城壁の吸血時計 其ノ五
「いやー、失礼失礼」
「「「「・・・・・・・・・」」」」
全員の冷たい目線 約一名は物理的に燃えそうな程熱い熱光線視線だが、を受けながら仁は逆さ宙釣りのまま笑う
何があったかはちょと怖くて聞くことは出来ない
「懺悔の準備は出来てる? 死ぬ?」
ずっと仁に刃を突き付けているロストは言う
「いや待って下さい! 弁解の余地くらい下さい!」
「弁解の余地もへったくれもあるか!!」
少し涙目になりながらロストは叫ぶ
「マジで怖かったからな! 下手するとお前が怒った時よりも恐かったからな! レギオンに仁に何かあったって聞いて急いで駆け付けたらイキナリ噛みつかれておまけにセクハラまぜされそうになったんだよ!
初めてマンガで色々される女の子の気持ちが分かったわ!!」
「あはは・・・ それはすみません・・・」
ロストの剣幕を見て弁解の余地無しと悟ったのか、降参するように笑う仁
「だって最近はめんどくさい事が多くて・・・・ そんな中で久しぶりにロストに会ったんですもん
そりゃテンションも上がってセクハラの一つや二つぐらい」
「エロおやじかよお前は」
俺がそうツッコむと、どうやら初めて俺の存在に気付いてくれたようで、
「え? 誰です?」
と聞かれた
「俺を睨んでたくせに気付いて無かったのかよ・・・・・・」
そう言うと仁は、 いや、
「ハッ、虫けらの事を一々気に留めるはずねぇだろ」
「な・・・・・・・・っ!」
もはや仁に似た誰かと呼ぶべきか
急に不陰気が変わり、正に吸血鬼と呼ぶべき、傲慢で独創的な、いまが最も暗い宵の時間とも相まって、かなりの不陰気を醸し出していた
が、
「・・・・・・・・・・・」 カチャ
「完全に気付いてい無かっただけでしたすいませんでした」
ロストの無言の圧力(刃)によって即弾圧されたのだった
「今度僕の後輩を虫けら呼ばわりしたら仁のゲーム全て粉砕するからね」
「分かりました二度と言いません!!!」
ビシッ と敬礼までして約束する仁
「まて今どうやって宙づりから抜け出した」
「あ、戻った方がいいですか?」
・・・・・・僕の後輩、な
仲のいいロストと仁を見ながらふと思う
分からない所が多いロストだが、本当に優しいところが多い
ロストと初めて出会った時もそうだったな 確かあの時は芝埜に八つ当たりをしてしまった時、ロストが割って入ってきて・・・・
「ところで、」
と、考えている俺に声をかける仁
「あなたは誰ですか? あ、いえ、今回は単純に純粋な意味ですよ? 何せ名前も聞いて居ないんですから」
「あぁ、そうだったな 俺は時杯 優鬼 ロストの後輩に当たるな」
「ユウキ君ですか 改めまして、ボクは輝闇 仁です よろしくな、にんげ・・・・・ わかったわかりました!」
またもやロストに威圧され謝る仁
「・・・・・お前ら仲良しだな」
さっきから二人の絡みが凄いアツいのだが
「二人は大親友だからねー」
と、そういえば此処にいたレイが言うと、
「「別に大親友とかそうゆうのじゃ無いし!」」
と、声をそろえて言う仲良しの二人
「・・・・って、そういえば刹那は?」
気が付くといつの間にか姿を消していた
「あ、さっき仕事に戻るといって部屋を出ていきましたよ」
「何時の間に・・・・」
「と、それよりもでですね・・・・・」
と、今度は俺の目を覗き込んで言う
「ユウキ君、あなた中々面白い事になってますね」
「はぁ?」
またからかいの類か? そう思ったがどうやら違うようで
「どうゆう事?」
とロストが聞いていた
「そのままの意味ですよ さて、ユウキ君」
「な、何だ?」
今度は大胆不敵で全てを見透かすような笑みを浮かべて仁は言う
「君がどう変わったか、聞かせて貰えますか?」
「どうって、何が?」
何か変なこととになってるのかと思い体を見渡すがこれと言って変化は無い
別に俺は何も変わって無いが・・・・ あれ? 前にもこんな事あったような・・・
「君はどんな願いが叶ったのかと言う意味ですよ」
「あ、そうゆうゆ?」
そういえばさっきもロストに願いが叶うとか言われて自分の体を見渡してたな
「って、そうだ! なぁなぁロスト! 俺凄い事が出来るようになったんだぜ!」
「・・・ふぅん?」
特に興味無さそうに返事をするロスト
あ、これ信じて無いな
「よし、見てろよ」
俺は近くにあったゲームのコントローラを手に取る
「仁、行くぞ!」
「ん?」
俺は仁に思いっきりコントローラを投げる そしてここで・・・・・
「・・・・あれ?」
特に何事も無くパス と仁がコントローラをキャッチした
「何も無いじゃん」
「あ、あれ? そんなはずは・・・・・」
確かにさっきは出来たのに・・・
「前に一度は出来たのですか?」
「あぁ、さっきは出来たのに・・・ 出来てたよな、レイ?」
「うん、あの岩を避けたやつだよね」
頷くレイ さっきも出来ていたのだから今も出来ると思うのだが・・・
「あぁ、多分それ場面の問題ですね」
「場面?」
「そう、場面です」
人差し指を立てながら仁は説明する
「多分それは危機的状況だから出来たんです いわゆる本能というやつですね」
「・・・・・あぁ」
よく考えればロストの時も岩の時も危ない事になっていたな だから出来たという事か
「それなら危機的状況にならないと使えないという事か」
何と不便な・・・
「いえ、そういう事では無いです」
と、仁は少し考えてから
「そうですね なら、技名でも付けたらどうですか?」
「わ、技名? いるの?」
技名とかただのカッコつけじゃね?
「ええ、時と場合によっては
そもそも技名とはカッコつけよりもその技を意識しやすくするためにあるんですから 自分が今何をしているのか
それに名前を付けることで意識しやすくするんですよ」
「僕の空飛ぶ影鳥とかそうだね」
と、ロストは手に黒い鳥を出して言う
「名前を言う事で鳥のイメージをしやすくなるんだ 僕の能力は『偽造』することだから何よりも元の形、鳥を出すなら元の鳥のイメージを上手く抽象する必要があるんだ
その為に名前が、正確にはイメージしやすくなるルーティーンみたいなのが必要になるんだ
だから他の物を出すときとかもその場で名前を付けてるんだよ」
「へぇ・・・・・」
成る程な・・・ 名前は重要っと
「・・・・あれ? でもレイの時は何も言って無かったよな?」
確か氷柱を跳ね返していた時は何も言って無かったが・・
「んー、別にオレはそうゆうの気にして無かったし、言わなくても何か出来るからな
名前を言った方がいいなら考えるけど」
「いや、いいや」
それより今は俺の能力の名前だ
「んー、そうだな・・・・」
もう一個のコントローラを手で弄びながら考えて、
「・・・・・よし」
もう一度仁に投げ、
「逆速!」
そう言うと目の前のコントローラが消え、
「よし! 出来た!」
俺の手にコントローラーが戻っていた
「どうだ! 俺の『時間移動』は!」
「へぇ・・・・」
しっかり驚いてくれているロストと
「あー・・・・・・」
何故かちょっと苦笑いの仁
「って、何だよ仁 不満なのか? 時間移動とか凄いだろ」
「まぁ、凄いっちゃ凄いのですが・・・・・」
「いや何だよ」
何故か物凄い申し訳なさそうにしている仁
「えっと、もしかしてそれ逆に早めることも出来ますか?」
「あぁ、出来るぜ 実際岩の動きだけを速めて岩を回避したことがあるし」
「あー・・・・・・・・」
「だから何だよ!!」
何か不満があるなら言えよ!!
「・・・・・ま、いいか 気にしないでください『シフト・グリニッジ』君」
何で一人で納得してんだよ って、
「な、何? シフト・グリニッジ?」
「ええ、折角ですのであなたの二つ名を考えておきました」
「・・・・・・それもいるやつ?」
「あって困る物ではない程度」
肩を竦めながら言うロスト
つまり必要無いのか・・・・・
「て言うか・・・・・ いや、止した方がいいか」
ロストも何だよ さっきから何を隠そうとしてるんだよ
「そいやロストにも二つ名があるのか?」
「うんあるよ 『ヴァニティ・キャメロット』っていう二つ名が」
「ヴァニティ?」
あれ、それ何処かで聞いたような・・・・・
「あとレイには『反王』って言う二つ名が」
そこまで言われて、
「あ! それロストが誰かにそう言われてたわ!」
何処かで聞いたことあるかと思えばあの時、路地裏で誰かと話してる時にそうロストが呼ばれていた
と、ここでふと疑問に思い、
「そういえばさ、あの時「ま! 話はまた後日にして」
パン と会話を終える合図を出すかのように手を叩いて仁は言う
「そろそろご飯の時間でしょうし、食べてからゲームでもしましよう!」
今更だが仁の部屋には沢山のゲームや三画面のパソコンとかあり、ゲーム好きなのがうかがえる
「お! なら後でやろうぜ!」
俺もゲーム好きな為賛同するが、
「あ!!」
と大きな声を上げてロストが
「もう帰らない親が心配してる!」
と言った
「・・・・・・お前、意外にいい子なんだな・・・・・」
意外とロストは親思いだった
「いや、もう分かってるよ思うけど前にこの世界来たことがあって、それで二週間くらい長居したのち帰ったら僕が誘拐された扱いになってて、それで親に大泣きされてからね
それ以来六時以降に帰ってなかったら電話を入れられたりしてね・・・・」
「もう六時過ぎてね?」
何故かこの部屋には時計が無いので正確な時刻は分からないがもう日が落ちてるし、絶対に過ぎているだろう
「うん だからさ・・・・ 久しぶりなのに悪いけど仁、僕らは返してくれない?」
また騒ぎが起こるかな・・・・
さっき久しぶりにロストにあってかなり取り乱した仁だ これは簡単には引き下が
「いいですよ」
「いいのかよ!!」
意外にもあっさりと了承をした
それはロストも同じだったようで、
「え、マジで・・・・?」
と呟いていた
「もちろんですよ」
と、仁は笑って言う
「むしろ嬉しい限りですよ 前はあれだけ帰るのを拒否していたのに今は帰りたいというなんて
何か子の成長を実感している気分ですよ」
「・・・・・・・・・」
前に何があったかは知らないが何か壮大なことはあったらしく、少しロストが恥ずかしそうにしていた
「ま、それに行ったり来たりの方がレイ君にはありがたいでしょう」
「え? それってどうゆう・・・・・」
と周りに聞いてみたが・・・・・
「うん・・・・・」
レイは寂しそうに頷き、
「・・・・・・・」
ロストはただ下を向き、
「ユウキ君が気にする必要無いですよ」
仁は諭すように笑って言った
「そ、そうか・・・・・」
とても深く訊ける不陰気では無かった
ホント、何が在ったんだよ・・・・・
「・・・・って、行き来?」
と訊いたのはさっきまでうつむいていたロストだった
「ええ、行き来です」
と、仁はため息をついて、
「本当は僕は君たちが帰ってから一週間くらいで帰ってくると思ってたんですよ」
「・・・・・・え?」
「折角早急に準備して君たちの帰りを待ってたのに来る日も来る日も帰って来なくて・・・・・
ほんと、こんな短期間を遅いと感じたことは今までなかったですよ? おかげてストレスマッハでしたよ」
疲れたように笑って仁は言ったのだった




