レスキューボーイズ 第五部 聖獣四天王編〈その二十三〉
その後、別行動をとっていた亜輝と礼子であったが……
礼子「亜輝君。」
亜輝「何ですか?」
礼子「あなた、紫炎さんと母の話になった時、項志君と何か話をしていたでしょう。」
亜輝「ええ。」
礼子「何を話していたの?」
亜輝「こんな偶然もあるんだなあ、ってことですよ。」
礼子「ごまかさないで……あなたと一年間、同じ学校でいた私にはわかるの。」
亜輝「何がですか?」
礼子「あなた、全て分かった上でやってるんでしょう、こういうことになることを。」
亜輝「……」
礼子「そういうところが気に入らないのよ。全て上から目線なのよね……あなたの思い通りに事が進んでいるんでしょう。」
亜輝「いや、そういうことではないのですが。」
礼子「では、どういうことなの?」
亜輝「あの高校に決めた時、全ての学生名簿に目を通しておきました。そして、小早川の苗字を見た時ピンときたのです。あなたの父親のことがね……そして、あなたの母親のことも調べておきました。」
礼子「やっぱり調べていたのね。」
亜輝「まあ、そう言われればそうなんですが……しかし、あなたのお母様は昔の記憶を無くしているのにもかかわらず、あなたを渡瀬さんの所に送った……母一人子一人、普通なら側にいてもらいたいはず……礼子さん、はっきり言ってもらいたい、あなたがコスモスに入隊した理由は、母親の記憶を取り戻すためではないのですか。そして、あなたのお母様は、おぼろげながら過去の記憶を取り戻しつつある。そして、やり残した自身の使命を、あなたに託し取り戻したいと思っているのではないですか。」
礼子「……負けたわ、あなたには。そこまで読まれていたとはね。」
亜輝「では、今からあなたのお母様の所へ行きましょう。」
礼子「え、なんで?」
亜輝「あなたのお母様の記憶を取り戻すのです。」
礼子「どうやって?」
亜輝「我が師雷光は、精神面の修復においても、神に近い能力を発揮します……あなたのお母様は、人類の未来のために自分の身を投げ打って記憶を無くしたのです。その強い信念と精神力は、我々も学ばなければなりません……なぜ渡瀬さんが、俺達二人を雷光の所に向かわせたかということを考えれば、あなたのお母様のことを思ってのことでしょう。」
その時、亜輝の話を聞いていた礼子の目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。今まで母と娘と苦難の人生を歩んで来た礼子にとって、手を差し伸べてくれる人などいなかったに違いない。しかし、礼子はこの時、竜馬と亜輝の中に父の面影を見たのである。
礼子「亜輝君。」
そう言うと、礼子は亜輝に抱きついた。
亜輝は、自分の人生と重ね合わせるかのように、今まで礼子が歩んで来た苦難の人生を思い、礼子を強く抱きしめていた。
次回は、九月二十九日頃の予定です。




