番外・スリーニャンズ編〈後〉
そして、その数日後、あのテロ事件が起こった。
項志「おい、亜輝、両親もいなくなってしまった。それに、小山田博士夫妻も巻き込まれたらしいな。」
亜輝「残ったのは、この猫三匹だけか……」
そんな事を言いながら街を歩いていたところ、二人は街のゴロツキに囲まれてしまった。
ゴロツキ1「おい、こぞう、そのカバンをこちらによこせ。」
ゴロツキは、カバンの中に金が入っていると思っていた。
亜輝「これは、お前達が欲しがっている物ではない。」
その時であった。カバンの中の猫三匹が中から出て来た。そして、七人いたゴロツキを一瞬のうちに追い払った。
項志「お前達、すごいなー」
三匹は整列し、こちらをジッと見つめていた。
そして、どこからか声が聞こえて来た。
謎の声「お前達、旅に出るのか。」
項志「亜輝、何か言ったのか。」
亜輝「いや、何も言っていない。」
謎の声「ここだよ、お前達の目の前だ。」
項志「な、なにー」
亜輝「猫がしゃべったー」
謎の声「驚くのも無理はない。自己紹介が遅れたが……」
そう言うと、一匹の猫が前に出てこう言った。
マル「俺の名はマル。」
サン「同じくサン。」
ナナ「私はナナよ。」
マル「三匹揃って、スリーニャンズ。」
項志「お、おい、亜輝、マジか……」
亜輝「マジらしい、信じがたいがな。」
マル「旅に出るなら、俺達は置いて行け。足手まといになるからな。」
項志「それより、なぜ人の言葉が話せるんだ。」
サン「俺達も、人と会話するのは、お前達が初めてだ。」
マル「俺達の飼い主小山田博士が、遺伝子工学の研究をしていたのは知っているな。」
項志「ああ、そんな話を両親もしていた。」
亜輝「君達は、遺伝子操作されて誕生したのか。」
ナナ「そうよ、知能は人間と変わりないわ。」
マル「なぜ、俺達がお前達の両親にひきとられたのかわかるか。」
サン「博士達は、ある犯罪組織の勧誘を受けていた。しかし、その申し出を断ったことが、この事件の発端だ。」
亜輝「この事件とは、あのテロ事件のことか。」
マル「そうだ。博士達はこの研究を平和の為に役立てたいと思っていた。」
ナナ「そして、あなた達の両親が活動している組織と手を組むことになったのよ。」
サン「しかし、それを境に博士夫妻は、命を狙われるはめになった。」
マル「身の危険を感じた博士は、俺達をお前達の両親に預けたのだ。」
ナナ「子供のいなかった博士夫妻は、私達を人間の子ども同様にかわいがってくれたわ。」
マル「そして、お前達の両親の組織と打ち合わせ中、あのテロが起こってしまった。お前達、修行の旅にでるんだろ。」
亜輝「知っていたのか。」
サン「俺達は人間の言葉がわかるからな。」
マル「お前達も、両親のかたきを討ちたいと思っているんだろ。」
項志「そうだな、それにこのまま犯罪組織を放ってもおけんからな。」
サン「俺達も、そう思っている。」
亜輝「君達は、これからどうするつもりなんだ。」
ナナ「私達は、なんとかやっていくわ。知能も高いしね。」
サン「お前達とは、またどこかで会うだろう。それまで元気でな。」
亜輝「君達の方こそ元気で……」
マル「じゃあ、またな。」
そう言うと、三匹は街の雑踏の中に消えて行った。
項志「亜輝、やはり、別れというものはつらいものだな。」
亜輝「そうだな、しかし、猫といえども、同志ができたんだ、また会えるさ。」
項志「スリーニャンズ、また、どこかで会おう。」
次回は、十月十五日頃の予定です。




