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第65章 メタンハイドレート

そう、メタンハイドレートという燃料だ。平成の時代から、話題にあがっており、簡単に言えば天然ガスの元である。これが、日本海の海の底に眠っているのだ。


しかし、水深500メートル以上の地下にあり、日本の技術では手に入れるのが困難な状態であった。しかし、中国では同じような条件でありながら、メタンハイドレートを手に入れる技術を手に入れたのだ。


そして、それを天然ガスの実用化に成功した。もし、中国が独自で天然ガスを手に入れれば、中東のイランなどに尻尾を振る必要がなくなる。だが、中国ではメタンハイドレートの発掘エリアが少なかった。なので、技術があっても、資源がなくては意味がなかったのである。


一方、日本ではメタンハイドレートが大量にあり、日本で使用する100年分相当の量があると言われている。そして、その大半が日本海側の過疎化している地方にあった。


これに目を付けていたのが、ワン姉妹の祖父である王梓豪ワン・ズーハオであった。彼は2077年頃には日本で野党の議員をしていた。もちろん、通名を使っていた。


彼はメタンハイドレートを手に入れる為に、地方に住んでいる日本人の若者が邪魔だと考えた。そこで、日本のマスメディアを利用した。まず、テレビや芸能人を使い、若者が東京に集中するように洗脳させた。


例えば、グルメ番組は東京の銀座、ファッションは原宿、住むなら港区など様々だ。なので、テレビやネット番組では東京の情報しか放映されなかった。


まあ、簡単に言えば、若者は東京にいないとダサイと印象操作したのだ。その結果、日本の若者は東京に集中して集まった。その数は日本人の2割を超えていた。


王梓豪ワン・ズーハオの狙い通り、地方が老人だらけになったので、後は地上げをして土地を奪おうとした。しかし、2080年頃、彼は特別背任罪で逮捕されて、計画は中断してしまう。その意思をついだのが孫であるワン姉妹だった。


約6年前、ワン姉妹は日本に留学して、パートナー探しをはじめた。その相手こそ、若き日の東雲シマだった。話を聞いた東雲シマは協力をする事にした。


しかし、東雲シマはワン姉妹と組んだフリをして、いずれは裏切って、シノギを独り占めしようとしていた。そして、メタンハイドレートを糧に日本政府に食い込もうと考えていた。


なぜなら、日本は天然ガスのほとんどを、イランなどの中東から輸入しているのだ。日本はアメリカと同盟国あり、イランとも友好的な関係である。しかし、アメリカとイランは凄く関係が悪い。元々はアメリカとイランは友好な関係だった。


しかし、1979年のイラン・イスラム革命により、敵対国になってしまった。そして、何度も戦争になりかけているのだ。もし、アメリカとイランが戦争になった場合に、どっちの味方をしなければいけないのか? 答えは世界最強のアメリカである。


しかし、そうなると、石油や天然ガスは何処から輸出するのか? 答えはメタンハイドレートなどを代用していくしかない。その天然ガスのビジネスの元締めになれば、東雲シマが天王洲会のトップに立てる。更に日本政府、警察さえも味方に出来るのだ。つまり、日本を裏で操る支配層側になれるのだ。


話は少し変わるが、天王洲家では日本人以外の仲間を認めない傾向がある。悪い移民と戦っているから無理もない。第三次世界大戦では、日本はヴィンヤード公国と戦ったが、その背後には中国がいたのだ。


だから、欣也は絶対に中国人とは手を組まない事を分かっていた。だが、メタンハイドレートの精製には中国人の協力が必要である。なので、東雲シマはワン・シャンリンをパートナーに選ぶしかなかった。理由は妹のワン・マーメイは化学でも優秀であり、メタンハイドレートについて詳しかったからだ。


まず、ワン姉妹が大学生になりきり、日本の領土の調査などスパイ活動をはじめた。そこで、邪魔だったのが、日本の公安警察などだった。なにかとつけて、監視をしてきて、仕事の邪魔をしたからだ。


そこで、ワン・シャンリンは過労死などで、不満を溜まっていた外国人大学生や外国人技能実習生利用して、デモ活動により日本を混乱させて、公安警察の力を弱くさせようとした。その結果、関東移民学生連合会というテロリストができた。


ワン姉妹の狙いは当たり、警察は関東移民学生連合会に対して時間を削り、毎日ヘトヘトになるまで働かされた。そして、スパイ活動がやりやすくなったのだが、ここで誤算が起こったのだ。


日本政府が天王洲会を利用して、関東移民学生連合会を潰させようとしたのだ。それから、大勢の死人が出て、ワン姉妹も追い詰められて、結局は日本から脱出するハメになった。もちろん、この脱出には東雲シマが協力をしていた。ほとぼりが冷めたら、日本へ呼び戻す予定を立てていた。


その間、東雲シマは日本でメタンハイドレートを手に入れる為の準備を始めた。まず、王梓豪ワン・ズーハオがマスコミを利用したおかげで、日本の若者は東京へ移住して行き、地方は高齢者ばかりの状態になっていた。


東雲シマは、次に日本海側の土地を手に入れる必要があると考えた。なので、地方で1人暮らしをする高齢者を騙して、クレームが出ないように土地を売らせて、高級老人ホームに次々と入居させた。


空き家だらけになった街には、物語の冒頭で説明した貧困の外国人を住ませた。こうして、メタンハドレートのある地方に移民の町を作った。そして、反日の労働組合を作って、日本政府が簡単に入って来られないようにした。


だけど、手に入らなかった土地もあった。最後まで、ここの土地で生涯を終えたいと考える高齢者たちだ。そこで、東雲シマは土地帳簿を管理している会社のデータをハッキングする計画を立てた。そのデータをもとに土地乗っ取り計画を考えたのだ。


まず、現在住んでいる日本人を殺して、そこに整形した外国人に住んでもらい、乗っ取ってしまおうという事だ。一人暮らしの老人なら、整形した中国人とすり替わっていても、周りの人間は気が付かない。最悪、痴呆症になったフリをすればいいだけだ。いわゆる、背乗り(はいのり)に近い行為である。


有名なのだと、1985年の西新井事件がある。北朝鮮の工作員が日本人の偽名を名乗って、15年以上も潜伏していた事件である。その工作員は日本人のフリをして、足立区のゴム工場に勤めたが、働いている間は誰も外国人だと気が付かなかったのだ。その事件から、東雲シマはヒントを得たのだ。


あとは写真など、細かい個人データなどをハッキングして、全てすり替える必要があった。これは高度な技術が必要であり、天才とよばれるワン・マーメイでも5日以上はかかるとされていた。


その土地権利や個人照合を管理している会社は天王洲アイル駅にあった。会社名は株式会社ロイド保険。世界的な保険会社で、最近ではデータ管理を請け負っている。日本の年金管理もここに委託をしている。もはや、日本は国民の大切なデータを民間委託するようになっていた。


ロイド保険のビルに侵入して、何日もハッキング作業をするには、社員をおいやる必要があった。そこで、二階堂にカジノを占拠させた。更に天王洲家の分裂抗争をしかけて、警察を動けなくした。


さすがにそれだけの事件が起きれば、小さい事件までは手が回らないからだ。ワン姉妹は会社の休日を狙った。それから、警備システムを全て、ハッキングして動きを止めたのだ。


また、二階堂テロ活動の影響でもあり、ロイド保険は社員の安全を優先して、オフィスを一定期間の間は地方へ移す事にした。千葉に簡易オフィスを作り、そこで仕事をする事にした。その間の東京オフィスには、社員がほぼいない状態になった。これも東雲不動産が裏で絡んでいたのだ。


こうして、ワン姉妹は3人の部下と共にロイド保険会社に潜入をした。しかし、名簿の数は1104313人にのぼり、ハッキングには時間がかかっていた。


しかし、これらのデータの上書きが出来れば、あとはメタンハイドレートの採掘をして、天然ガス工場を地方に作る事ができた。


つまり、今回の計画を簡単に説明するこうだ。マスコミの印象操作により、日本人の若者を東京に集める。次に地方の高齢者の土地を買い占める。抵抗する高齢者は殺して、整形した外国人が背乗りする。


そして、背乗りするためにロイド保険のデータを盗む。最後はメタンハイドレートの工場を作り、合法的なビジネスにしていくだけだった。


しかし、東雲シマは天王洲欣也に計画がバレてしまった。だが、自分の子分は経済ヤクザだから抗争しても勝てない。なので、海外に逃げるしかないと判断した。だが、ワン姉妹はその事を知らずに、今もハッキング作業をしていた。


そして、この計画をぶち壊す為に、ナツと冬子が殴り込みに来るのだった。

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