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67. 深層のあれこれ

長らくお待たせしました!

38度を超える発熱があり病院に行ったところインフルエンザにかかってました……。

季節の変わり目でもあるので皆さんも体調には十分お気を付けください。

「どうして俺は昨日ドラゴン肉なんて奢ってしまったんだ……。」


 40階層のボス戦でうっかりとんでもない約束をしてしまったのが昨日のこと。


 俺はすっかりと寂しくなった財布を見て溜息を一つ吐いた。


 ドラゴン肉は食べるとステータスが一時的に上昇する効果もある、最高級の料理素材の一つだ。


 ゲーム内でも食べたことはあるが、あの時は自分で狩って食べてたからなぁ……。


 店で食べるととんでもなく高いというのは知っていたが、まさかあそこまでとは。


 まぁ、メニューに値段が書かれていなくて聞いてみたら「時価です」と答えられた時に嫌な予感はしていたんだけどね?


 とはいえ、あんな大見栄を切った手前、そこで引くというのもまたできない訳で。


「まぁでも、夜にドラゴン肉を食べられるっていうのがモチベになったのか、昨日はあの後50階層のボスまで倒せたからな。結果的には若干マイナスくらい……か? ……うん、そういうことにしておこう。」


 50階層のボスは……一言でいうなら「デカい木」だろうか。


 名前はそのまま『ジャイアントツリー』といって、ゲームによくいる木に擬態するモンスターの『トレント』をそのまま大きくしたような感じの魔物だ。


 まぁ何はともあれ、『ガートラ大ダンジョン』の攻略も今日で5日目。


 ここからはようやく折り返しだな。


「ハクレシアのお陰でかなり予定も前倒しになってるし、そのお礼だと思えばまぁ安い……いや、安くはないな。」


 ちょっとでも昨日のことを思い出すと悲しくなってしまうので、頭を振って無理矢理に思考を切り替える。


「───よし、今日も張り切って頑張るぞ!」






 それから12時間後。


 今日は51階層から始まり、61階層にまで階層を更新することができた。


 60階層のボスは『ビッグ・ディア』。


 その名の通り大きな鹿で体長は5メートル以上、足の長さだけで人の背丈を軽く超える魔物だ。


 とはいえ、その行動パターンはここまでの道中で何度も戦ってきた『ホーンディア』と大差はない。


 勿論、大きくなった分攻撃力が増していたり避けるのに苦労はするが……言ってしまえばその程度である。


 これまで通りハクレシアが近距離で相手をして注意を引き、俺は遠距離から魔法でダメージを与える。


 もしハクレシアが被弾してしまった場合には、即座にヘイトを奪って彼女が体勢を立て直すまで持ちこたえないといけないが、これまで同様一度も被弾することはなかった。


 そんな訳で、俺は『ビッグ・ディア』がたまに飛ばしてくる風の魔法にのみ対処すればいいだけという、超絶イージーモードでボス戦を終えたのだった。


 もっとも、俺としては物足りないというか、こんなに俺だけが楽してしまっていいのだろうかという思いがあるのだが、それを言ってもハクレシアは「大丈夫」の一点張り。


 そう言い張られてしまってはこちらとしても何も言うことはできず、俺にできるのはせいぜい万が一に備えてイメトレをするくらいだった。


 ───だが、そんな俺の思いとは裏腹に、その後もハクレシアがヘマをすることは一度もなかった。


 61階層から90階層は深層の区分になり、道中で出現する雑魚敵も相応に強くなる。


 そのため、今までと同じペースでの更新とはならなかったが、それでも2日で10階層という悪くない速度で攻略は進んでいった。


 因みに、深層のボスがそれぞれどんな敵だったかと言うと───



 70階層ボスは『シルフ』。


 ファンタジーではお馴染みと言ってもいい風の精霊で、身長は小学生くらい。


 小さい上に素早いので攻撃を当てるのが難しく、またヘイトの概念がないため色々とかき乱されたが何とか勝利。




 80階層ボスは『スケアドール』。


 見た目はちょっと不気味な雰囲気のある案山子(かかし)。


 その怪し気な見た目通りこいつには特殊効果があり、それというのが「与えたダメージが、それぞれ攻撃をした人と『スケアドール』に等分される」というもの。


 例えば100ダメージの攻撃をしたとすると、等分……つまり50ダメージずつがそれぞれ俺と『スケアドール』に入る訳だ。


 物理でも魔法でも関係なくカウンターを受けるため、これを知らないと気が付いたらHPが0になっていたなんてことにもなりかねない。


 そんなギミック系のボスである『スケアドール』だが、対処法は大きく2つ。


 1つは回復を挟みながら殴ること。


 反射ダメージで死なないように気を付けながら殴り、HPが危なくなってきたら回復をしてまた殴るという、実に脳筋的(クレバー)な方法である。


 そしてもう1つは、この特殊効果の隙を突いて殴ることだ。


 というのも、一見すると抜け目がないように見えるこの反射スキルだが、実はとあるダメージだけは反射できないのだ。


 それが「固定ダメージ」。


 この固定ダメージに分類されるのは、高所からの落下ダメージであったり一部のスキルなどだ。


 浅層で魔法陣を探した時のように空中に足場を作って上から落とす……というのもできなくはないが、それよりも簡単に固定ダメージを与える手段がある。


 それが「小石」を使う方法だ。


 この小石はそこら中に落ちているありふれた物だが、れっきとしたアイテムである。


 その効果は「1ダメージを与える」というもの。


 と、ここまで説明すれば後はもう分かるだろう。


 想像の通り、ひたすら小石を集めては投げてを繰り返して勝利した。




 90階層ボスは『アーバーウルフ』。


 深層に入ってからクセが強くなってきたボスだが、ここにきてウルフ系のシンプルなボスだ。


 体長は7メートル程度と深層最後のボスに相応しい巨体で、樹木(アーバー)の名の通り体は木でできている。


 ウルフ系にしては珍しく単独で出現するボスで、体を構成する樹木を自在に操ることで単体性能がかなり高いのが特徴だ。


 これによって本体の意識がハクレシアに向いていても思考の何割かでこちらを攻撃することができるので、油断していると片手間で倒されかねない。


 それ以外にも何かと汎用性の高い樹木操作によってかなり苦戦はしたものの、無理せず着実にダメージを与えて勝利を収めることができた。





 ───とまぁ、そんなこんなで深層は一週間をかけて攻略していき、残すところは91階層からの10階層分。


 最深層のみを残すところとなったのだった。


このまま全部のボスを書いていくとさすがに3章のボリュームが膨らみすぎるので泣く泣くカットです。

せっかく色々考えたのでどこかの機会で書きたいですね……。

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