要塞アルカトラズ編〈その九〉
戦斗員リーダー「攻撃を中止、むやみに撃つな。」
項志「やっとわかったか。だがもう遅い。隊の半数以上吹き飛んじまったぜ。さあ、どうする、リーダーさんよ。この俺の動きを見きらない限り、この小隊は全滅するぜ。」
リーダー「この男バケモノか……もはや隊員のほとんどが戦意喪失している、勝ち目はない。俺達の負けだ。先に進むがいい。」
項志「その判断だけは正しい。」
たった数分の戦闘で勝負がついた戦斗員は驚きのあまり、その場に立ちつくしたままだった。そして項志の圧倒的戦斗力の前に恐怖を覚え、この島から脱出したいと考え始めていた。
リーダー「しかし、一つ忠告しておいてやる。この先にはアルカトラズ最強の二人の門番がいる。お前でも倒すことは不可能だ。」
項志「その話は、その二人の姉から聞いている。」
リーダー「まさか、お前、キャサリンローズと会ったのか。」
項志「そうだ、そして二人の弟を救出してほしいと頼まれている。」
リーダー「あのキャサリンローズからか。」
項志「ああ。」
リーダー「信じられん。あの女が人にものを頼むなんて……それに自身の身の上を人に話すなど考えられない。」
項志「俺にとっては英会話の先生だったがな。授業中に銃を三発撃ってきやがった……」
リーダー「お前、それでよく生きているな。あの女は凄腕の殺し屋グループのリーダーなんだぜ。」
項志「ああ、そんなことを言っていたな。」
リーダー「よくよけられたものだ。」
項志「よけたのではない。受け止めた。」
リーダー「な、なにー、受け止めただと。」
項志「そのとたん、彼女の態度が変わり始めた。そして自身の身の上を話し始めた。」
リーダー「そうか、お前はキャサリンの数段上ということか。お前ならこのアルカトラズを攻略できるだろう。俺はそんな奴を待っていたのかもしれん。」
項志「お前もあの二人と同様、被害者なのか。」
リーダー「今までドグマに洗脳され続けてきたが、お前のその圧倒的なパワーの前に全てが吹き飛んでしまった。もう一度一からやり直すとするか。」
項志「ほおー、まだ人間らしい心が残っていたか……」
リーダー「お前に会えて良かった。」
項志「あんたの人生だ、どう生きようが勝手だが、次に会った時敵なら手加減はしない。」
リーダー「わかっている。だが、もうその心配はいらない。」
項志「吹き飛んだ奴の中には、まだ息のある者もいる。手当してやるんだな。じゃあな、あばよ……」
リーダー「不思議な少年だ。ほんの十数分話しただけだが、俺の中の悪の心が浄化されてしまった。この世界を変革していく救世主なのかもしれん……」
次回は、二月十九日頃の予定です。




