺しあった人間の前で食事をするなんて……。なんて緊張感のない奴。それとも、度胸があるのか、単なるバカなのか分からない。


目的は何だ? 私を殺しに来たのか? いや、だったら電話をしていた時に殺せたはずだ。

後ろをとられていたのだから…。正直な所、目的が分からない。こっちは、ここで撃ち殺してもいいんだぜ。なあ、ナツ。


私がそんな事を考えているとも知らずに、ナツは呑気にウエイターを呼んで料理を注文した。しばらくすると、ハンバーガーとポテトフライが来た。それと飲み物のコーラが置かれた。


ナツは注文したハンバーガー食べながら話を切り出す。

「俺はマロンを殺した犯人を知っているぜ。誰だか知りたくないか? あれ、ひょっとして、俺だと思っているのか?」

「いや、お前じゃないだろう。殺したのは別の奴だ」

「ハハッ、何でそう思う?」

「お前、生け捕りで捕まえる気だっただろ。単純な金目的の賞金稼ぎだろ? そんな奴が拳銃で、心臓を撃ち殺すわけがないからな。それに、昨日の戦いで拳銃使ってなかっただろ?」

「なるほど、正解だぜ。お前の頭は悪くないようだ。犯人はブレンドだぜ」

「それで証拠は? 証拠もないのに信用しろっていうのか?」


私は証拠もないのに、見知らぬ賞金稼ぎの戯言を信じる程、私はお人よしではない。

ナツはスカジャンのポケットに手を入れた。そして、イヤホンのついたスマホを出して渡して来た。


これを聞けって事なのだろう。

「俺はマロンの上着に盗聴器をしかけたのさ。まあ、これを聞いてくれよ」

「ああ分かった、とりあえず聞いてやるよ」


私はイヤホンを耳につける。しばらくすると、マロンとブレンドの会話が入っていた。どうやら、揉めているみたいだ。仲間割れか?


ブレンドとマロンが激しい口論になっていた。

「ボス、もう引退してくださいよ。賞金首になった以上、あなたを守るのに金がかかり過ぎる。しかも、パブの営業もしばらく出来ない状態です」

「お前、誰に向かって口を聞いているつもりだ? 警察をクビになって、拾ってやった恩を忘れたのか? 俺に意見できる立場か?」


ブレンドが丁寧な口調でなだめる。

「いや、忘れてないですよ。もちろん、感謝はしているつもりです。でも、組織の維持も大切ですよ。だから、老後の金は渡しますよ。それで顔を整形して海外にでも逃げてくださいよ。ちょっと早いが、余生を楽しんでください。あとは俺が組織を切り盛りしていくつもりです」


そこで、テーブルを叩きつけるような音がした。おそらく、マロンがやったのだろう。すぐに怒声が聞こえた。

「ブレンド、お前ごときが偉そうな事を言うな。だいたい、お前が組織を継ぐつもりか? バカには組織を運営は出来ないぞ。お前は視野が狭いんだ」

「もう、いいや……。うるせえ、ジジイだ。早く死ね」


そこで、1発の銃声が鳴り響いた。

「がっ……お前……私を裏切……」

「なあ、犯人は冬子の野郎だ。赤毛の賞金稼ぎと組んで殺した事にしておくよ。パブの件も自作自演ってやつだ。まあ、金目当ての裏切りにしておくよ。じゃあなボス」

「ちょっ待っ……」


ブレンドの口調が荒くなる。

「いや、待たねえよ。俺は戦争を始めた日本人を恨んでいるのを知っているだろう? こっちは戦争で妻を失ったんだよ。それなのに、クソジャップなんか仲間に入れやがってよ」

「ブ……ブレンド……貴様……」

「いつも、見下しやがってよ。老害は早く死ねや」


再び、一発の銃声が鳴った。すると、マロンの声は聞こえなくなった。おそらく、死亡したのであろう。そこで、ブレンドの笑い声が鳴り響いた。

「今日から俺がボスだ。フッフフフフ……」


そこで、私はイヤホンを外す。ブレンドがマロンを殺した犯人か……。確かにマロンに不満を見せていたな。日頃の溜まった不満が爆発したってところかな。


この証拠は本物である可能性が高いな。このナツが偽物の音声を作れる程に器用には見えない。いや、作ってもメリットがない。この話は少し聞いてもいい気がしてきた。


ナツが話しかけてきた。

「俺と冬子が犯人になっている。ブレンドが若い衆に探せているみたいだぜ。これが、どういうことか分かるか?」

「いずれ、ヒットマンが襲ってくるって事だろ?」

「ああ、ずっと命を狙われる生活になるぜ。俺達が強くても、24時間も枕を高くして寝られない状態は辛いだろ? 面子が大事なマフィアは何処までも追ってくるぜ。逃げられねえよ」


私はブレンドの目的を理解した。私とナツを殺すつもりなのだろう。ブレンドが後継者になるのに、ボスの敵討ちをした実績が欲しいはずだ。そうしないと、部下に示しがつかない。そして、真実を闇の中に葬るつもりだ。くそ、ブレンドは許せないな。出来ればマロンの無念も晴らしてやりたい。マフィアであるが、筋を通す男であったからだ。


すると、ナツは共闘を持ち掛けてきた。

「なあ、依頼主はもう死んでいるんだぜ。俺と組んでブレンドを潰そうぜ。お互いが生き残るためには悪くないだろう?」


確かにマロンは死んだ以上、ナツと戦う必要もない。追っ手から逃げるには、一人でも仲間がいた方がいい。利害は一致しているから裏切る事はない。だけど、一時休戦なだけだ。


私はナツの意見に賛同した。

「ああ、いいだろう。一緒に手を組もう。なんて呼べばいい?」

「ナツでいいよ。そっちは冬子でいいかな?」

「ああ、好きなように呼んでくれ」

「じゃあ、冬子で」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ