要塞アルカトラズ編〈その五〉
その時だった。十名ほどの人影が部屋に入って来た。コスモス日本支部のメンバーだ。その中には、高岡十郎太の姿もあった。
高岡「支部長、ついにこの時が来ましたね。日本支部のメンバーも参戦したかったのですが。」
竜馬「いや、君達には日本支部復興という重大な使命があるではないか。そのことを忘れてはならない。それに今回の作戦でドグマ壊滅までは至らない。これからの戦いを有利に運ぶためにも、コスモス日本支部復興は必ず成し遂げなければならない。」
高岡「はい、わかりました。」
そう言うと、人数分の盃を配り始めた。
竜馬「水盃か。気がきくな。」
高岡「少し古い儀式ですが。」
竜馬「命がけの大仕事の前には大切なことだ。」
項志「おい、水盃って何だ?」
亜輝「重要な仕事の前に、必ず行っていた、日本古来の風習だ。」
礼子「そうね。生きるか死ぬかの瀬戸際の時、また離れ離れになる時などによく行われるわ。」
項志「縁起でもねぇ、まるで生きて帰れないみたいだな。」
亜輝「そうでもない。必ず生きて帰るという意思の表れなのだ。お前には言っていなかったが、俺達が旅に出る前に、コスモスのメンバーが駆けつけ、水盃を交わしてくれた。」
項志「おいおい、俺は知らんぞ。」
亜輝「お前のことだ、そんなものは興味ないとでも言うんだろう。だが、俺は心にしみた。仲間というものが、ありがたいと心から思ったよ。皆お前のことを心配していた。人との絆がこのような儀式となったのだろう。」
竜馬「そういう事だ。項志、お前も皆に支えられているのだ。」
項志「わかったぜ。がらじゃないが、俺も儀式に参加する。」
竜馬「皆、少しの間離れ離れになるが、また生きてここに集おうではないか。諸君らの健闘を祈る。乾杯。」
全員「乾杯。」
竜馬「高岡君、留守番頼んだぞ。]
高岡「はい、お気をつけて。」
そう言うと、この四人に対して全員敬礼で見送った。
次回は、十二月二十五日頃の予定です。




