番外編 双子がギャル服に着替えたら
「お前、双子を揶揄うのはやめてくれよ……」
辨野は肩を落として直斗に言った。
ボギーは「何が?」と不思議そうな顔をして言った。
「女の子のカッコ? でも可愛いじゃん。別に事実だし。好きでやってるって言ってるんでしょ?」
「可愛いもあいつらのカンに触るのよ……容姿に関するワードは禁止ね。『チビ』と『コドモ』は絶対駄目」
「直斗さん、めっちゃ言ってる」
「事実だしぃー」
直斗は素知らぬ顔で言った。
「お前はわざと言うし……。あの時の俺の苦労を思い出させるなよ。カミサンに女装のアドバイスもらって、やっと救われたんだから……」
子どもの頃から、チャコが人型AI戦闘ユニットとバトルを繰り広げているのを、間近で見てきたレジーとキャンティ。
自分たちも大きくなったら強くなって参戦するんだと、ずっと目標にしていた。
場地が15才で上京し、辨野の所に行ったと聞いた時に、自分たちも次の年に行くと決めていた。
ようやく春になり、イズモを出て辨野のマンションに来たのだった。
「あのな……こっちじゃ子どもはいなくてな……通報されたりして面倒だから、昼間は……」
「俺ら子どもじゃねーし!」
キレるレジー。
「16になる年の奴らは働いてもいいんだろ? だったらおかしくねーよ」と、キャンティも食ってかかった。
「場地だって去年からこっち来て、色々やってんじゃん! 俺らもバトルには自信あんだよ!」
「場地はまぁ、中学生には見えないから……」
「ああ? 俺らだって見えねーし!」
中学生には見えなくても、小学生に見えるんだよなぁ……と辨野は頭を抱えた。
その日の双子は、慣れないベッドでもあっという間に寝静まっていた。
その夜、どうしたもんかと会議が始まった。
《子どもが出歩いていない世の中になってるのか!》
驚いている神獣・朱雀に、辨野が言った。
「出歩いていないのではなく、住み分けされているという感じです。だから目立ってしょうがないと思いますよ……充分コドモに見えるから……変装でもさせるか……」
《子どもを変装させても……子どもだな……》
「ですよね……」
神獣・白虎の冷静な意見に、辨野はまた頭を抱えた。
そこで辨野の隣に、武神・日本武尊が姿を見せた。
《──私に良い手がある》
翌朝、ヤマトタケルはレジーとキャンティを呼び、自身の武勇伝を語って聞かせた。
《私は、熊襲という兄弟の討伐を命じられた。だが熊襲はかなり強い軍勢だったのだ。正面から闘いを挑むのも嫌いじゃないが、強さとは、腕力や武力だけではない》
「戦なんだから、体が強ければ勝ちだろ」とレジーが言った。
《運動競技ではないのだぞ。武将にとって最も重要なのは、確実に敵の首を落とす事だ。私は熊襲兄弟が宴をしているところに、美少女となって参加したのだ。フハハハ────言っておくが本当に美少女だぞ。男って馬鹿だな。すぐに私を気に入って、側に置いたのだ。そして酔いが回ったところで、サクッと討伐をしたというわけだ》
どんな装いをして、刀を何処に隠して、など身振り手振りの武勇伝はまだ続き、双子は食い入るように聞いていた。
《────よいか双子よ、持っているものは全て使うのだ。体が小さい事も、全てお前たちの武器だ》
それから「闘いとは」など武将らしい高潔で威厳のある話から、だんだん「化粧や装いで大人に見せる事が出来るぞ」と美容部員顔負けのレクチャーをし始めた。
レジーとキャンティは半ばヤケクソで、メイクと洋服のコーディネートをし始めた。唯一気に入ったのは、厚底靴で視界が高くなった事だけだったが。
「うん、いいんじゃないか。15〜6才のギャルだな」
辨野はそう言って胸をなで下ろしたが、今度は違う疑惑が発生しそうで、ちょっと心配になった。
「場地くん、場地くん、皆で外に出る時は1人でどこかに行かないでね……。オジサンとギャルが歩いてたら……わかるでしょ……」と、こっそりお願いしていた。
どうしてもイラストが描きたくなって……
元々書いてた隙間エピソードを投稿させていただきました。
今度はギャルバージョンを描きたい。




