表の白と裏の黒 コイン三枚目
登場人物
深月
朱い毛並みの獣人の女の子
白錬屋の店主、ミユに拾われて住み込みで働いている
ミユ
旅人風の格好をしている白猫
白錬屋の店主で素材さえあれば何でも作る事が出来る能力を持っている
「・・・・・・・・・・」
少し早足で白錬屋に帰った私(深月)
未夜という謎の猫によれば何かあった後らしいが・・・・・
「・・・・・・(ヒクヒク)」
耳を澄ませてみても店から物音はしない
いつもミユさんは何かを作っているので外からでも耳を澄ませば何かしら音はするはずなのだが、
留守、な訳無いか・・・・
居ないのかなと一度考えたがそんな事は在り得ない 普段からやけに盗みなどには気を付けているミユさん、それ故店を開けている時は絶対に誰か留守番を頼まない限りは店を出る事はない
まぁ、もちろん例外もあったりするだろうが・・・・
・・・・取り敢えず、入ってみよ
店のドアノブに手をかける
「ミユさーん・・・・・?」
扉を開き少し控えめに呼びかける
返事は無い
「・・・・・・・・」
空気的に音を立ててはいけない気がしてゆっくりと扉を閉める
「・・・・いないの?」
同じく返事は無い
どうしたんだろ? 珍しく不用心に店でも開けてるのかな?
不審に思いながらもミユさんが居そうな工房の方—————————
・・・・・・あれ?
ふと、棚の上の商品がかなり無くなっている事に気付く
そんなに売れたの?
そう思い、と言うよりそうであるはずなのに、だが何か妙に不信感が拭えず棚に近付こうとした時、
ジャリ
・・・・・・・・え?
何か踏む音に下を向けば、そこには棚に飾ってあるはずの商品の破片
「・・・・・・・・・」
もしかしてと辺りを見渡せばそこかしこの商品が倒れていたり割れていたり落ちていたり、
てか何で入った時気付かなかった私!?
自分の鈍感さを叱りながら、そして悪い予感を感じ出す
も、もしかして、ミユさんが連れ去られたとか・・・・・!
ミユさんが店を留守番も無しで開ける例外の一つ、そもそも店を閉じれる状況ではなかったという事
今更ながら危機感を感じながら本当にミユさんがいないか確認するため工房の方へ入る
そろりと足音を鳴らさないように、
何故だか分からないが音を出してはいけないと感じて
それは、ある意味感じた通りだった
とても、音を立ててる不陰気では無かった
「・・・・・・・・・」
覗くように工房を見ればそこには白い髪と猫耳を持ったミユさんがいた
良かった、とは言えない
「・・・・・・・・ぅ ・・・・・・・・」
ミユさんのすすり泣く声
顔を腕にうずくませ泣いているミユさん
こんな姿を見るのは初めてだった
ミユさんはいつも明るく人をからかうような言動をする人、猫で無く姿など欠伸以外で見たことは無かった
「・・・ミユ、さん・・・?」
声をかけてれる不陰気では無かったが、それでも声をかけずにはいられなかった
恐る恐る工房の入り口をくぐりながらそう尋ねる
「っ! まだ何か私の大切な物を取る気なの!!!?」
イキナリそう大声で怒鳴られて思わずビクッと体をすくませる
「ミ、ミユさん・・・・?」
上目遣いでミユさんを見る
そこには今まで見たこと無いような剣幕もミユさん、涙で頬を濡らし、それでも目は相手を射殺すような狩人、いやどちらかと言うとまるで縄張りを守ろうとする猫の目
「・・・・・深月・・・・?」
一瞬の硬直、そして・・・・・
「っ、なーんだ深月っスか! 脅かさないで下さいっスよ!!」
大げさな感じでいつも通りへらへらと笑いだすミユ
「もー、寝てる時に音も立てずに入って来るとか何事っスか」
「・・・・・・・・・」
何事も無かったかのように、猫がやるように手を舐めて猫の手で顔を洗いながらミユさんは言う
「この店の有様、何があったんですか・・・・?」
「あー、強盗っスよ強盗、 全くついて無い・・・・」
はぁ、とため息を付きながら私の前を通り過ぎ店の売り場に行くミユさん
「いやー自分とした事が、これは防犯を強化した方が良いっスかねー 今度仁殿に何かいい手が無いか聞いとかないといけないっスかねー・・・・」
何事も無いように、いや強盗が入ったと言うように振る舞うミユさん
もちろん嘘だと分かっている 何せ強盗なら商品を何も取らずにいる訳が無い
いつも店番しているのは私だ、どんな物が棚に飾られてあるかくらいわかる
「・・・・さっき、泣いてましたけど・・・・」
「いやー、自分の不甲斐なさと強盗による赤字につい、これは見苦しいところを見せたっスね」
少し恥ずかしそうに言うミユさん
「・・・・それで、」
それで・・・
「何を取られたの?」
少し責めるような目で、
「ミユさんの大切な物って「そんなの」
と遮るように、いや遮って、
「深月に決まってるっスよ」
私のほっぺに手を当てて言うミユさん
「いやー、深月が人質に取られてると言われた時には焦ったっスけどその様子だとタダの嘘だったって事っスか、いやー騙された騙された」
「・・・・・・」
強引にその場しのぎで考えたような言い訳、私が人質に取られたとしていたらまず最初に私を確認した時に喜んでいるはずなのだが・・・・・
「取り敢えず、この店の片づけ手伝ってくれないっスか?」
「・・・・・わかりました」
これ以上深堀出来ず、おとなしく店の片づけをする事にした
ミハヤ)今んとこあんまりコイン要素もギャンブル要素も無い、と
ロスト)ま、これからなんでしょ




