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46. 素晴らしい提案をしよう

 翌朝。


「ふわぁ。」


 鳥のさえずりを聞きながら起床する。


 体を伸ばしたりして軽いストレッチを行い、水浴び場へと向かう。


「思えば、このルーティンも今日までかな。これから数日間は馬車移動で町を転々とすることになるけど、このレベルの宿がない可能性は全然あるし。」


 ここ『ネゴノーバ』は最初に訪れる町ではあるが、近くにダンジョンがあるおかげでそこそこ発展している。


 更にその中でも、この宿のクオリティは中の中か中の上くらい。


 王都に向かう道中の町が宿場町として栄えているとはいえ、ここと比べて質が落ちる可能性は否めない。


「転移魔法が行ったことのない場所にも行けたら良かったんだけど……あれ?」


 そこでふと、とあることに気が付く。


「……転移魔法で戻ってこられるならここを拠点にしたままでもよくないか? てか、Dランクになって時間制限もなくなったからダンジョンにも入れるじゃん!」


 ゲームでは時間をスキップできたので考えたこともなかった。


「……流石に王都に着いたら宿を変えたほうが良いかもだけど、道中なら全然アリだな。」


 そんなこんなで俺は宿泊の延長を伝えるべくフロントへ向かった。






 1時間後、朝の支度を終えた俺は次の目的地である王都『ガートラ』行きの馬車乗り場にいた。


 荷物はマジックバッグが2つだけ。


 昨日購入したばかりの新品で、5種類あるマジックバッグの中では2番目に小さい『ショルダーバッグ型』と2番目に大きい『バックパック型』だ。


 ショルダーバッグの方にはポーションや武器防具といったダンジョン攻略に使うものが入っており、バックパックの方には売らずに残した魔石や素材類が入っている。


 余談だが、マジックバッグの中にマジックバッグを入れることはできなかった。




 と、そんな風に待っていると、どこからともなく声が聞こえてきた。


「王都ガートラ行き乗合馬車~、料金片道1万(ディーム)~。王都ガートラ行き乗合馬車~、料金片道1万D~。」


 そう言ってやって来たのは、2頭の馬が引く幌馬車。


 前世で見た馬よりも一回りか二回り程大きく、力強さを感じる。


「王都ガートラ行き乗合馬車だよ、料金は片道5万ディームだ。」


 御者のおじさんが御者席から降りて、並んでいる人からお金を受け取っていく。


「5万Dです。」


「あいよ。奥まで詰めて乗ってくれな。」


 前に並んでいたガタイの良い男性に続いて、馬車に乗り込む。


 幌馬車は前後が開いているタイプで、横向きに長椅子が設置されていた。


 既に何人かが乗っており、対面には黒髪で短髪の少女が座っている。


「出発するぞ~。」


 全員が乗ったのを確認したおじさんがそう声をかけ、ゆっくりと馬車が動き出す。


 町の外に出た馬車は加速していき、心地の良い風が吹き抜けていく。


 また、馬車の振動も思いのほか小さくかなり快適だ。


 暖かな陽気と風が心地よく、起きたばかりだというのに寝てしまいそうになる。


 実際、周りを見ると何人かは目を閉じて眠っていた。


 それに倣うように、俺も背もたれに体重を預けて目を閉じた。






 そんな穏やかな時間を過ごすこと数時間、馬車がゆっくりと停車した。


「馬達に水をやるんで、ちょっくら休憩な~。何もないところだけど、用を足したい人は今の内に行っといてくれよ~。」


 御者のおじさんがそう声をかけると、何人かが席を立って馬車を降りていく。


 凝り固まった体を解すように伸びをすると、何とも言えない気持ち良さが体全体に広がる。


「今日はあとどれくらい移動するんだ?」


「そうなぁ、『ルビャ』の町までだから……あと3、4時間ってとこだな。」


(まだそんなにあるのか……。)


 おじさんと誰かの会話が聞こえ、そんな感想を抱く。


 当たり前だがこの世界にはスマホなんてものはなく、暇潰しに使えるものが少ない。


(思えばこの世界に来てから活動時間のほとんどをダンジョンに使ってたな。)


 これが俗にいうワーカーホリックというやつだろうか?


 まったりとした時間を過ごすのも悪くはないが、どうしても手持ち無沙汰に感じてしまう。


(せめて知り合いとかがいて話せたら多少はマシになるんだろうけど……あ、そうか。いないなら作ればいいんだ!)


 思い出すのは小学生の頃の記憶。


 学級活動の時間にやることが無くなった時、よく先生から教えてもらってレクリエーションをやっていた。


(人数は……自分含めて7人か。それならアレができそうだな。)


 そんな風に内心で計画を立てていると、再び馬車が動き出した。


(すー、はー、よし。)


 深呼吸をして気持ちを整え、緊張しながらも口を開く。


「今更ですが皆さんこんにちは! せっかくこうして出会えたのも何かの縁。良ければレクリエーションをしませんか?」




ここから何話かはストーリーの進行に直接関係のない息抜きパートとなります。

クロトくんが強くなっていくところだけを見たいという方には申し訳ないですがブラウザバック推奨です。(ダンジョン攻略が再開する時は前書きで何かしら書いておきます)


これからも拙作をよろしくお願いします。

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