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54. 間章:とある男の行く末・6

これで2章はラストです!

次話からはようやく本編に戻ります!

「───とまぁ、各組の役割とそのリーダーたる君達の仕事はこんなところだね。」


 一通りの説明を終えたナイグが全員の顔を見回す。


 私がリーダーを任された緑組の主な役割は、組員の拡充。


 組織の拡大には欠かせない重要な役割だが、その内容上、表の世界との関わりは切っても切り離せない。


 私が新入りにも関わらずリーダーに抜擢されたのは、『Bランク冒険者』という分かりやすい肩書きを持っていたからだった。


 とはいえ、リーダーになったからといって特別何かが変わるということはない。


 多少書類仕事は増えるらしいが、基本的には今まで通りボランティア活動を通して『心救会』の知名度を上げ、見込みのあるものがいたら『真救会』に勧誘するのみだ。


 また、緑以外の組は白、赤、青、黄、黒の5色がある。


 白は組織のトップでもあるナイグがリーダーを務めており、最古参のメンバーで構成された意思決定機関だ。


 私は緑組のリーダーという立ち位置だが、立場的には彼らの方が上であり、白組での決定は何においても優先される。


 リーダーと言う割に私の仕事が大したことないのは、このような組織形態になっているからだ。


 赤組のリーダーは、かつて私が組織に勧誘された際に突如として現れた謎の多い女───ハクだ。


 赤は組織の武力を担当し、前科があったり素行が悪かったりで表の世界からドロップアウトした者が集まっている。


 Bランク冒険者として腕には自信があるが、聞くところによると、そんな私でも苦戦しそうな相手が何人かいるようだ。


 あの夜垣間見た彼女の戦闘力ならば問題ないかもしれないが……気にかけておくことに越したことはないだろう。


 青組は研究・開発が主な役割だ。


 心救会があるとはいえ大手を振って表の世界との取引ができない現状、武器や防具はおろかあらゆる日常品においても組織内で自己完結する必要がある。


 これは、食料・資源調達が役割の黄組にも同じことが言える。


 私のように表の世界でも活動できるなら問題ないが、組織の中にはこの町で生活している者……ここでしか生活できない者も少なくない。


 そんな彼らにとっては正に死活問題であるため、青組・黄組の存在は他の組同様なくてはならない重要な組だ。


 そして最後の黒組はブラーがリーダーを務めている。


 諜報活動や裏工作が彼らの役割だ。


 近々何かをするらしい様子だが、流石に私達への共有はされなかった。


 と、以上が組織を構成する6つの組───『六彩(ろくさい)』の概要だ。






 『色上(しきがみ)会議』が終わり各々が解散していく中、視界の端にブラーがハクへ近付くのが見えた。


「キミの部下のことで話があるからちょっと付いてきて。」


 その言葉にハクが頷いたのを見て、ブラーが歩き出そうとする。


「ちょっと待て。その話、私も混ぜて欲しいのだが。」


「なになに、クロっちも興味あるの?」


 制止の声を聞いたブラーが振り返り、頭を大きく傾けて言う。


「まぁ、そんなところだ。」


「ふ~ん? ま、聞かれて困る訳じゃないしオッケーだよん。付いてきて。」


 そう言って会議室を出たブラーの後を私とハクが追従する。


「……で、どこへ向かっているんだ?」


 目的地も言わぬまま黙々と歩く後ろ姿へそう声をかける。


「あれ言わなかったっけ? 赤の連中の居住区だよ。」


「いや、今初めて聞いたんだが。それよりも今行くのか? いくらここが明るいとはいえ、この時間は寝てるんじゃないのか? 大体何をしにそんなところへ……。」


「そりゃあ勿論、新しくリーダーになったんだから挨拶(・・)しにだよ。とはいえ、アイツらは普通じゃないからね。ご丁寧に挨拶しに行ったって舐められるだけなのだよ。」


「……?」


 ブラーの意図が分からず頭を悩ませていると、遠くに赤く塗られた建物が見えてきた。


「着いたね。ここが赤組のメンバーが生活しているエリアだよ。特にハクはこれからよく来ることになるから覚えておくように。」


「分かりました。」


 そこには3階建ての集合住宅が2棟と、その周囲に一軒家が十余り。


 全ての建物が赤く塗られており、一目見てここが赤組の居住区だと分かるようになっていた。


 こんな沢山の部屋を一軒一軒訪ねて回るのかと(いぶか)しんでいると、ブラーはどこからともなくホイッスルを取り出して吹いた。


 ビィィィという高音が辺り一帯に響くと、その僅か十秒後、とある一室のドアが開いたのを皮切りに至る所から人が現れて目の前の空き地に整列し始めた。


 そして、1分と経たない内に全員が集合した。


 ……荒くれ者の集まりと聞いていたが、今の様子を見るにそこらの騎士団よりもよほど統率が取れているのではないだろうか。


人数はざっと100人以上。


 種族はヒト族が最も多く、次いで獣人族、地人族、海人族と続く。


 年齢は……他種族は判断が難しいので何とも言えないが、ヒト族は20代がほとんどを占めているようだ。


 彼らは横10列に整列し、こちらの言葉を待つかのように口を閉ざしている。


 こんな夜遅くに叩き起こされても文句を言わず、どこか小刻みに震えているその様子はまるで───


「なぁブラー。彼らは皆どこか怯えているように見えるのだが?」


「あぁ、ここにいる全員はボクが直々に教育(・・)したからね。」


 教育、か。


 聞くまでもなくどんな内容だったか想像できてしまうな。


「はいみんな注目~。今日はキミ達の新しいリーダーを紹介しにきたよ!」


「ハクです。よろしくお願いします。」


「あれ~? みんなお返事は~?」


「「「「「はい! よろしくお願いします!」」」」」


 ……ブラーの圧力が凄まじいな。


 一体何をしたらこうなるのやら。


「うんうん良い声だね。とはいえ、キミ達はきっと、ぽっと出のよく分からない人にいきなり従えと言われても中々受け入れ難いと思うんだ。」


「「「「「……。」」」」」


「そこでだ。キミ達とこのハクが戦い、誰か1人でも勝つことができたら従わなくていいということにしよう。更におまけで、買った人には何でも好きなお願いを叶えてあげよう。『ガディス』様のお力ならキミ達のちっぽけな願いを叶えることなんて造作もないからね。」


 その言葉を聞いた瞬間、かろうじて誰一人言葉を漏らさなかったものの、彼らの目は明らかに獲物を狙う目へと変わった。


「お、おいブラー! 勝手にそんなこと言って大丈夫なのか!? もし万が一この中の誰かが勝ってしまったら───」


「───その心配は無用ですよ、クロスさん。もし、彼ら全員が束になってかかってきたとしても私が負けることは絶対にありえません。」


「ヒュー、頼もしいねぇ! ハクもこう言ってるんだしクロっちは信用してあげなって。」


「別に信用していない訳ではないが……。」


「は~い、それじゃあ早速始めちゃうよん。1人ずつでも複数人でも、どんな道具を使ったってオッケー! ただ一つアドバイスをしておくと、殺す気でやらないと勝つのは無理だと思うから頑張ってね!」


 そう言ってブラーが指を鳴らすと、その場にハクだけを残して私達は家の屋根に瞬間移動した。


「─────!? 今のは!?」


「まぁまぁ、そんなことはともかく観戦に集中しようよ。」


 私としては今何をされたのかという方が気になったが、話す気がなさそうな気配を感じ取ったため口を閉じた。






 ───結果から言うと、ハクの圧勝だった。


 最初の方は個人でバラバラに攻めかかっていたが、一瞬で気絶させられるのを見てリーダー格の男が途中から指揮を執り始めた。


 ハクの周りを囲い、完璧とまではいかずとも慣れた様子の連携攻撃で常に複数の方向から攻撃を仕掛けていた。


 攻撃スペースの関係上、1対100というのは不可能だが、それでもハクの反撃によって欠けた穴を次の人ですぐに埋めて波状攻撃を仕掛けるというのは十分に脅威になり得る。


 だが、そんな攻撃を受けてなおハクはどこか余裕を残したような立ち回りで、終始彼らを圧倒していた。


 正直に言って、私は彼らを舐めていた。


 もしあそこにいるのが私だったら、恐らく半分といかず力尽きてしまうだろう。


 ハクの凄さで霞んでしまうが、それくらい彼らの連携は素晴らしかった。


「……ハクはあんなに強かったのか。」


「そうだね。ボクとしても、もう少し手の内を見られると思ってたんだけど……やっぱあいつら使えないなぁ。」


 ……最後のは聞かなかったことにはならないだろうか。


 そんなことを考えていると、ブラーが再び指を鳴らし私たちはハクの隣に移動した。


「やぁやぁお疲れ様。問題ないだろうとは思ってたけど流石だね。戦って分かったと思うけどこいつら弱くてさぁ。もし可能ならハクにはこいつらの特訓もお願いしたいんだよねぇ。」


「分かりました。ですが、彼らも十分強かったですよ。」


「お世辞はいらないさ。じゃ、挨拶も終わったし帰ろうか。」


 そう言って、ブラーは背を向けて歩き出した。


 ……全員ボコボコにされて倒れているが、これは放置したままでいいのだろうか?


 私とハクは顔を見合わせて肩を竦めた。


いつも拙作を読んでくださってありがとうございます!

長い休載期間を経て改稿・連載再開をしたのが昨年の6月末で、気が付けばもう1年が経ってしまいました。

自分自身ネット小説をよく読むため、あまり気にしないようにはしているんですが、どうしても自分の作品と比べてしまいネガティブな気持ちに陥ってしまうことがこの1年間で多々ありました。

そんな中でこうして執筆を続けてこられたのはひとえに皆様の応援のおかげです。

本当にありがとうございます!

(普段あまり具体的な数字を出すことはしないのですが、今月のユニークアクセス数はなんと500人を超えることができました!)


さて、ここまで読んでいただいた皆様にお願いがあります。

もし拙作が良かった、あるいは頑張れと思っていただけましたらこの下にある☆で評価の方をお願いいたします!


長くなってしまいましたが最後まで読んでいただきありがとうございます。

2年目も頑張っていきますので、これからも拙作をどうぞよろしくお願いいたします!

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