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日記のような物語(ダイアリーテイル)  作者: ミハヤ
「王と  」
26/129

「王と城壁 ~ヴァニティ・キャメロット~」


まず感じたのは、身体が重い事だった


「ん・・・・・・・・・ んー?」


とにかく身体が重かった 懸命に重い体に鞭打って立ってみれば、次に感じたことは異様に目線が高かったこと


「・・・・・・・・・」


ふと振り返りると池、と言うより水たまりがあった

その水たまりを覗いて目れば、そこに映るのはレイ、いや・・・・・・・


「・・・・・・・・そっか」


僕が映っていた


結局、ちやんと帰ってしまったのか  いや別に悪い事ではないはずだ しっかり事故無く帰れたのだ 特に落ち込む必要の無い、はずだ だが・・・・・


「・・・・・・・・・・・・」


水面に映る僕はレイと全く違っていた 全く同じ顔なのに何処か違った、いや間違った不陰気があった


優しい笑みが似合っていたレイとは違い、何処か不機嫌そうでシザースみたいに妙に表情が乏しそうな顔が其処にはあった


「・・・・・本当に、居なくなっちゃたんだな」


そう呟く声にも違和感を感じる 二週間前まではこの声この顔が当たり前だったのに、全くの別人のように思える


「・・・・・・・・・・・ふふ」


思わず、笑みがこぼれてしまう


まるで異世界に来たみたいだった 異世界に来ていつの間にか転生しちゃったっていう最近流行りのアレみたいな気分だった

今いる世界こそが現実世界、リアルな世界のはずなのに


「良く小説であるVR世界にハマってしまってVR廃人になってしまう人ってきっとこんな気持ちをしてたんだろうなー」


そう思い、一人クスクスと笑う


「さて・・・・・・・・・・」


一しきり笑った後、森の中からでもぽつぽつと見える光を見る

間違いなく町の明かりだろう


「・・・・・・・・・・・行こうか(帰ろうか)


もう一度だけ水たまりを覗き込み、そこにあった表情が乏しそうか顔を見てから光に向かって歩く


今まで(ロスト)通りに笑ったつもりだったのに、ほとんど表情が変わってなかったなぁ・・・


段々と光が近くなっていく そして遂に森を抜けると・・・・・


「・・・・・・・・・・・・・」


沢山、と言うほどでは無いが車が通り、統一感のある住宅が並び、少し物寂しげな街灯が並ぶ、大きい道沿いの統一感のある、だからこそ奇妙に思う住宅街 僕の住んでいた町があった


「・・・・・・ホント、不思議な物だね」


取り敢えず町の中を歩き出す もう辺りが暗いためか、ほとんど人通りが無い

あるのは本当に物寂し気な光だけだった


さて、どうしようか・・・・・・


目的も無くさ迷いながら考える

普通ならここで家に帰るべく家に目指すのが一番なんだろうが、何せ二週間の家出(誘拐?)だ

とてもでは無いがそう易々と家には帰れない

おまけに家に帰って両親に嫌がられる様な顔をされてしまうと本当に立ち直れなくなる


それほど僕の事が———————

「おい君」


そんなことを考えていると、後ろから声をかけられた


「・・・・・・何です?」


振り向くと全体的に青い服と銀色の自転車、よく見かける普通のポリスメンがいた

よくよく考えれば見た目高校生、 年齢はちょうど高校一年生ぐらいだが残念ながら高校には通っていない が夜間一人であるいて居たら声をかけられるよな って、今それ程な時間帯なのか?


そう思っていると、ポリ・・・普通に呼ぶか お巡りさんがこういったのだった


「君、行方不明の子だよね?」


「え・・・・・・・・・・?」




「良かった・・・・ 良かった・・・・・・!」


警察署の中、連絡を受けて慌てて駆け付けたのか、母親が息を切らせて僕のいる部屋に入るなりイキナリ泣きながら飛びついてきた


「・・・・・・・・・・・・・・」


正直、唖然とした こんなに心配されているとは思ってもみなかった


帰らない僕を心配して、警察に通報して、必死に探していてくれたなんて思いもよらなかった


その後に続いて父親も警察の偉そうな人  あ、これは態度がでかいという意味では無く本当に偉そう、つまり階級が高そうな人  と一緒にやって来て「本当にありがとうございます」 と、頭を下げていた


「心配したんだぞ、全く・・・・・・・・・・」


「ごめんなさい」


その言葉に両親が、母親と父親がびっくりしていた


親が子供がごめんなさいと言ったくらいでそこまで驚かれるか と思われるだろうが、

安心して欲しい 僕が一番びっくりした


前の自分だとこんな言葉すら出なかったはずだ ずっと部屋に引きこもって、ずっと誰かとの会話を絶って、ずっと誰も信用しなかった僕がごめんなさいと言うなんて


「・・・・・・・・勝手なことしてごめんなさい」


「・・・・・・・良いんだ お前が大丈夫だったのなら」


父親はそう言いながら僕の頭を撫でる 正直嬉しくなかった

やっぱり、王さまに撫でて欲しかった

・・・・・・・・・やっぱり、寂しいな


そう思っていると、

「ところで何故いきなり行方不明になったのだ、君」

考え事している最中に警察の偉そうな人にそう尋ねられて、折角嘘を覚えたのに、


「 「此処じゃない面白いところがあるから君も行ってみ無い?」 って誘われて付いていったら変な所へ連れて行かれた」


「何!?」


あ・・・・・・・・・・・・・・・・ やっべ


その後は、覚えた嘘で何とか事情聴取をやり過ごしたのであった


正直に異世界に行ったとか言っても信じて貰えないだろうしね・・・・・・・・





「疲れた・・・・・・・・・」


車の後部座席二つを丸々使って横わたりながら呟く

聴かれに聞かれまくった 本当に根掘り葉掘り聞かれまくった


何処に連れて行かれたとか、犯人の特徴は、とかなどなど

まぁ、答えたほとんどがねつ造なのだが そのおかげで架空の犯人が指名手配されることになった


嘘って怖えな・・・・・・・


在りもしない罪が出来上がるのは何とも滑稽で怖くもあった


ただ、その話の中で唯一本当の事があった 


「一度会ってお礼を言わなくちゃね その『王さま』って名乗っていたお兄さんに」


「・・・・・・・・・うん」


王さま、レイの事だ そこだけは偽りたくなかった 僕をこの世界へ帰る気にさせてくれた、僕を変えてくれた王さまだけは


「それにしても・・・・ そんな安い言葉に騙されて付いて行ってしまうとは・・・・・」

ため息交じりに父親は言う


「うん、ごめん・・・・・ 此処じゃない面白いところってのがどうしても気になって・・・」


「・・・・・あのことを、まだ引きずっているの?」


「・・・・・・うん」


察しの良い母親だった あのこと、誰も僕がやってない事を信じて貰えずいじめにまで発展していたのがそもそもの、そんな怪しい話に乗った原因だと 

少しでも、あのことから遠ざかりたいという事を


「本当は高校に連れて行きたかったのだけど、その様子じゃ・・・・・・」


「・・・・・・・その事なんだけどさ」


思い切って、僕は踏み出してみる

話し終えた時に、ふと窓を見れば、薄く窓に映っている王さまが、よく頑張ったね と褒めてくれている気がした





「転校生、入ってこい」


その声を合図に、僕は横開きのドアを開ける


そして沢山の生徒の目線を受けながら僕は教卓の前へと立つ

僕は思い切って高校へ入ることにした そう母親へ伝えたと時の母親の顔はそれはそれで面白かった


まだ、生徒への、他の人への恐怖が無いわけではない むしろ恐怖だらけだった

また虐められないだろうか また罪を擦り付けられないだろうか

その思いはまだ消えないが、 まぁ、大丈夫だろう


何てったって、王さまが付いて来れているんだから!

僕は右手で左の腕の脈の部分を触る そこに、この体の中に王さまがいるように感じて


「自己紹介をしろ、転校生」


「はい」


とにかくまずは自己紹介だ 第一印象は一度しかないからしっかりしないと

第一印象を悪くして後に好感度を上げるという手もあるが、僕の場合だと上がるどころか更に下げそうなので止めておこう


普通に、あまり目立たないような感じでしよう


「僕の名前は—————————————————」


・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「? どうした、転校生? まさか名前を忘れたのか?」


きっと僕の緊張をほぐす為の先生の冗談に生徒から忍び笑いがこぼれる


「えーと・・・・・・・」


そしてこれは生徒の期待通りなのか、


「名前、忘れました・・・・・・・」

生徒が一斉に笑い出した


「何だそれは・・・・・・」

呆れたように先生は呟く


だってしょうがないじゃん 中々名前を呼ばれなかったし ロストの方が一番良く呼ばれてたし


「全く、とんだ天然な生徒が内に入ったな・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・すいません」

天然ゆうな


そして呆れるように先生は言った


「今度から忘れないようにするんだぞ 『亡神(なくしがみ) 冷鵺(れいや)』君?」


「はい」


そうそう、そうだった 神を亡くし、冷たい夜を過ごす鳥 と書いて亡神 冷鵺だった

これはレイ(冷)とロスト(亡くす)の元になった名前なんだから、しっかり覚えておかないと






こうして、妙に閉まらない感じで僕の高校生活が始まったのだった





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