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figlio figlia  作者: 花街ナズナ
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【最後の質問】

シャミッソーの日記をすべて読み終えたフィリアは、しばらく落ち着く時間を置いてからカゾットが死んでいると思い込んでる部屋へ戻った。

実際、相当に気を張ったよ。

フィリオがいるから行かないわけにゃいかないが、好んで人の死体がある部屋へ行きたがるやつはそういない。

少なくともフィリアはそういう妙な趣味は持ち合わせてなかった。

だから変に安心しちまったね。

日記を勝手に読んだことがばれたらどうなるか懸念が常に頭にあったアナトールも、死んでると思ってたカゾットも、部屋から消えていたからさ。

さらに都合のいいことにフィリオは部屋に残ってた。

呆然としてっていう表現がこれほどしっくりくるのは逆に珍しいってくらいに、ほんとにただ呆然として椅子に座ってたよ。

さっきとはまた別の意味で、話を聞くのを躊躇したね。

一体、アナトールとカゾットの死体……まあこれはフィリアが勝手に思ってることなんだが、それが果たしてどこに行ったのかってさ。

お前さんも、自分がフィリアの立場だったら、これはえらく聞きづらいだろ?

人ひとりと死体がひとつ、どこへ行ったか。

ぼんやりしちまってる自分の弟にそれを素直に聞けるかい?

結果としては聞くことになったが現実、かなり時間が必要だったよ。

もっとも当たり障りが無く、簡潔に状況を確認する質問。

「……アナトールさんと、カゾット……さん。どこに行ったの?」

この一言を言うのにどれほど神経使ったことか。

素直に褒めてやるよフィリア。

とてもじゃないが、まともな人間のできる質問じゃない。

……っと。これは褒め言葉としてはちょっと不適切かい?

難しいね。言葉づかいってのは。

ま、そんなことはさておき、だ。

フィリオが見た目よりも多少は正気だったのは間違いなく幸運だったね。

会話が成立しなくなったら、それこそ最悪さ。

前に言った通り、これからフィリオとはいろいろと話をつけなきゃならない。

その点で、内容はともかくフィリオから返事が戻ってきたのがなによりさね。

「アナトールさんなら……カゾットさんを連れて(館の腹)に行ったよ……なんか、カゾットさんはもう、自分で(館の腹)まで向かえないらしいからって。自分が、最後はいろいろすることになるんだろうって。よく分からないけど、もうアナトールさんもカゾットさんも、戻ってこないのは確かだよ……」

もう何度も聞いちゃいるが、やはり慣れないよ。

館のルールに関するいろいろなこと。

あんまり込み入ってるから、頭ん中がぐにゃぐにゃしてくる。

でも、おおよその話は理解したつもりさ。

簡単に言えば、カゾットが死んでるのか生きてるのかはさておき、アナトールはカゾットを連れて(館の腹)へ向かった。

そして、どうやらそこで最後の時を待つ気らしい。

となると、良くも悪しくも心配事はひとつきりになった。

三つ目の選択肢。

こいつについてフィリオの意見を聞く。

フィリアのほうはすでに答えは決めてた。

フィリオがそれでいいと言うなら、この選択肢に賭けよう。

どのみち、あとふたつの選択肢は少し前の話でほぼ却下となってるからね。

自然、このちょいと危なっかしい選択肢に賭けてみようかって話になる。

てなわけで、フィリアはフィリオとの最後の話し合いをすることにした。

「……フィリオ」

「……?」

「あんた……もし、あたしとあんたの両方で館を出れて、しかも家に帰っても問題が無い方法があるかも知れないって言ったら、どうする?」

この問いに対するフィリオの反応ときたら……、

冗談抜きに、ここまで疑いと期待が綯い交ぜになった顔した子は、

始めて見たよ。


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