戦闘準備期刻 其ノ五
「ここがはく・・・・はく・・・・ 何だっけ?」
「白錬屋だよ」
「そそ! 白錬屋!!」
深月の言葉でやっと思い出したらしいロスト
「・・・・・・なあさぁ」
とりあえず、店よりも先に確認したい事が出来た
「お前名前覚えなさすぎじゃね? 俺も流石に二回目で覚えたよ? 今度から忘れん坊キャラで行くつもりなのか?」
「いやそんなつもりは無いんだけど・・・・・ あっれどっからだっけ僕にそんなキャラが定着しそうになったの 少なくとも前回はそんなフラグ無かったのになぁ・・・・・・」
前回というのは多分俺と一緒にここへ来る前の話しの事だろう よくわからない話しをする事が多いロストだがこれは分かる
「いや俺と会った時から既にそのキャラ定着してたけどな」
「そう?」
「そうだ」
そう言って俺はようやく店を見る
店は店と家を兼ね備えてるのか、一階は石造りの何となく鍛冶屋を思わせるような作りで、二階は昔の外国を思わせるような木で出来た建物になっていて、店の玄関には猫を型取った看板に英語で白錬屋と書かれていた
「ここがよく仁が来てるところなんだな」
少し楽しそうにレイは言う
「ま、とにかく入って入って!」
深月は店のドアを開ける カランカラン、と音色の良い鐘の音が響く
店の中に入ってみると、意外にも外見の石造りとは違い中は木で出来ており、ちゃんとしたお店のようになっていた
「ミユさーん、お客さんだよー ・・・・あれ、ミユさん?」
カウンターらしきところがあるが、そこには誰も居なかった
「店の奥かな? ちょっと見てくるからここで待ってて」
そう言って店の奥へと入る深月
チラリと店の奥を見るとそこでは壁が石造りになっていた
「奥は作業場になってるみたいだね」
そう言うとロストは辺りを見渡し始めた
「へぇ、色んな物があるんだね」
俺も辺りを見渡してみる
そのこには本当に色々な物が並んでいた
まだ加工されていない原材料の物であるう何かの石や、アンティークの代物、他には木で出来た人形など、本当に様々な物が置いてあった
「あ、これあの時の水晶じゃ無いのか?」
レイが指差した物を見れば、確かにあの時、夕焼けに照らされて奇麗に輝いていた水晶だった
「それはレクリスタって言う水晶っス その水晶は光の反射率が高く少ない光でよく光るから照明器具として使われる事が多いんっスよ」
聞きなれない声がして後ろを振り向くと、そこには白猫が居た
白猫と言っても四足歩行の猫では無く深月と同じワービースト型である 少し短めの髪の毛は本当に真っ白く、ピコピコと動いている耳と尻尾も同じように真っ白だった
「あんた達が深月のお友達っスか?」
頭を掻きながら、少し好奇心が見えるような顔で言う
「あ、うん、ロストと、」
「レイだ」
「あ、俺は時杯 優鬼だ」
「お初にお目にかかるっス 自分、白錬屋やの店主のミユっス どうぞ、ごひいきに」
紳士のようなお辞儀をするミユ
「それはそうと、もしかして何処か外出中だった?」
「ん? いや、奥でお昼寝をしてただけっスけど?」
「・・・・それ、普段着なんだ」
ロストの言わんとしてるのは分かる
ミユの服装は丈が短いタイプのローブを羽織り、そこに動きやすそうなシャツと短パンといういかにも旅人といった服装で、少し好奇心旺盛な感じも相まって旅が好きな風来坊にしか見えず、とても店主になど見えなかったからだ
「昔は自分も旅人だったもんで、この格好がどうしても落ち着くんスよ」
「へぇ、そうなんだ」
「と、自分の事よりも、何か子の店に用があって、と言うより店に来たんだから用があって当然っスよね」
「あ、そうだ、仁にこれ渡してって言われて」
そう言って謎の紙を手渡すロスト
「あぁ、いつもの仁殿の謎の物の作成っスね」
ミユは紙を受け取り見開く
「ふむふむ、まーたよく分からない物をご所望っスね・・・・・ って、払いは後払いっスか・・・・・」
とても嫌そうな顔で言うミヤ
「後払いは嫌なの?」
「嫌っス、すげぇイヤっス」
不快な物でも見たような顔で言うミユ そこに深月がボソッと
「本当に守銭奴なんだから・・・」
「何か言ったか深月ちゃん?」
「いえ何も」
白を切る深月に対してか、それとも後払い要求の仁に対してか、ミユは大きくため息を付いて
「ま、仁殿はうちの常連の上に支払いが凄い良いお方っスからね 後日の金額を多めに取るって事で後払いでも勘弁してあげるっスよ」
「そ、それはどうも・・・・」
こっちに被害は何も無いが、仁の事を思うと少し苦笑いである
「ま、困るのは仁だけだし別にいいよ」
「言っちゃったよ・・・・」
少しは申し訳なく思おうぜ
「あのセクハラ野郎に同情とかしないから」
まだ根に持ってたのかよアレ
「ま、その点は心配無いっスよ」
辺りに飾ってある鉱石を取りながらミユは言う
「仁殿は本当に毎回支払いが良いお方だし、何よりかの有名な最悪の吸血鬼っスからね 危険な洞窟の奥深くにあるような鉱石を持って来たりしてくれるようなお方っスからそこら辺は気にしないと思うっスよ」
「・・・・あぁ、水晶を何でレギオンが運んでると思ったらその為なんだな」
納得したようにレイは言う
「ま、とにかくまずは物品っスね これなら多分小一時間で出来ると思うっスから商品でも見ながら適当に待ってて下さいっス」
そう言って店の奥に行くミユ が、ヒョコっと出てきて
「欲しいものがあったらジャンジャン買って下さいっスね☆」
パチンとウインクを決めてから再び店の奥へと入って行ったのだった
「・・・・・・商売好きなんだね」
「いやただのお金大好きな野郎なだけなんじゃね?」
「猫の耳ってよく聞こえるんスよ~!」
あ、聞かれてたわ




