表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/21

ep.18 come on in my kitchen


RPGを進めてる気分で書いています



「行き場がないってビルが多いから? 何がイヤなん?」


 ボギーは妖怪たちと、石段に腰掛けて話し込んでいた。


《ビルというより、街全体が一晩中(まぶ)しいし、うるさいのだ》と、鬼神・大嶽丸(おおたけまる)(なげ)いた。


《そう、夜が無いのよ……昔は都会って一部だけだったのに……落ち着かないったら》

 蛇女・清姫もため息をつく。


《わしも眩しいと疲れるなぁ》

 (ねずみ)妖怪・鉄鼠(てっそ)がそう言うと、ひょうすべが「そうそう」と相槌を打った。


「へー。あ、じゃあアレ試そう! みんなで繰り出そっか!」






 そしてレジーとキャンティは、真夜中のコンビニ帰りに衝撃映像を見た。



 黒いサングラスをかけたボギーを先頭に、大小様々な妖怪たちが皆で黒いサングラスをし、堂々と()り歩いて来た。




「やっぱアホだわアイツ」



《ヤッホー久しぶりー、レジキャン》

 雪女がレジーたちに手を振った。


「………………お前ら、どこ行くの」


《都会を満喫しに来たわ〜。からかい甲斐(がい)があるじゃない、こっちの人間は〜》と水を滴らせた海女房(うみにょうぼう)が言った。

《イズモは皆、普通にしてるからなぁ》

《わしらもたまにはパーっと遊ぼうかと思ってな》


 妖怪たちは皆でキャッキャとはしゃいでいた。



 後ろから歩いて来た場地(ばじ)にキャンティが言った。

「お疲れ。何これ」


 場地は諦めた表情で、

「もう……好きにさせよう」とボギーを見た。


 ボギーは妖狐(ようこ)とギャーギャー言い合っていた。


「だから〜! おっぱい見えてるってば!」

《見せてんの!》

「何で!」



 座敷わらしがレジーの服の裾を引っ張った。

《レジーは何食べてるの?》

「……アイス」

《バジ、アイス買って。あずきのやつ》

「さっき食っただろ!」


 場地はため息をついた。


「はー、……まぁいい、みんな迷子になったりしないか?」

《もう、バディは優しいねぇ。大丈夫よ、遊んだら適当にイズモに帰るから》


 てんやわんやしながらも、妖怪たちは「じゃーねー」と言って、サングラス着用でサイバーパンクの街に消えて行った。





「おかえり。場地はとんぼ返りさせて悪かったな」

 辨野(べんの)はグッタリして帰って来た場地に言った。


「とんぼ返りは慣れてるからいいけど、今度はベンさんが引率ね……」


「あららお疲れ。ところでカミサンたち、何か言ってなかった?」

「ああ、ベンさんに伝えろとは言われた。“ヨコハマを見張っておけ”だって」


「なるほど」


「何かあった?」


 辨野はダイズからのメッセージを開いて、スマホを場地に見せた。



『若い男女数人、集団で行方不明。例のブローカーの犯行と思われる。警察が追跡中。


加えて20代男性4名、タカチホから2年前にヨコハマに移り住んでいた集団から失踪』



「何?」

 ボギーもスマホを覗き込んだ。


「またIDの乗っ取りで誘拐? あと……ヨコハマから失踪って、AIユニットに捕まったのかな……」



 部屋の隅のソファーにいたビリーが、目線を本に落としたまま言った。


「そのブローカー、結構大きな組織の一つ。主犯格の名前は『ロク』」




「そいつは、元野良だ」



 辨野の言葉に驚き過ぎて、ボギーは声が出なかった。


「コイツは裏で、外に出たい野良たちにIDを与えてる。普通に金目当てでもやってるし、ロクの仲間は気付いてないだろうな」


 目を見開いて呆然としているボギーに、辨野は続けた。


「外で生きたいって思うのも、それも当然なんだよ。どっちで生きて行きたいかは、本当は選ばせてあげたいと思う。ただ──野良から外に出るには、誰かのIDを奪い取って生きていくしかない。ダミーでちょこっと拝借じゃなくて、しっかり外で生きていくならな」


 ボギーの顔が、今までにない絶望の表情をしていた。


「IDは見た目の年齢が同じくらいで、成り代われる人間に渡る。盗られた方は──お前も知ってる通り」






 レジーが冷蔵庫からコーラを出して、普段ボギーが料理をしている辺りをチラッと見た。


「何あいつ、部屋に(こも)ってんの?」

 リビングにいた場地に聞いた。


「見た事ない顔してたよ。自分が生体販売されてた時より青い顔してたな」


「バッカじゃねーの。いちいち気にしてたら生きていけねーっつーの」






 ボギーはベッドの上で胡座(あぐら)をかき、何も無いただの天井を見上げ、ぼーっとしていた。

 そのまま後ろに倒れ、ベッドの上に大の字になってケルベロスに話しかけた。




「俺、何がショックなのかもわかんないんだけど」



《何がどうショックだったか、ちゃんと考えてごらん》


「ナリタの人たちとか、イズモも、みんな普通に過ごしてるからさ。


みんな辛いのに頑張ってんなぁ、としか思ってなかったんだよね。


考えたら当たり前だよね。

嫌になるよなぁ、うん」


《それでお前はどうしたい?》


「みんなを助けたいなぁ。みんなは無理か」


《みんなを助けたらお前は幸せか?》


「俺が最高にハッピーだなぁ」


《じゃあ何をすれば良いんだ?》


「何だろう…………聞いてこよ!」

 ボギーはガバッと起き上がった。


《そうしろ、そうしろ》



 ボギーは部屋を飛び出し、リビングで叫んだ。


「俺、何すればいい?」



 辨野はニヤッと笑い、


「はい、じゃあ計画はこうね。あ、別にギター弾いて眠らせる程じゃないけど、楽器屋(ケルベロス)には出番無いから出て来ないでねって言っておいて」と言った。


 



以前も書きましたが『ギターの悪魔からクロスロードでギターを渡された』というロバート・ジョンソンの伝説を使わせてもらってます。

タイトルは彼の曲から拝借。

『ギターの悪魔』って言葉だけで厨二心をそそられます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ