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ChapterⅥ

第1話 合戦の合図


 翌日、羽田空港


 ゴロゴロとスーツケースを転がす黒スーツ姿のグラサン中国人


 「やっと里帰りできるのかよ」


 イザは一度中国へ戻り、自身が所属していたマフィア事務所へ協力を要請しに行く


 「まだ生きてるやついるのかな」


 イザは飛行機に乗り込み、席に座った


 1.1で全滅したはずの組織、中国マフィア ジョンイル


 イザはダメ元で中国へと戻ることとなった


 警視庁本部。


 最上組の面々は何両もの車に分乗し、大量の銃器を積み込みながら警視庁の正門へと向かっていた。


 田崎は緊張の面持ちで呟く。


「いよいよ始まるんだな」


 一方、牧本は目を輝かせ、殺気を隠せずに言った。


「早く殺したい!わくわくしますね!」


 正門前にはSAT(特殊急襲部隊)が武装して待ち構え、釜野がウージーを構えながら鋭く警告する。


「そこを動くなぁ!」


「投降すれば命は保証する!それでもやる気か?最上さん」


 釜野は最上に問いかけた。


 山崎が慌てて最上に声をかける。


「どうすんだ、ボス!」


 最上は眉間にしわを寄せ、怒りに燃えた声を上げた。


「あったりまえだろうがぁ!皆殺しだぁ!いけぇ!」


 その声に呼応するように、罪人や組員たちが「うおおおおおおお!!!!」と叫び、士気を高めて一斉に突撃を開始した。


 こうして、日本の尊厳を賭けた大抗争が幕を開けた。


第2話 渡来した現王


 同じく最上組が警視庁に戦争を仕掛けたその時刻、遠く離れた香港では、ガルル率いる王国兵士たちが激しい渡来を果たしていた。


 ガルルは部隊の先頭に立ち、鋭い眼光で命令を下す。


「人間共の国を滅多打ちにする!殺せるものから殺せ!ハッタン王国やボルケーノの襲撃はそれからだ!」


 JOKERはその言葉に応えるかのように叫び声を上げ、何発もの爆発魔法を放って香港の街を瞬く間に火の海へと変えていく。


「よっしゃああああ!!!」


 絶叫が街を震わせ、逃げ惑う市民の悲鳴が交錯する中、ガルルは鋭い刀を振るい、無差別に襲いかかった。


 兵士の一人が震える声で勇気を振り絞って訴えた。


「や、やめようぜ……こんなこと……!」


 だが、ガルルは冷酷に振り返り、鋭い刃を兵士の首に深く突き立てる。


「じゃあ死ねやぁ!」


 兵士の断末魔の叫びを背に、ガルルはその首を天高く掲げて叫んだ。


「死にたい馬鹿者は前に出てこい!!俺が介錯してやる!!」


 その凄惨な光景に、戦場はさらなる混沌と化していった。


第3話 協力


 海の上、波が穏やかに揺れる中、クライス率いるデジャヴの木造船は狙いを定めた海賊船へと静かに近づいていた。


「見つけた…ティードの船…」ハンドルの声が低く響く。


「美術館の一件でまさかとは思ったが…まさかティードが生き返ったとはな」クライスは煙草に火をつけながら呟いた。


「船を海賊船に寄せろ!」ギャバットの号令で、エリーが舵を操る。


「いえっさー!」エリーの声に合わせて、木造船はゴゴゴと重い音を立てながら海賊船へと近づいていく。


「よし、乗り込むぞ」クライスが剣を握り締める。


「…正気か?」カイラが疑問を呈した。


「マジだとも」クライスは静かに頷くと、一行は海賊船へと飛び移った。


 船内は酒の匂いが充満し、荒れた様子だった。中央に横たわる狼の姿をした男が、かすれた声で目を覚ます。


「んあぁ?」ティードは酒瓶を手にぼんやりと辺りを見回した。


「起きろ、兄弟」クライスは声をかける。


「…クライスか。まぁ、座れよ」ティードはフラつきながら座り込み、転がっていたグラスに酒を注いだ。


 かつて敵対していた男たちが、同じ酒を分かち合うとは思わなかったクライスは剣を脇に置き、グラスを口に含んだ。


「久しぶりだな。元気だったか?」ティードが問いかける。


「まぁな」クライスは短く答えた。


「もう一度王国に戻る気はないか?」


 ティードの手が一瞬止まった。


「…何の話だ?」


「もし私のもとで兵士として働いてくれるなら、これまでの所業はなかったことにしてやる」


 カイラは静かにその言葉を聞き、ギャバットが不安げに呟く。


「ちょっとまてよ、正気か!?」


「もうやめたいんだ、兄弟喧嘩は」クライスは痛々しい表情でそう告げた。


「お前の力を貸してくれ…頼む…!息子を止めるにはこうするしかないんだ…!」


 沈黙が続いた後、ティードがゆっくりと顔を上げた。


「いいだろう。その話、乗ってやるよ」


「再び、王都に光を」ティードはグラスを高く掲げる。


「…光を」クライスもグラスを掲げ、強く頷いた。


「そうだ。お前にプレゼントだ。倉庫にマジョのシマから盗んだ強大なアーマーがある。それをお前にやるよ」


「新たなアーマーか。恩に着る」クライスは立ち上がり、倉庫のドアを開けた。


 埃をかぶった暗い倉庫の奥に、紫に妖しく輝く鎧が静かに鎮座している。


「これが…魔導士たちの兵器…!」


“パープルアーマー”と呼ばれるそれは、魔女の呪法が編み込まれた強力な鎧だ。


「俺の意思に応えろ、パープルアーマー!」クライスの命に呼応するように、ガチャガチャと音を立ててパープルアーマーが体を包み込んでいく。


「力が沸き上がる…!これがパープルアーマー…!」クライスは新たな戦いへの決意を胸に秘めた。


第4話 合戦


警視庁正門前。

山崎がそっと最上の葉巻に火をつける。


「ボス、葉巻を」

「おう」


最上は深く煙を吸い込み、ゆっくりと吐き出すと、目を鋭く光らせた。


「じゃあ…やれええええ!」


最上の掛け声とともに、最上組と囚人エルフたちが警察隊に向け突入した。


「クソが、撃て!」釜野の怒号が響く。


ズドドドド!銃声が鳴り響き、火花が散った。


山崎は冷静に呟く。

「おれらの勝ちですね」


だが、最上は余裕の表情で牧本を指差す。


「牧本、部下連れて突っ込め」


「了解しました!」牧本はマシンガンを握り、部下たちを率いて敵陣へと駆け出す。


「撃て撃て!」


連射音が轟き、警察隊の隊員たちが次々と倒れていった。


だが、瓦礫の陰に震える部下を見つけた牧本は叫ぶ。

「おーい!どうしたんだ!」


部下の震える声。

「兄貴…俺、死にたくないよ…!」


牧本は数秒の沈黙の後、静かに言った。

「勝負が着くまで、ここでじっとしてろ」


その瞬間、背後から冷たい声が響いた。

「最上組の組員だな」


振り返る間もなく、山田が銃を突きつける。


「しまった…!」


バァン!


牧本の頭が一発で吹き飛んだ。


「ひぃ!ひぃいいいいい!!!」部下は恐怖で震え上がる。


バァン!


山田はためらわず、部下の頭も撃ち抜いた。


「クソ!らちが明かん!」釜野は絶望的な叫びをあげた。


釜野と新田はパトカーへ飛び乗り、車内に身を隠す。


バリン!


フロントガラスに流れ弾が突き刺さり、割れた。


「どうすんすか!」新田は慌てる。


釜野は険しい表情で考え込む。


そのとき、銃撃戦の真っ只中を歩いてくる影。


「山田さん…!?」釜野は驚愕した。


最上も目を見開く。

「なんだ?あいつ」


山田の身体には銃弾が貫通しているはずなのに、無傷で動いている。


そして、その姿がゆっくりと変貌した。


「お前…誰だ…!?」釜野の声が震える。


「私の変身魔法さ」


「やっと見つけたよ、最上とやら」


オールが拳を地面に突きつける。


「思い出させてやる、この一撃をもって」


巨大な炎の衝撃波が地面を這い、警察隊も最上組も呑み込んだ。


戦場は一瞬にして焼き焦げ、静寂が訪れた。


第5話 親子戦争


クライスたちが蘇ったティードと共に香港へ渡り、ついにガルルとの決戦の場に立った。


ガルルが冷たく微笑みながら言った。

「よく来たな、親父!」


クライスは激しい怒りに震えながら返す。

「ガルルぅ!」


死体の山と化した街の惨状に、クライスの怒りは頂点に達していた。

「デジャヴよ、兵士たちを説得してくれ」


彼は剣を抜き、決意を込めて言う。

「これは俺がまいた種だ。ガルルは俺がケリをつける」


JOKERが長い舌を振り回して襲いかかるが、ティードがそれを防いだ。

「貴様の相手はこの俺様だ」


JOKERは驚きの声を上げる。

「あんたが海賊、ティードか」


クライスはガルルに向けて厳しく言い放つ。

「バカ息子、これ以上我々エルフの都合で人間を巻き込むな」


だがガルルは断固として拒否した。

「断る。俺の目的を果たすためにはこの人間世界は邪魔なんだよ」


「目的…?」クライスは問い返す。


ガルルの眼は冷たく光った。

「支配さ…!」


そして剣を振りかざす。

「呪法、罰剣!!」


カキーン!その剣をクライスは軽々と片手で受け止めた。


「クソ…!」怒りを滲ませるガルル。


「諦めろ。お前と俺では力の差がありすぎる」


バコーン!クライスの拳がガルルの頬を吹き飛ばした。


JOKERが怒りを露わに叫ぶ。

「ガルル!貴様らぁ!」


メガティードは両手を掲げる。

「最奥魔法ブレス…!」


巨大な火炎砲がJOKERたちに向け放たれようとしたその時、クライスが叫んだ。

「な!?よせティード!被害がでかすぎる!」


だがメガティードは転移魔法でJOKERの前に現れ、強引に顎を掴んだ。

「掴んだ!」


JOKERは苦しみの声を漏らす。

「あが!?ごは!」


「がああああああああああ!!!」


火炎砲がJOKERの口内に注ぎ込まれ、内側からその肉体を溶かし始めた。


「うがああああ!!!あああああ!!!」絶叫は続くが、ティードはブレスを止めない。


やがて、バチャン!とJOKERの身体は崩壊した。


香港の親子喧嘩はクライスたちの圧勝で終わった。


カイラが駆け寄る。

「クライス!」


「兵士たちは?」


「説得した。何人か抵抗した奴は拘束したよ」


「そうか、ならいい」


その時、空からヒューン!ズドン!と奇襲が迫る。


「やぁ、ごきげんよう」


オウルが現れた。


メガティードは鼻で笑う。

「ふん、馬鹿が。敵の親玉が自ら死にに来たのか?」


オウルは呪法を放つ。

「呪法ツンドラ!」


カイラは剣で呪いのツララを叩き割る。

「効かねぇ!」


オウルは禁忌魔法を発動。

「パラメーターカスタム」


ズドン!と強烈な一撃がクライスを襲う。

「ぐはぁ!」


カイラが怒りを爆発させる。

「父さぁん!!!!貴様ぁああ!」


拳と拳がぶつかり、稲妻が走る。

「クッ…!待て!カイラ!」


オウルは苦笑する。

「ほう、この力を受け止めたのはお前が初めてだよ」


「信じられない…なんてパワーだ…!」


オウルは退きながら呟く。

「クソ…」


メガティードは冷たく鼻を鳴らした。

「情けない奴らだ。この俺様直々にわざわざ死にに来たことを後悔させてやる」


両手を掲げ、召喚術を唱える。

「来い、ブラックボックス!」


暗黒の宝箱、ブラックボックスが出現した。


オウルは再びパラメーターカスタムを発動。

「いくぞ!パラメーターカスタム!」


ブラックボックスはにやりと長い舌を出し、口を大きく開けて吸い込み始めた。


「馬鹿な…!?通用しない!?」


「知らないようだから最期に教えてやる。いくら強い魔法でも神の力には通用しない」


「う、嘘だろ…クソぉ!吸い込まれる!」


オウルは叫びながらブラックボックスに飲み込まれた。


「やった…!パラメーターカスタムは俺のものだぁ!」


ティードが勝ち誇った声を上げる。


第6話 マジョノシマ


 マジョのシマ上空には無数のヘリコプターが浮遊し、緊迫した空気が漂っていた。


 イザは冷静に周囲を見渡しながら言った。

「ここか、敵のアジトは」


 彼は中国へ渡り、組織の残党と合流した後、自身が最上との日々で得た「世界を繋げる力」を駆使して、この魔導士たちの根城であるマジョのシマへと辿り着いたのだった。


「いいか、できるだけ多くの捕虜を解放するぞ」


 部下たちは一斉に頷いた。


 イザはAKを構えながら口を開く。

「じゃあいいか?空襲開始!」


 無数のヘリコプターから一斉に銃撃が放たれる。

「ズドドドドドド!!」


 魔導士や魔女たちは爆発魔法で応戦したが、イザたちの機動力には太刀打ちできず、魔法はことごとく避けられた。


「な、なんだ!?」魔導士たちの驚きの声が響く。


「降りるぞぉ!ロープ出せ!」


 部下が素早くロープを展開し、ヒューンと彼らはマジョのシマへと降下した。


「グレネード!」


 曇り空の下、イザが手榴弾を放つと、爆発が起き、魔導士たちの体が弾け散った。


「こちらです!収容所は!」


 部下の指差す先にあったのは、古びた豆腐設計の建物だった。


 イザたちは武装を固め、迷うことなく収容所へと走り出した。


第7話 脱出


カラカラと足かせの音が響くマジョのシマ。奴隷のように働かされている者たちが、重い干し草を運びながらため息を漏らしていた。


悠は悔しげに顔をしかめて、汗まみれの手で干し草を抱え上げた。

「クソ……」


奴隷の女児ルイが不安そうに悠にしがみつく。

「おじさん…なんか来るよ…」


そのとき、上空からヘリコプターの轟音が近づいてきた。今までに聞いたことのないその音に、奴隷たちの胸にかすかな希望が灯る。


魔導士たちは狼狽え、混乱を見せ始めた。


「ズドドドドドド!!!」


突然の銃声がマジョのシマ全域に轟く。


ルイは驚いて耳を塞いだ。


干し草を運んでいた奴隷たちは監視の目をかいくぐり、必死に逃げ出す。


悠は叫んだ。

「いいか、俺たちも逃げるぞ!」


ルイが必死に呼びかける。

「おじさん!」


悠は力強く頷いた。

「やっとだ、逃げるチャンスが来た。沖に小船がある、あれで逃げるんだ」


無数のヘリからは、柄の悪い恰好の兵士たちが次々と降下してくる。


イザが号令をかけた。

「撃て!」


彼らは魔導士を見つけるや否や、容赦なく銃を撃ちまくった。


「いいねぇ、いいよいいよ、撃て撃てぇ!」


悠の目の前に現れたのは、かつての宿敵イザだった。


悠は驚きと怒りを込めて叫ぶ。

「お前……!!」


イザは部下から受け取ったハンドガンM9の弾倉を装填し、悠へと手渡す。


「偶然だなぁ、探偵。ずいぶんと老けたなぁ」


イザの薄ら笑いが不気味に響く。


悠は問い詰める。

「なぜ生きているんだ……!?」


イザは答えた。

「ある人に生き返らせてもらった。今からそいつの応援に向かう。お前も来るか?」


部下が叫ぶ。

「捕虜たちをヘリにありったけ詰めろ!」


捕虜たちはボロボロになりながらも次々とヘリコプターへと乗せられていく。


しかし悪天候の中、ランタンを持って馬に乗った魔導士たちが追いすがった。


「いたぞ、こっちだ!」


イザは悠に迫りくる追手を指差して言った。

「決断は早いほうがいい。来るか、死ぬか、選べ!」


ルイは震えながら悠の足にしがみつく。


悠は彼女の肩を掴み、優しく言い聞かせた。

「大丈夫だ。俺がお前を守る、ずっとだ」


その瞬間、悠はM9を構えて迫り来る魔導士の腹部に撃ち込んだ。


「行くぞ!」


イザたちと共に、悠とルイはヘリに乗り込み、マジョのシマから脱出した。


第8話 逃げ足


警視庁前は地獄絵図と化していた。オウルの起こした爆発に巻き込まれ、血まみれになりながらも、最上は何とか意識を保っていた。


「う、うぁあ…!」

全身から血を流し、朦朧としながらも頭を上げて周囲を見回す。


警察隊も最上組員も、無数の傷を負い倒れている。

「い、生き残った…!は、ははぁ!」

安堵の笑みがこぼれる。


その瞬間、警察の武装隊が庁内からぞろぞろと姿を現した。

「最上を探せ、息のある最上組員を拘束しろ!」

警察隊は倒れている者たちの息を確認しながら進む。


一方、嗅覚鋭いシェパードの警察犬が辺りを嗅ぎ回る。


山崎もなんとか意識を取り戻し、惨状に呆然と声を漏らす。

「ぐ、ぐぉお…!なんだよ…こりゃ」


そのまま山崎は警察官に拘束され、手錠をかけられた。

「山崎、確保」


最上はその隙を突き、血だらけの体を這わせてゆっくりと逃げ出す。

「く、くそぉ…」


倒壊したビルの陰から、血まみれの田村が現れ、最上を見つけて声をかける。

「ボス…!こっちだ…!」


「い、生きてたのか…!田村…!」

驚きの表情で目を見開く最上。


「ギリギリだな…」

田村は最上の腕を肩に回し、隠れ場所から離れた。


「向こうに待機している車がある。それに乗って逃げるぞ」

そう言うと田村は最上を支えながら歩き出した。


一方、倒れている釜野の元へ警察官が駆け寄る。

「大丈夫ですか!釜野本部長!」


釜野は苦しげに言葉を漏らした。

「…おれのことはいい…さっさと最上の首持って来い!」


新田が叫ぶ。

「いたぞぉ!ビルの裏だぁ!」

新田は拳銃を構え、撃ち始める。


「くそ!見つかった!」

田村は咄嗟に最上の体を守るように反応。


「撃ち殺してやる!」

最上も拳銃を構え応戦。


釜野の声が響く。

「裏回れ裏!」

警察隊は先回りしようと走り出した。


しかし、田村たちは停めてあった黒い高級車にたどり着き、慌ただしく乗り込む。

「乗ってくれボス!」


「出せ!300キロ出せ!」

最上がアクセルを踏み込む。


エンジンが轟音を立て、車は全速力で走り出した。


「逃がすな!」

警察隊もサブマシンガンを乱射しながら追撃。


「全力でアクセル踏め!」と最上は指示を飛ばす。


「東京を封鎖しろ!今すぐに!」

釜野が命じ、東京中が最上の逃走を阻むため封鎖された。


「そこの港だ!港へ行け!」

田村は警察の目を欺き、一旦港で撒く作戦を選んだ。


だが、そこには自衛隊の無数の戦車が待ち構え、砲台をこちらに向けていた。


パトカーは背後を固め、まさに八方塞がりの状況。


突然、警察隊が再度銃撃を始め、田村は頭に銃弾を受け倒れる。


「田村!くそ!」

最上は車を降りて、必死に裏道へと駆け出す。


「じゃあな、クソ野郎ども!」

最上は決死の思いで海へ飛び込み、姿を消した。


第9話 裏切りの猛毒


クライスが仲間たちを促し、撤退のために走り出そうとしたその刹那――


バァン!

乾いた銃声が響き、クライスの腹に鈍い衝撃が走った。血が噴き出し、膝がわずかに折れる。


驚愕した一同の視線が、ゆっくりと銃口を向けた男に集まる。


「おっとっと、逃がさねぇぞ」

にやりと笑うその顔は、兄弟であるティードだった。


オウルを倒し、手に入れた禁忌の力――パラメーターカスタム。それを己の復讐に利用しようとしていたのだ。


「ティード…!貴様…!」

クライスの怒気を孕んだ声が響く。


「パラメーターカスタム!」

ティードが叫ぶと、周囲の空気が震え、彼の足元から衝撃波が走った。


「うぉぉぉおおお!」

その体が眩く光り、皺が消え、筋肉が膨れ上がっていく。数秒後には、かつての若きティードの姿がそこにあった。


「素晴らしい…!これがパラメーターカスタムの力か!」

握りしめた拳から迸る力に、ティードは酔いしれる。


「行くぞみんな、俺たちをなめるなよ」

ギャバットが叫び、デジャヴの仲間たちが一斉に武器を構えて突撃する。


だがカイラが制した。

「よせ!奴は年齢だけじゃない…パワーもスピードも限界を超えてる!」


それでもカイラは剣を抜き、ティードの前に躍り出る。


「クライス!来い!」

ティードの挑発に、クライスが返す。


「ティードおおおお!!!!」


かつて兄弟と呼び合った二人が、香港の廃墟の中で剣と力をぶつけ合う――。


この瞬間、血で繋がれた兄弟の決戦が幕を開けた。


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