「サムスアップorサムスダウン」 その3
「どう、ゆう・・・・・?」
事、なんだ・・・・・?
ロストはロストだろ? それが、オレだと?
一体どうゆう・・・・・・
「そのまんまの意味だよ」
笑いながら言うのは、バレたならもうどうにでもなれ、とか思っているからだろうか
「僕は君なの」
「・・・・オレの、別の人格って事か?」
「う、うーん、まぁ間違っては居ないとは思うんだけど・・・・・・」
腕を組んで悩むロスト
「正確には君が僕の別人格になるのかな? あー、ホントややこしいな・・・・・・」
「なら、ボクが説明「お前は説明ヘタクソだからしなくていい」酷すぎない!?」
・・・・・・いつの間にか,また仲良しに戻ってんな
「あー、いいかい?」
と、ロストはそう切り出し説明に入る
「まず、王さまの記憶が無い事からの説明でいいかな? 王さまがあっちの世界の記憶が無い理由、これは記憶喪失とか、記憶を奪われたとか、そんなんじゃ無いの 思い出せ無いのは、忘れたからとかじゃなくて、元々無いの」
「元々、無い・・・・・?」
「うんそう、元々無いの たぶん」
「いや多分って」
「いやだって別に王さまが何を覚えているか知らないし 実際パソコンとかそうゆうのは覚えてた、と言うか知ってたじゃん」
そういえばそうだ 記憶が無いなら普通そんなことも覚えてないはずだ
全く気付かなかった
「まぁ、簡単に言えば王さまは生まれたてホヤホヤ、異端郷に入って初めて自我を持ったから元の世界の記憶が無いの」
「あ、本体そっちなんですか?」
と、ロストを指差す仁
「いや、本体はこっち」
と、オレを指差すロスト
「え?どゆこと?」
本体って、何の話をしてるんだ?
「ロストが本当のレイじゃ無いのですか?」
「うん、本当のレイだよ 多分」
「いや多分って」
これ言うの二度目だぞ
「そんなこと言われても、これマジで訳が分からなくなってんだよ?」
いいかい? と、人差し指を立ててロストは説明する
「まず、人格的には僕が本物だ 実際あっちの世界の記憶もある」
「あぁ」
「でも、肉体的、つまり身体、本体は王さまなんだ」
「あぁ?」
「つまり、王さまは見た目は本物だけど中身は偽、 この言い方は何かヤだな・・・・ 別物なんだ
それに対し僕は見た目は偽物だけど、中身は本物ってことなの」
「えーっと・・・・・・ つまり・・・・・?」
う、うん? 何かこんがらがってきたぞ?
「つまりレイは本物の偽物で、ロストは偽物の本物って事です」
「いや、余計に分からないんだけど」
「まぁ『後ろの正面はどっちだ?』と言うような話しですからね」
と、仁は肩を竦めて言う
「もっと具体的な例を出すと、 レイは記憶を失った少年、失う前をM君でしたが、失った後はL君として過ごしました といった感じで、 ロストは∀君がふとした時に記憶が戻りM君に戻った、といった感じですかね」
「いや∀君って誰だよ! しかもM君は元L君じゃなかったのかよ!」
「そう、肝心なのはそこなんです」
と、仁はため息を付いていう
「レイはロストでロストはレイ、こういえば何となく理屈に沿ってるみたいですが一つおかしい事が一つ」
と、ロストを見て仁は言う
「その身体はどっから出てきた」
と、まじまじとロストの体を見つめる仁
「や、恥ずかしい////」
「殺そうか?」
わざと顔を赤らめてもじもじとするロスト そして真顔で殺す宣言をする仁
「・・・・・・お前ら、さっきまで殺しあってたんだよな?」
唐突に仲が良くなったな・・・・
「それも逆 仲がよかっ・・・・・・・・」
「? どうした?」
「な、何でもない!!」
何故かほんのり顔が赤い あ、これもさっきのように演技か
「・・・・・・ふふっ(ニヤニヤ)」
「なんですか刹那殿?」
「いや? 別に?」
鬱陶しそうな顔の仁とニヤニヤ顔の刹那
「ま、ま、とにかく!!!」
何かをはぐらかすかのようにわざと声を上げてロストは言う
一体何をはぐらかしたかったのだろうか?
「この体の事なんだけど、この体は・・・・・・」
「体は・・・・・・・・・・」
胸を張るようにして、堂々とロストは言う
「分かんない!」
「「「「「分かんないんかい」」」」」
オレと仁と刹那とシザースとロストは同じ言葉を口にする
「いやロストは混ざるな!」
これ、終盤のシリアスな場面だろ!? なんかどんどんコントじみてきたんだが!!
「まぁ、冗談はさておき 本当に分かんないんだよ」
ロストはため息を付いていう
「そもそも、はじめてここに来た時はこんな幼女? なんだよね? 吸血鬼だから鏡に映らないから姿分からないんだけど」
「それ、エセ設定ではなかったのですか?」
「カッコつけのはずだったんだけどね 何かいつの間にか公式設定になってて まとにかく幼女じゃなくて何か手がクロー状な上に喋れない謎の生物だったからね」
ん? 手がクロー状?
「それって・・・・・・」
「あの最初レイを見つけた時に攻撃しようとして、それを切った奴?」
「そう、君に切られた奴」
少し睨むようにしてロストは刹那に言う
「本当にびっくりしたんだからあれ・・・・・・ 急に自分の姿が変わった上におまけに目の前に自分が、王さまが目の前にいてさぁ、その上急に後ろから切られたんだよ? 「あ、死んだなこれ」 ってガチで思ったよ・・・・・」
「そ、そう・・・・・ なんか、ごめん」
「ホント、災難だったよ・・・・・・・」
そんな災難話しはさておき、
「それだと、余計にその身体の意味が分からないんだけど」
結局何がどうでどうなってそうなったのだ?
「あ、これ多分ね 虐めが起きた原因になった子なんじゃない?」
「え・・・・・・?」
「あ・・・・・・・」
思わず言ってしまった、と言うような顔をして顔を背けてしまうロスト
「・・・・・・・ふーん、成程ね」
逆に謎が解けたというような顔をする仁
「あの時の、クロウに異常発生の時に変なようになってたのはそれが理由?」
「ん? 何が有ったの?」
「過呼吸に陥った」
刹那の質問に簡単に、本当に簡単に説明するシザース
「いや、あれは・・・・・・」
あれはオレに騙しているということが醜いって思っ・・・・・
「オレを騙す?」
思わず声に出してそう言ってしまった
もしかして、
「・・・・・・仁の言った通りさ、」
「ん?」
「仁の言った通り、解らないものだね 自分の本当の願いって」
一度深呼吸をして、ロストは続ける
「僕はね、こんな感じに、王さまと僕と分断されている理由ってこうだと思っているんだ
僕は本当はその騙していた子を憎んでいた だからやり返したかった、同じ方法で、同じようにやり返してやりたかった そう心の中で願ってたんだと思う」
「ロスト・・・・・」
「だからね、僕はこう考えてるんだ」
何とも言えぬ表情でオレを見つめてロストは言う
「そんな僕を嫌って僕を自分から追い出したんだって」
「・・・・・・・・そのための、反発、か?」
周りから自分を守るため、周りを遠ざける為では無くて、自分で自分を遠ざける為
つまりオレは
「自分で自分を否定している、と?」
「僕はそう考えてるよ だから、自分も自分を否定する」
と、仁の方に再び黒い刃を向けて言う
「王さまは殺させない、そして帰らせもしない 王さまはここで僕には出来なかった、理想のレイになってもらうんだ ここで、肯定出来る自分になってもらうんだ!!」
「・・・・・・なんですかそれは」
仁は笑う 笑っている 嘲笑っている それでいて呆れていて、
「自分が出来なかったことを他人に押し付ける ハッ!人間らしな!!」
軽蔑している
仁も再び剣を構える
「自分に自分の理想を押し付けて何が悪い」
「それが人間らしいんだよ」
ゴウッ と大きな音を立てて仁の周りに炎が燃え上がる
「自分を他人と思う 自分を、自分の命を軽々しく見ている 結局、お前もただの人間なんだな」
もう容赦はしねぇぞ、 と仁は言い放つ
「だってそうでしょ?」
と何の音も無くロストの周りに影鳥が浮かび上がる
「命ってのは、重いモノってのは、重ければ重い程軽くなるんだよ 例えば持てないほど重い鉄鋼をクレーンで運ぶように 自分じゃできない殺しをかわりにやってもらうように」
「自分じゃ出来ない事を他人にやらせる それが一番重たい物を軽々しく持つ方法、か
はは、何か無名の兄妹たちが言いそうじゃない?」
「さぁ、どうなんだろうね?」
お互いに微笑みあう 笑いあう 実に楽しそうな光景
しかし、その光景が引き金となり、
「—————————————」
「—————————————」
片や爆炎を上げる光景、片や何も上がらない光景
無意味で、無意義で、
そんな必要のない戦いが再び始まった




