表の白と裏の黒 コイン七枚目
登場人物
深月
朱い毛並みの獣人の女の子
白錬屋の店主、ミユに拾われて住み込みで働いている
輝闇 仁 二つ名 最悪の吸血鬼
人間と吸血鬼のハーフの男の子
二面の顔を持ち、間抜けな感じがする時一人称は『ボク』、怖い時には『オレ』となっている
ディスティニードール・シザース
感情の無い人形
感情は無いが演技は得意
「深月ちゃんはお金と命、どっちが大切だと思いますか?」
藪から棒に行ってくる仁さん
「それは、命なのでは? 命はお金に変えられないですし」
「そうですね、ボクもそう思います」
・・・何か意外にも普通の事を言うんだ
「結構長く生きてるボクとしては命以上の物は無いですからね」
特に何も無しに肩を竦めながら仁さんは言う
・・・・・この人もこの人で結構闇が深そう やっぱり週にいくらか尋ねてあげた方がいいかも
「ま、そんな背景が有ろうが無かろうが元々お金になんて価値は無いですよ」
「そ、それは言いすぎなのでは・・・? ほら、お金が無いと生きれませんし」
「なら何で野良猫は生きてるんです?」
まるで屁理屈を仁さんは言う
「屁理屈では無いですよ 犬も猫も亀もイルカもシーラカンスもお金が無くても生きていますよ?」
「シーラ・・・ ま、まぁそうですけど・・・・・ それやっぱ屁理屈ですよ、猿が山で生活出来るのだから人間でも生活できるみたいな・・・」
「まぁ屁理屈には聞こえると思いますが事実これは正しいのですよ」
と何故か複雑そうな顔で仁さんは言う
「犬も猫も大丈夫だからという理由は流石に極端ですけど、生きる為と言うなら最悪乞食は言うに及ばず、盗み、そこらの草を食べるとかすれば生きられますよ」
「そ、それは流石に・・・・・・」
「非人道的過ぎる、と?」
その言葉にコクリと頷く
その動作が欲しかったのか満足そうに、
「そう、それがお金が必要とされている理由ですね 人間らしく居る為、生きる為では無く居る為」
まぁこの異端郷には人間は居ないんですがね と仁さんは言う
「人間らしく、要る為・・・・・」
「もっと厳密に言うと、お金の中にある『ある物』が人間として生きる為に重要なんです さて、それは何でしょう」
「え、えぇっ!?」
唐突に問題を振られて少しあたふたする
「え、ええと・・・・・ 「はい残念、シザース答えは?」
元々期待してなかったようで速攻でシザースさんに回答を移して、
「わからん「はい分かってました誰も答えられないって分かってました」
どうやら誰にも期待して無かった仁さん じゃあ何で振ったの・・・・
「答えは、『信用』です お金という名前の信用が、何よりお金の価値を高めているんです」
「信、用・・・・・・?」
「まぁ銅貨、銀貨、金貨と言った中世ヨーロッパみたいな貨幣制度しかないここでは分からずらいですよね」
いいですか? と人差し指と立てて仁さんは言う
「向こうの世界ではお金はいっぱい種類があるんです」
「向こうって、ロストちゃんの住んでるところがある世界、反理想郷の事ですか?」
「そうそう、そのディス・・・・ て今何て言った深月ちゃん」
少し苦笑いのような困ってるような顔で言う
「反理想郷? 何それそんな呼び名があったの?」
「ええと、そう呼んでる人がいたもので・・・・」
人じゃ無くて猫だけどね あ、そう言えば仁さんに未夜の事話して無かったな・・・
「理想郷の反対で反理想郷ですか・・・・ 何かいい皮肉ですね」
と一人ブツブツ呟いた後、
「で、その反理想郷には様々なお金があるんです」
あ、その呼び名決定なんだ 未夜が言った通り本当に流行らせそう
「円、ユーロ、ドル、ポンド、ウォン、元などなど、これ以上に更に種類がありますからね」
「・・・・それ、めちゃくちゃ大変そうですね その・・・ えん?とゆーろ、でしたっけ?一枚と一枚が交換って訳では無いんですよね?」
「中々察しが良いようで そうですね、同じお金というくくりでも物が違えば価値も違う訳です
とは言ってもお金はお金です、お金自体に優劣はありません あるのはそのお金を発行する国の優劣です」
「国・・・ですか」
「閉鎖的なここではあまり聞きなれない言葉ですが、まぁ例えば街が三区画に分かれていると想像してください 分かりやすくここでは赤区、青区、緑区としましょう
それぞれに統治者、区長が居て常に自分の区が偉いと主張しています さて、それを証明する為にはどうすればいいですか?深月さん」
「え、ええと・・・・・ 「はいそ」あ!分かった! 自分の区に沢山人を呼び寄せる! 自分の区には沢山人が集まっているんだからそっちの区よりも居心地が良いって照明になるから!」
「・・・・・意外ですね 正解です」
「えへへ」
感心したように仁さんが言うので少しうれしくなる
「人が多い=自分の区が優れているという証明になります、そうなるともちろん人が増えます そうなると物流も増えます、物流が増えるという事は?」
「それを買う人が沢山いる! ・・・・あぁ、それでお金が国の優劣に関わるんですね」
「そうです、人が沢山=それだけお金を使う人がいる=お金を沢山使うほど区が賑わっている、つまりお金が集まる場所はそこが偉い場所という証明になります ・・・意外に優秀だなぁ」
「ふふん」
あまりミユさんから褒められないのでこう褒められると嬉しい
「で、ここで出て来るのが自分の区のお金の発行です 分かり易いようにそれぞれの区で赤金、青金、緑金を発行していたとしましょう、さて、このお金を分けるメリットは何でしょう
あ、勿論ですが同じ色の区でしか同じ色の硬貨を使えません それと一番栄えているのは青区とします」
「ええと・・・・・・・」
つまり青金=青区、赤金=赤区、緑金=緑区しか使えなくて、一番栄えているのが青区
必然的に青区に人が集まる=青金を使う人が多いという事で・・・
「あ!つまり赤金と緑金を使う人が少なくなる=赤区と緑区にいる人が少なるなるって事だ!
つまり・・・・・・・・・」
「どうしました?」
わざとそう訊いているのであろう仁さん
「・・・・・・必然的に赤区と青区が衰退していく、って事ですか・・・・」
何か、とてもえげつないと言うか・・・・・
「ある種の経済的制裁、もっと悪く言えば経済攻撃ですね 物流を全て奪い他の区に渡らないようにする、
正に兵糧攻めですね お金は信用で出来ている=お金の価値が下がれば必然的にその金の国の信用が無くなるという事です」
・・・何か、世界の闇の片鱗を見て何かよく分からない、やるせない気持ちになる・・・・・
「何か、その・・・・ 戦で区を潰すよりもえげつないですね・・・・・」
「んー、大義名分一つで国を取るのとは違ってこっちには大義名分が必要無いからね 一斉に火矢を放つのと敵陣地にこっそり伝染病を送り付けるくらいの差異しか無いけど、制圧と自滅に見せかけた制圧では結構見た目の差が出るからね
戦争の制圧だと周りから色々卑怯だとか恐ろしいとか思われるけど自滅なら仕方ないの一言だからね
で、その自滅の簡単な方法として経済弾圧な訳 自分の国の硬貨を流行らせて相手の国の硬貨を使わせない、ある種硬貨が伝染病の病原菌みたいな物、って事かな」
「ははぁ・・・ お金ってどんなことにも使えるんですね」
「あー、確かにね 人間らしくいる為にお金を使う事も出来るし、逆に人間らしくさせない為にお金を利用することも出来る、中々面白いですね 少しロストちゃんと似てきました?」
「?」
何でそこでロストちゃん??
「ま、折角ここまで話したんですからちゃんとデメリットも話しましょうか、ちゃんと硬貨の表と裏の色も教えてあげましょう
案外それがミユちゃんの理解を深める物になるかもしれませんしね」
ミハヤ)意外とこのおカネ話し続きますね
ロスト)ま、僕としては聴いてるの結構楽しいけどね




