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日記のような物語(ダイアリーテイル)  作者: ミハヤ
「シフト・グリニッジ」
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戦闘準備期刻 其ノ一

あれは夢・・・・ では無いのだろうな また戻ってしまったのは 二重の意味で

アエンに戻ってしまったのと、元の世界にあっさり戻れたという意味で


学校への登校中、 この時間帯だと僕以外に登校する人が居なくて楽だ 手にある謎のカードを持て遊びながら歩く


『そのカードにはボクの能力を付与してあります それを使えば君たちの世界からでもこの異端郷へアクセス出来ますよ あ、こっちへ来るときはここから出たところから再び戻ってください』


つまるところこのカードを持って帰って来た時と同じ道、登ったことのない山の上の神社の鳥居をくぐればいいらしい


なんで出口鳥居だったんだ? てかマジであんな山奥に神社があるとか知らなかったんだけど


まぁとにかく、全く凄い事をするやつである と言うより凄すぎるのだが・・・・・


いや、僕をアエンに連れて行ける奴が居たのだからむしろ出来て当然なのか?


「・・・・・いや、そんな訳無いだろ」


そんなポンポンと行き来できては昨日ユウキに言った通り異世界では無くなり、ただのお隣さんになってしまう


となると、やはり仁のしたことはかなり異常な事なのだろう


「あいつ、本当に何者なんだ?」


そんな事を呟きながら歩いているとふと、


「・・・・ん? あれは・・・・」


見知った背中を見つける


「どうしたユウキ こんな早い時間に」


「なんだレイ・・・・ ではなくて、ロスト・・・・・・ だけれども・・・・・  あー! もうややこしいな冷鵺(レイヤ)!!」


そこに珍しくユウキがいた こんな早い時間なのに


「そうだややこしいんだ おかげて自分で自分の名前を忘れる」


「昨日言ってた自分でも振り回されるってこれの事かよ・・・・・ 

てか自分の名前くらい覚えようぜ? ロストは覚えられるんだから冷鵺くらい覚えようぜ?」


「忘れるものは仕方がない」


と言うより僕の中でロストの存在があまりにも大きすぎるためどうしてもそっちに引っ張られてしまう


「そういえば冷鵺、お前家族に何て言われたんだ?」


「あぁ、昨日の帰りが遅かったせいで結構心配されてな 今日の朝も何度も大丈夫かと聞かれたため少し逃げるように家を出た」


「過保護だなぁ・・・・・」


「一度子供が居なくなる事件があったんだ 仕方ないとこさ」


肩を竦める僕に対しユウキは、


「何か、違和感しかねぇな・・・・・・」


それは自覚はある

何処かユルい感じのするレイとも似つかず、また天真爛漫なロストとも似つかず 本当に何がどうなってこの僕、冷鵺からレイとロスト二人の性格が出てきたのか今でも疑問に思う時がある

が、


「それは僕のセリフでもあるのだが」


「ん?」


「お前こそ、どうして『時間移動』とかそんなことになったんだ? アエンが叶えるのは心の奥底の願い」


つまるところ、


「お前に何があったんだ? 時間を変えたいと思うほどの何かがあったのか?」


帰った後、僕はどうしてユウキがそんな能力を得たのか考えていた ちなみにだが、多分仁は分かっていて、と言うより察していて『シフト・グリニッジ』なんて言う二つ名をユウキに付けたのだろう


「自分は話そうとしないのに俺には話せと言うのだな」


「気になって早起きしてしまうんだ」


「いつも早起きだろうが」


「今日は五分早く起きてしまった」


「あんま変わらねぇな」


そう言って笑った後ユウキは


「・・・・・気になるなら付いてきてもいいぜ」


朝早くから登校している理由なのか、そう言うとユウキは登校通路から道をそれた


「・・・・・・・・・」


あっちになにかあるのだろうか


僕はユウキの後を追う事にした




「・・・・・・何処に行くんだ? まさか路地裏か?」


「いやちげぇよ 別にアヴァロンに行くって訳じゃねぇよ てか路地裏からじゃあのカード使えないだろ」


特に変哲の無い住宅街を歩く ユウキの後を付いているのは良いが一体どこに向かっているのか


「着いたぜ」


「・・・・・・着いたといわれても」


ユウキに連れてこられたのは本当に何も変哲も無い住宅街の道路のど真ん中 強いて言えば見渡しの悪いT字路が在るくらいなのだが


「一体ここと時間移動が———————————————」


どうゆう関係があるのか  そう言おうとしたがその先は言えなかった いう必要の無かった

ユウキがカバンから取り出したものを見て


そしてユウキはT字路の道と道が交差しているところの壁沿いの真ん中にあるカーブミラーにカバンから取り出した物を置く


「ここ、前まではカーブミラーが無かったんだぜ」


「・・・・・・・・・・・・・」


その発言聞いて、僕は確信する


「ここで、事故があったのか」


僕は置かれた花束を見ながら言う


「ああ 俺の目の前での事故だ」


ユウキは手を合わせてからこちらを見て言う


「飲酒運転による事故だったんだ 俺が中学生の頃、此処を歩いていたんだ すると嬉しそうな女の子が俺の横を駆けっていて、その女の子がT字路を出たときにそこでふとレースゲームみたいな謎の爆音がしたんだ 

何事がと辺りを見渡しているとふと気づいたんだ 女の子が驚いて右を向いている事に」


当時の事を再現しているかのように右の通路を見やるユウキ


「それを見た時本能的に悟ったよ あっちから車が住宅街とは思えなスピードで走ってることに まぁ俺からは車が見えなかったのだが


それで俺は走った 懸命に走ったよ 頑張って、頑張って それで車が俺にも見えるようになった頃、ようやく女の子の腕を掴めたんだ だが、」


ユウキは手を伸ばし、掴めない物を掴むように虚空を掴む


「腕を引っ張るのが間に合わなかった 女の子の体が車に当たり、そして俺の手から腕がすっぽりと抜けたのち、周りを赤く染めながら宙を舞ったよ」


「・・・・・・・・・・・・・」


「折角届いたのに時間が足りなかった 手を引く時間が」


「・・・・それが、時間移動を心の底から願っている理由か」


ユウキは寂しそうに笑う


「思い出すたび思うんだ せめて早く気付けていれば もう少し車のスピードが遅ければ もっと俺の足が速ければ 手を引くのがせめて0.5秒でも早ければ って  だから」


と、ユウキは僕を見て言う


「だから俺は時間移動の能力を手に入れられた」


そして今度は希望ある笑顔で笑って


「もうこんな後悔をしないですむという願いが叶ったんだ」


「・・・・・・・・・・そうか」


僕はそうしか答えれなかった 此処まで聞いて気付いてしまった 仁が付けた『シフト・グリニッジ』の意味を 確かにこれは仁が『あー・・・・・・』って言っていたのも頷ける


それでは、その能力ではいつかまた()()してしまう時が来るだろう 自分の無力さを


・・・・・だがま、


「よかったな」


もしかしたら一生来ないかも知れないし、気付くまで言わない方が幸せというものだろう


「・・・・・ところでさ、もしかしてそれシバちゃんを虐めるのと関係ある?」


「え!? どうして分かった!?」


「いや、何かその話を聞いてると何でお前がシバちゃんを虐めているか分からなくてさ」


「あー・・・・ っとな・・・・・」


「・・・・取り敢えずそろそろ歩こうぜ」と言って学校へ歩き出すユウキと僕


「・・・・・・実は言うと、八つ当たりなんだ」


「八つ当たり?」


「そう、八つ当たりだ あいつの見た目、実はその引かれた女の子と似ててな それで、この事故の事を思い出して、助けれなかった自分を思い出して、それに腹が立って・・・・・」


「ついつい怒りをシバちゃんにぶつけちゃうと」


コクリと頷くユウキ


「俺もこんな事する意味が無いってのは分かってるんだけどなー どうしても止められなくって」


空を眺めながら言うユウキ その表情は何処か照れ臭そうだった


「やっぱり負い目からは逃げられないのかねー」


「そうだ」


「ん?」


「そうだ 決して人は自分から逃げられない」


いや、逃げることはできるだろう だが・・・・・


「逃げれたとしても自分を捨て去ることは決して出来ない 自分で自分を赤の他人になんて絶対に出来ない」


「・・・・・・・冷鵺?」


自分を捨て去ろう(いつわろう)としたのに、捨てれなかった(あらがった)僕のように


「どうかしたか?」


「・・・・・何でもない 早くいくぞ」


「? お、おう・・・・・・・」





「・・・・・・・・お前はそれを大切にしろよ」


「? 何が?」


「いや何でも」


そんな前向きな事を心の底から願えるなんて、全く羨ましい限りだ

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