事件開始ノ刻 其ノ二
「願いが叶う場所、化け物が住む場所、異端郷、アヴァロンエデンねぇ・・・・・」
その、何と言うか・・・・・
「とてつもなく胡散臭いな・・・・・」
「そんなもんだよ」
洞窟を探索している道中、ロストのこの場所、異世界、アヴァロンエデンのついて聞いた後の第一声がこれだった
「そもそもこの名前自体が胡散臭いんだよ アヴァロンエデンとか妙に語呂が悪いし 一体誰がこんな名前考えたんだよ」
「そこまで言うか・・・・」
中々に厳しい発言だった
「せめていい略し方とかあればまだ良かったんだが・・・ あ、アエンとか割かし良い感じかも!」
「もう別の物じゃねぇか!」
何で金属名称になってるんだよ 何だ此処産地なのか? 金属産地なのか? って、亜鉛って天然で取れるものだっけ? 後で調べておこ
「ま、話しを戻せば異世界ってのは割かしそうゆうものだよ 何てったって異世界だからね 異世界だよ期待すればするほどイメージと違った時の反動が大きくなる
仮面ラ〇ダーが最終回だからと言って期待しすぎたから見たときに何か妙に物足りないと感じる場面があるように感じるアレみたいに」
「・・・さいですか」
何だその分かるような分からないような例え
「とにかく過度な期待はしない事だね」
「で、でもさ!」
そんなこと言われても期待はせざるを得ない 何故なら、
「ほ、本当に何でも願いが叶うのか!?」
願いが叶う場所 確かにロストはそう言った
「確かにそうなんだけど・・・・・」
「本当に、本当に願いが・・・・・・!」
なら、願う事は一つだ!
「それで、どうやったら願いが叶うんだ!」
「近い近い近い 取り敢えず落ち着いて・・・・」
「おっと、悪い」
ついつい興奮してしまったかな?
「ったく、今の絵面的に危ない人だったからね」
と、ぐちぐちとそう言ってから続ける
「願いが叶うって言ってもどう願いが叶うか解らないからね」
「? どう願いが叶うかわからないって、それっていつ願いが叶うか分からないって事か?」
「と言うより、どう願いが叶うか分からないってこと ここ、異端郷は本当の願い、自分でも気づかないような深部に眠っている願いを形作る場所なんだ
つまり言うと思ってたのと全く違う感じになるって事だ 僕みたいに」
「ロストみたいに?」
「何でもない!」
はぐらかすように叫けぶロスト
そういえば・・・・・・
「もしかして、ロストも願いが叶ってるのか?」
「・・・・・・ま、まぁ、ね・・・・・・」
「へぇ、どうな感じなんだ? どんな願い事が叶ったのか?」
これは、ただ好奇心で聞いてみただけだったのだが、
「ま、ま、まぁ⤴ 気にすることないよ?」
何故か汗をかいて声もうわずつていた
「お、おう・・・・・」
あまりの慌てぶりにもうこれしか言えなかった
触れない方がいいかな・・・?
「それりも、もしかしてもう俺の願いも叶ってるって事なのか?」
「うん、そうだね」
「え!? マジで!?」
じゃ、じゃあもしかして既に俺に何かしら変化が・・・・・
と、思い自分の体を見渡すが・・・・・
「・・・・・何も無いじゃん」
何一つ変化はなかった
「何も無さそうだね」
ロストは肩を竦めながら言う
「となると、多分内面的、つまり能力付与みたいな形になっているのかな?」
「の、能力付与?」
何だそのロマン溢れる単語は
「この世界の願いの叶え方の一つだね 夢を掴むための力を与える、って言い方をすれば分かるかな?
つまり今のユウキは何か特別な力的な何かが宿ってるって事だよ」
「と、特別な力!? そ、それで俺にはどんな力が宿っているんだ!?」
もしかして最強無敵のスキルとか!! そう期待して聞いてみたが、
「さぁ?」
ロストの返答はこの乾いた一言だけだった
「さ、さぁって・・・・・」
「いや、こればかりは本当に知らないよ」
と、ロストは俺を指差してから言う
「こればかりは君しか知らないよ 何せ君の願いの具現化だからね 君が過去何が有って、何を思ったかに依存してるから」
「過去に、何があったか・・・・・・?」
その言葉に、ふと、在る光景がよみがえる
「そう、君の身に何かが起こったか、あるいは・・・・・」
目の前で、赤く染まった少女の光景——————————
「なら、もう一つしか無いだろ」
「ん?」
俺の願いは後にも先にもこれしかないと思う
「俺は——————————」
と、言おうとしたところで
「——————うぉあ!!!」
「ユウキ!」
ガシッ と俺の腕をロストが掴む
間抜けにも何故か開いていた地面の穴に落ちそうになったが何とかロストが捕まえてくれた だが、
「お、重い・・・・・」
むしろ何で今持てているのか 到底ロストの細い腕では高校生の俺を引き上げることなどできず、少しずつズルズルと底の穴に引っ張られる
「くっ!」
二人して落ちる前に何とかして穴の淵に手を伸ばすがギリギリ届かない
「あ、ヤバい マジでヤバい あ、ゴメン」
懸命に引っ張ろうとしているロストだがもう限界が来たのか、 むしろ小さいのによく頑張った方である 涙目になりながら謝り、そして
「うぉあ!!」
ズルっ と音と共にロストと一緒に落ち———————————
「———————っ! ぉあ!させるかぁ!! 偽造翼膜!」
と、何かの掛け声と同時に、
「うわわっ!!」
唐突にフワリ と体が浮いて無理やり穴から引っ張りだしてくれた
「いてて・・・・・」
衝撃で少し体を打ったが何とか落ちずに済んだ それと助けてくれたロストと言えば、
「きゅ~~~~~・・・・・・・」
思いっきり俺を引き上げた反動だろうか、5、6mくらい吹っ飛んでいて目を回していた
てかふっ飛びすぎだろ
「お、おーい、大丈夫か?」
頭をぶつけていないだろうか そう思って声をかける
「う、うん 大丈夫だよ・・・・・・」
幸い意識はあるようで返事はしてくれた
「いてて・・・・ 翼を偽造するなんてこと初めてだし、何より『偽る』なんて久しぶりだから加減間違えちゃったな・・・・」
まだ少しクラクラするのか、頭を押さえながらゆっくりと起き上がるロスト
相変わらず訳の分からない事を言っているが取り敢えず無事で・・・・
「ん?」
ふと、ロストのすぐ横の真上から何か垂れている事に気付いた 何か、ネバネバした液体みたいなのが・・
それに釣られてロストの上の天井を見れば—————————————
「っっっ!! ロスト上!!!」
そう叫んで俺は走る
「んえ・・?」
ロストが間抜けな声を出して上を向いた途端、
「ゲリャヤヤyャヤーー!!」
「うぇ・・・・・? うえぇぇーーー!!」
よくわからない声を出しながら再び転ぶロストに飛び掛かる巨大ガエルっぽい何か
マズイ! このままだとロストが食われる!!
懸命に走り、手を伸ばすさなか、ふと既視感を覚える
あの時もそうだった もっと早く気付いて居れば、もっと早く走れていれば
今でもその後悔は無くならない いっそのこと時間を巻き戻してもう一度あのシーンに戻りたいと思う時だってある
そしたら、今度はちゃんと助けれるのに
「く・・・おぉーーーー!」
ダメだ! これは間に合わない!
またか またなのか! また間に合わないのか!!
「こうなったら、空飛ぶ———————」
ロストが何かをしようとするがどうにもできないだろう
ここは アヴァロンは願いが叶う場所なんだろ・・・・・? なら、なら!
「手を届かせたいって願いくらい叶えろよ!!」
そう叫んだ途端、 ガシッ と腕を
「フラ———————————— ・・・・・・あ?」
ロストに掴まれた
「・・・・・・え?」
いや、何でロストに手を掴まれてんの? てか、何でロストが視界のうえ—————————
「「あ」」
お互いに何となくだが状況を理解した
一瞬の沈黙 数舜の時間停止ともいえる
しかし、時間停止などそんな高等技術が誰も使えることも無く、
「うぁぁぁぁぁーーーーーー!!!」
「ユ、ユウキーーーーーーー!!?」
スルッ とロストの手から外れ、そのまま重力に従って穴の中を落下していった




