小早川礼子編〈その三〉
ホームレス「最後に、あなた方の名を教えて下さい。」
亜輝「名前は明かすことはできませんが、あなた方の人生が良い人生であることを祈っています。」
項志「また会うことがあれば、自慢話を聞きたいものだ。」
礼子「おじさん達、この二人はともかく、私の名は心に刻んでおくといいですわ。私の名は、小早川礼子。おほほほほ……」
ホームレス「礼子さんが、あの二人の友人で良かった。あまり活躍はしなかったが、度胸だけはすごかった。しかし、あの二人は、ただの若者ではない。いずれ、この世界を救う、救世主となるかもしれない。」
そして三人は、ホームレスの人達に別れを告げ、歩き出した。
項志「それにしても礼子、お前、なぜ東京にいるんだ。」
礼子「あなた達を探していたの。」
項志「さては、俺達の追っかけか。」
礼子「まあ、そう言われても仕方ないわね。」
亜輝「それだけではないでしょう。何か深い事情があるのではないですか。」
礼子「さすが、神龍君。読みが深いですわね。誰かさんとは大違いですわ。」
項志「誰かさんとは、俺の事か。まあ、事情を聞こうじゃないか。」
礼子「あら、項志君。だいぶ丸くなったようね。」
項志「ああ、お前の術にも慣れてきたからな、もうその手には乗らん。」
礼子「では話しましょう。渡瀬竜馬という人を探しています。」
亜輝・項志「な、なんだって。」
礼子「あら、その反応、知っていそうな感じね。」
項志「おい、亜輝、この女、俺達の事、全て知っているんじゃないのか。」
亜輝「ああ、そうかもしれん。」
項志「あの時、記憶を消した方が良かったんじゃないのか。」
亜輝「しかし、彼女には何か、俺達と同じ匂いがする。何かはわからないが、そんな感じがするんだ。」
項志「渡瀬さんに会わせるのか。」
亜輝「ああ、そうするつもりだ。」
項志「味方ならいいが、敵なら、取り返しがつかなくなるんだぞ。」
亜輝「もし敵なら、いつでも俺を殺せたはずだ。だが、それはしなかった……不測の事態の時は、お前が取り押さえてくれ。」
項志「わかった、お前がそこまで言うならそうしよう。それにお前の勘はよく当たるからな。」
礼子「私の事を疑っているのね。」
項志「ああ、そうだ。渡瀬さんの事を知る人間はほとんどいない。それを知っているとなると、ドグマかコスモス、どちらかの可能性が高いからな。」
礼子「第三の可能性があるとすると、どうかしら。」
亜輝「どういう事ですか。」
礼子「それは、私を渡瀬さんに会わせればわかるわ。」
亜輝「わかりました、あなたを信じましょう。」
項志「何かあれば、俺が相手をする、それがどういう意味かわかっているな。」
礼子「ええ、わかっているわ。」
項志「覚悟の上か、では、行こう。」




