表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/118

第68章 突撃、突撃、突撃

俺は冬子のバイクの後ろにまたがっていた。そう、天王洲アイルって場所に向かって、クラシックなバイクが走らせていたのだ。俺達の目的はワン姉妹を倒す事だ。


まあ、とにかく時間がなかったので、2人ともヘルメットはかぶってない。だって、ワン姉妹に海外へ逃げられたら、もう場所を特定するのは無理だ。だから、今日がラストチャンスだろう。


しかし、都内は渋滞だったので、バイクって選択肢は良かった。俺は冬子の背中にピタリとついて、ちょっと興奮をしていた。なんか、良い匂いがするのでクンクンと嗅いでいた。


そういえば、赤坂ノブオって爺ちゃんは死んでいたみたいだ。そして、今回の抗争の黒幕は東雲姉妹らしい。それにしても、冬子にあの2人を殺せるだろうか? やっぱり、甘い所があるので分からない。まあ、とっくに海外に逃亡しているかもしれない。


まあ、その前にワン姉妹を殺すのが先だ。冬子のオヤジの仇であるが、相手も相当強いはずだ。何にしろ、俺は賞金目当てで手伝うだけだ。私怨はない。


バイクを運転している冬子が話しかけてきた。

「ナツ、奴らの目的はデータのハッキングだ。それを海外に持っていかれると、また日本の治安が悪くなる。だから、ワン姉妹を潰すんだ。もちろん、父親の敵討ちも目的の一つだ。なあ、ナツも協力してくれよ」

「まあ、俺は金が入ればいいよ。別に日本がどうなろうと関係ねえよ」

「ハハハ、ナツってそういう奴だよな。だから、信頼しているよ」

そう言って、冬子はアクセルを全開にした。


メーターは100キロを軽く超えていた。俺はどさくさに紛れて、冬子の胸を触っておいた。やっ、やわらかい。もみもみ……。


しかし、冬子に注意された。

「ナツ、腰の辺りをつかめや」

「ゴメン」


しばらくすると、天王洲アイルに着いた。沢山のビルがあり、海辺が近くでオシャレな感じだ。ここで、海風に当たりながら、カフェでコーヒーを飲んだら最高だろうな。


冬子はバイクを軽々と運転して、目的地のロイド保険会社の前まで移動した。俺達の目の前には、背の高い同じビルが2つあった。その2つビルの間に、橋のような道があって、まるでアルファベットのHに見えた。


俺は冬子の耳で呟く。

「見ろ、冬子。ビルの形がHだぞ。ここで働いている奴らは、スケベに違いないぜ」

「お前、バカだろ? そんな事言っていると、死ぬぞ」

「分かった、分かった。ごめん、ごめん」

まったく、冗談が通じない奴だ。まあ、親の仇だからピリピリしてやがるのは分かるけどさ……。


とりあえず、俺は冬子に作戦に聞く事にした。

「さてと、どうする?」

「まず、ロイドビルA棟の20Fに、ワン姉妹がいる事は間違いない。あそこにデータ室がある。なので、A棟の入り口に行くぜ」

冬子はアクセルターンをして、A棟の正面の入口前に移動した。しかし、シャッターが下りており、とても入れるような感じでなかった。


冬子も悔しそうな顔をする。

「くそ、こっちはダメだ。B棟から入って、10階の道からA棟に渡るしかない。あそこは避難経路でもあるから、お互いにいつでも行けるようにできているはずだ」

「いやいや、B棟の正面の入口も閉まっていたらどうすんだ?」

「その時は、その時に考えるさ」

ふう、冬子って結構適当だよな。


それから、俺達はB棟の正面入り口へ移動した。そこでは、シャッターが下りていなかった。しかし、B棟の正面入り口は、警備員が1人立っていた。俺達はバイクのまま入口の前に停まった。キッキキーというブレーキ音が耳に響いた。


それから、20代半くらいの若い男の警備員がこちら近づいてきた。

「どうかしましたか?」

ニコニコとした表情の腰の低そうな青年だ。


冬子がドスのきいた声で喋る。

「ここに、ワン・シャンリンがいると聞いたんだけど? 警備員さんは、この場所で、ワン・シャンリンと会ったか?」

「いや、会ってないですよ」

「そうか、それならいい。邪魔したな」

「いえ」

そして、俺達は入口から100メートルくらい移動した。


俺は冬子に聞いた。

「なあ、ここにワン姉妹がいるのはガセ情報じゃないのか?」

「いや、絶対にココにいる。理由は簡単だ。私はさっき、警備員にワン・シャンリンと、この場所で会ったか?と聞いた。しかし、相手の返事は会ってないと答えた。普通なら会ってない人間の名前を聞かれたら、知らないと答えるはずだ。ナツだって、犯罪者の〇〇と、この場所で会ったかと聞かれたら、知らないと答えるだろ?」

「でも、人によるんじゃねえの? それだけで警備員を疑うのか?」


冬子は後ろを振り向いて、俺の顔を覗きこむ。顔が近いぜ……。

「ナツ、もう一つ理由がある。ビルの入口の扉はガラスだった。そして、そのガラス面には拳銃のホルスターが映っていた。つまり、あの警備員は後ろに拳銃を隠しもっている事だ。日本では民間の警備員は拳銃は持てない。だから、アイツはワン姉妹の部下か、それか犯罪者に近い人物だ」


なるほど、それなら納得がいく。おそらく、あの警備員はワン姉妹の部下だろう。確か3人の部下をつれて、不法入国したと聞いたな。多分、その一人だ。


私は冬子の肩を叩く。

「それで、どうするんだよ?」

「こうするのさ」

冬子はそう言うと、バイクのアクセルを全開にして、警備員がいる入り口に向かって走り出した。


そのスピードに俺は思わず声が漏れる。

「うおぉーー、特攻作戦かよぉー」


入り口前の警備員は慌てて、拳銃を抜こうとした。しかし、それより素早く、冬子がバイクごと警備員に突っ込んだ。すると、正面ガラスは割れて、強引にB棟のエントランスに入った。警備員はバイクに跳ね飛ばされて、ピクリとも動かなかった。おそらく、即死だろうな。俺を恨むな、冬子を恨めよ。


話は変わるが、B棟のエントランスは広く、受付の場所も綺麗でオシャレな造りだ。すぐ目の前には2つのエスカレーターがあり、のぼった先の2Fにはエレベーターの入り口があった。そして、そのエレベーター前に警備員が1人いた。こいつも、ワン姉妹の部下なのだろう。


冬子はいきなり笑い出す。

「アハハ、バイクごと突っ込むぜぇー」

「おい、あんま無茶するな……」

「失敗したら、せいぜい死ぬだけだ。行くぞぉー」


なんか、やたらテンションが高くて怖い。バイクごと突っ込むって、このままエスカレーターを登る気か? すると、冬子はバイクを器用に操り、エスカレーターをモトクロスのように登り始めた。うぅう、ガタガタと揺れて、舌をかみそうだ。まあ、なんとか登れそうだな。


しかし、エレベーター前にいる警備員が、拳銃を素早く抜いて、こちらに発砲してきた。パンという1発の銃声が鳴った。


すると、冬子はエントランス全体に響くような大声を出した。

「ナツ!」

俺になんとかしろよって事なのだろう。まったく、無鉄砲な相棒だぜ。


俺は冬子の肩をジャンプ台にして、空高く飛んだ。警備員は慌てて、俺に銃口を向けたが、泡を食った顔をしていた。おそらくだが、パニック状態になっており、闇雲に空に向けて発砲してきた。もちろん、そんなヘタレ弾に当たる事はなかった。


俺は落下していく最中で、警備員に向かって、かかと落としを食らわした。すると、ブーツの感触から、警備員の頭蓋骨が砕けたと確信した。警備員は鼻血と血の涙を流しながら、ゆっくりと前のめりに倒れた。おそらく、コイツも即死だ。


さてと、これから10階までエレベーターで行き、そこから隣のビルに移動すればいいんだな。俺は上のボタンを押すと、すぐに2階に降りて来た。チーンという音と共に、豪華な扉が開くと、エレベーターの内部は広く、軽く15人は乗れそうであった。


冬子はエレベーターごとバイクにのる。

「ナツ、後ろ乗れよ」

「あいよ」

冬子の目が狼のように見えた。生き急いでいやがるぜ……。


俺はやれやれと思いながら、再び冬子の後ろの乗ったのだった。行き先はとりあえず、10階である。だが、そこにはワン・マーメイが待ち伏せしていたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ