50. 間章:とある少女の回想・1
遅くなってすみません!
私の名前はハクレシア。
突然だけど、私には父親がいない。
物心ついたときには父は既に亡くなっていて、母がずっと女手一つで育ててくれた。
母は父についてあまり教えてくれない。
そんな数少ない情報の内の一つが、父は生前に冒険者をやっていたということ。
若くしてCランクに到達し、当時はそれなりに注目されていたらしい。
そんな話題のルーキーだからこそ、人気NO.1受付嬢だった母と付き合えたとかなんとか。
父についてはろくに教えてくれないくせに、馴れ初めだけは耳にタコができるくらい聞かされた。
閑話休題。
父の死因はダンジョン攻略中の事故ということらしい。
詳しいことは知らないけど、恐らく強力な魔物にやられたのだと思う。
そんな事情もあって、私が冒険者になると言い出した時は母に物凄く怒られてしまった。
だけど、幸か不幸か私には父譲りのセンスがあった。
そしてそれは、受付嬢として沢山の冒険者を見てきた母が一番よく理解していた。
結局、「身の丈に合ったダンジョンにのみ入る」といった条件をいくつか受け入れることで許しをもらえ、今日に至るというワケ。
とはいえ、冒険者としての生活は決して良いことばかりではない。
女で、しかも未成年ともなれば周りからは凄く浮くし舐めた目で見られることも多い。
その中でもダントツで嫌な思い出となっているのが、ソロで活動する原因にもなった、とあるPTでのトラブル。
あまり思い出したくもないので簡潔にまとめると、人間関係のトラブルだ。
男1、女3のPTに入り、最初は普通だったのに、時間が経つにつれてリーダーの男が距離を詰めてきて、それに嫉妬した女達があることないことを吹聴して回るという、絵に描いたようないざこざ。
仲良くしてくれた人達が噂の発信源だと知った時には、驚きと悲しさがごちゃ混ぜになって何も考えられなかったのを今でも覚えている。
それ以来私は人間不信になり、元いた町を母と一緒に離れ、色々な町を転々とするようになった。
ソロでの活動は大変なことも多いけどその分自由度も高く、何より面倒な人間関係に頭を悩ませる必要がなくなったため、私にはこれ以上ないくらい合っていた。
───やがて私は父と同じCランクに達し、生活に余裕が出始めたところでこの町───『ネゴノーバ』へとやって来た。
他の町同様、近くにあるダンジョンを攻略し終え、そろそろ他の町へ引っ越そうかというところでソレは起きた
いつものようにダンジョンから帰宅すると、部屋のリビングで母が倒れていたのだ。
意識は朦朧としていて浅い呼吸を繰り返す母をベッドまで運び、つきっきりでの看病。
何時間か経ってようやく容態は落ち着いたけど、回復魔法やポーションの類は全く効果を示さなかった。
そして、その日以降、母は寝たきりの生活を送ることになってしまった。
いつ容態が急変するか分からない恐怖を抱きながら生活費を稼ぎ、空いた時間で治療法を探す日々。
───2週間ほど経ったある日、家に1人の神官が訪れた。
彼は治療法を探す中で教会に立ち寄った時に相談した人で、ありがたいことに個人的に色々と方法を探してくれていたとのこと。
そんな彼が言うには、この国の王都───『ガートラ』近くにある『ガートラ大ダンジョン』の100階層ボスが極低確率でドロップする素材があれば、どんな病気であっても治すことのできる『エリクサー』という伝説上の秘薬が作れるらしい。
大ダンジョンとは、この世に10しかないと言われる最高難易度のダンジョン。
そんなダンジョンをCランクで、しかもソロで挑むなんて普通に考えたら自殺行為でしかない。
それでも私は、その話を聞いた瞬間に一瞬の迷いもなく『ガートラ大ダンジョン』に挑戦することを決めた。
ネガティブな想像をしてしまう度、きっと間に合うと心に言い聞かせて、私は王都行きの馬車へ乗るのだった。
遂に50話!
なんか書こうかと思ったんですが、思い浮かびませんでした。
これからも拙作をよろしくお願いいたします!
P.S.
今回の話が1話にすると長くなると思ったので分けたんですが、そうすると逆に次の話が短くなりすぎるかもしれないんですよね……。
もしかしたら短い分、今週どこかで投稿するかもしれません。




