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《17》強面皇帝と前々皇帝1

 マクシミリアンがまだ皇子であった頃、帝国の内政はひどく荒れていた。

 その原因となったのはマクシミリアンの祖父カルロス・ゴールデンロック。前々皇帝である。


 カルロスは早々と息子のヨハネスに帝位を譲り退位した。

 面倒な政務は息子に任せて、自ら建てた豪華絢爛な別城(後宮)で朝から晩まで過ごし酒にも女に溺れ乱れた日々を送っていた。

 退位後も権力を振りかざし帝国の実権を握っていたのはカルロスだった。


 ヨハネスは争いを嫌う穏やかな性格であった。

 帝位を引き継いだ頃は、国民の幸せを第一に考えられる良き皇帝になろうとやる気に満ちていた。

 父親の身に余る行いを諌めようと公費の使い方や生活の乱れなどを正すように奮闘した。

 国民に使うべき血税を隠居した皇帝の生活に使うのは許されることはではなく、違法だ。と。父親であろうと誰であろうと意見しなければならない。それが皇帝の義務だと教えられてきたから……


 しかし、その度に「父親に苦言を申すなど偉くなったものだな。たとえ皇帝であっても父親を敬う心を常に持て。お前の叱責は間違っている。国の為に勤めてきた前皇帝に対して許されない行いだ。頭の緩いお前はお飾り皇帝の地位に着けたのはわしが指名したからだ。そのことをゆめゆめ忘れるでない。そもそもお前には発言権はない。わしの意のまま動け。上座に座っていたかったらくだらんことを喚くな、黙れ!」と強く叱責された。


 前皇帝の上皇(マークの父)ヨハネスは優しすぎるがゆえ精神的に弱い人だった。この叱責で心が完全に折れてしまったのだ。


 自分は無能な人間だったのだと、、、

 皇帝の器ではないのだと、、、

 初めから期待などされていなかったのだと、、、

 ただ皇后(正妃)の産んだ子で皇帝の長子というだけで選ばれたのだと、、、


 それにつけこんだのは財務を担当する大臣である。

 フレシア太皇太后(マークの祖母)の弟のボルジア侯爵は皇族の縁戚を利用し好き放題に国庫を動かしていく。

 当時は王族派の筆頭であったボルジア侯爵は皇帝相談役としてヨハネスを支える役を与えられていた。カルロスの指示のもと……


 堕落した日々は日を追う毎に増していき、側室らや何十人もの若い女を愛妾として側に侍らせ、湯水のように国の金を食い潰す。

 自分のすることに否定する者は追放又は処罰を与えていき、遂に誰一人逆らえなくなっていた。

 カルロスにより悪化した内政に反皇帝派の貴族の反発が増していく。


 ヨハネスは、発言力の強い父親のいいなりのまま政務行っていくしかなかった。虚ろな瞳で玉座に座り、ただただ臣下の発言に頷くだけ……

 横領や悪事があっても糾弾できず、初めから何も無かったかのように流して全ての事柄に向き合わなくなっていった。

 国民からは置き物皇帝と不名誉な二つ名をつけられていた。

 自分の父親を粛清することが出来ないと悩み、苦しむ。そして精神を病んで表には出られなくなってしまった。

 


 マクシミリアンは皇太子指名がまだであったため、体調の優れない父に代わり政を代理に行うことは出来なかった。

 国の決まりで皇子の身分では重要な政務には関わることがたできずサポートのみ。

 マクシミリアンの母アンネリーナが代理を務めていたが、何かと口を出し無理難題を言い付ける義父らにほとほと困り果てていた。

 遂には心労がたたり身籠っていた第二子が流れてしまう。女のお子だった。

 死産によりアンネリーナは深く悲しみ、体の回復が遅く床に伏せる日が多くなった。

 反皇帝派らは皇帝代理の職にマクシミリアンを推したがカルロスが認められなかった。

 就いたのはボルジア侯爵だった。


 明るい性格のマクシミリアンが険しくなってしまったのはこの頃からだ。





 マクシミリアンには、アントニオという名の現在十一歳の叔父がいる。


 側妃のなかで一番の寵愛を受けていた男爵家の令嬢レイアが産んだ皇子。

 マクシミリアンの一学年下で学園に通いながら見習い侍女として勤めていた際に前々皇帝の目に留まり溺愛された。

 程無くして子を身籠り学園を退学。後宮でなに不自由なく高貴な身分として過ごしていた。


 当時は下位の身分でも妃になれた。

 本当は歳の近い次期皇太子マクシミリアンの妃の座を狙っていたようだが、その祖父(カルロス)に気に入られてしまい側妃におさまり子を産んだ。


 カルロスには七人の子供がいた。

 正妃が産んだ息子(ヨハネス)。第一側妃が産んだ娘が二人。第五側妃の産んだ息子。第七側妃の産んだ息子と娘。そしてレイアが産んだ息子である。


 親子以上に年の離れたレイアをそれはそれは可愛がり、第二正妃のような立場に置く溺愛ぶりであった。高価な宝飾品やドレスを山のように買い与え、実家の男爵家を公爵位に陞爵させようとした。そしてレイアの父と兄を重鎮として側に置くと宣言をした。


 正妃を輩出したボルジア侯爵家と側妃らの実家がこぞって反対した為に公爵位は与えられなかったが、男爵家でありながらも国の重要ポストに就いた。


 レイアは腹黒く欲深い女だった。

 愛らしい顔に庇護欲をそそる仕草。

 男を落とす為に計算された行動と言動に騙された者は多い。学園内での評判も悪かった。

 女生徒に嫌がらせをされたと言い学園から排除しようと画策したり、何組もの婚約を破棄させたり、人の家庭を崩壊させるような問題を起こしたりと……悪女と呼ぶにふさわしい女であった。


 マクシミリアンに狙いを定めてアプローチしようとしていたが、全く靡かず、汚いものをみるかのような拒絶の表情と威圧感に流石のレイアも恐怖をなし誘惑を断念した。

 歳の近いマクシミリアンが無理だとわかり、皇帝(マーク父)に標的を変えたがアンネリーナ一筋のヨハネスはこちらも全く靡かない。


 最終手段として年老いたカルロスに見初められるように動いた。女好きのカルロスならばレイアにコロリと転がされてしまうのに然程時間はかからなかった。


 程無くして後宮に迎えられたが、別城(後宮)を仕切っていたフレシアと同等の立場を欲しがり、甘い囁きでカルロスを落として第二正妃(仮)の身分を得た。

 フレシアの反対もあり名称は第八側室であったが、与えられた部屋や使用人の数はフレシアに劣らず、他の側室とは雲泥の差であったとか。

 

 

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