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【キミの声を聞かせて】~声を失った少女は、四人の王子に溺愛される~  作者: みみまる.com


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3/15

EP3:王子たちと新生活スタート。


───────翌朝



相変わらず声は出ないけどいつぶりだろうか、こんなに安心した気持ちで眠れたのは…。


私はベッドから体を起こすと伸びをして気合を入れた。


この家にせっかく置いてもらうんだ。今日から頑張ってみんなが気持ちよく過ごせるように家のことをがんばろう。



そして、私は朝早い静かな廊下をそーっと歩くと、洗面台に行き顔を洗って目を覚ました。


そしてリビングにあるカウンターキッチンに入り、冷蔵庫の中を覗いてみると男の子だらけのこの家には食材はあまりなかった。簡単な朝食にしようと朝のメニューを決めた。



食材を準備しながら

春琉くんが起きてきたら今日はお買い物に行けるように頼んでみよう。

それと、私洋服もエプロンもない…

ついでに荷物も取りに行けないか相談しよう。と、決めた。



私は今日の予定を決めると野菜を洗いトントントンとリズム良く切っていく。そしてお味噌汁、だしの効いた卵焼き、ご飯、ありふれた普通の朝ごはんを作っていく。


最初に起きてきたのは碧くんだった。


「わぁ〜!めちゃくちゃいい匂い〜!!澪ちゃんおっはよ〜!!」


そう言ってミルクティ色の髪の毛に少し寝癖をつけてニコニコしながら挨拶をしてきた。


私は慌てて頭を下げてメモ帳を取ろうとすると、何かを思い出したように


「そこにあるホワイトボード昨日僕たちで用意したんだ〜!それ使って?」


冷蔵庫の前に小さめのホワイトボードが置いてあった。

私の為に…って思うと胸がすごく温かくなった。


【おはよう碧くん。ホワイトボードありがとうございます。すごく嬉しいです。】


そう言って碧くんに見せると私はニコリと微笑んだ。


「どういたしまして〜」


そして碧くんは私が料理をしている姿をずーっとニコニコしながら嬉しそうにカウンターで見ていた。


【どうかしましたか?】


「ううん!料理してる姿ってなんか温かいなって思っただけ〜!」


そう言ってずっとニコニコしている碧くんに、私もニコリと笑い返すと、碧くんは少しだけ耳を赤くさせた。

そして朝ごはんの仕上げをして、テーブルに並べる準備をすると碧くんも「僕も手伝う!」と、率先して手伝ってくれた。



そして、ゾロゾロとみんなが起きてくると


「……おはよ」


と眠そうな春琉くんは綺麗な黒い髪の毛をかきあげながら席につく。


「うわぁ!うまそー!料理出来る女子最高じゃーん!」


と相変わらず朝から明るい響也くんも騒がしく席に座った。


【どうぞ、召し上がってください。

律くんはまだですか?】


私も皆と一緒に席につくと律くんの席だけがポツンとあいてて気になった。


「…あー、律は夕方ぐらいまでは顔出さねぇよ、気にしなくていい」


そう言われたけど、私はなんだか腑に落ちないままみんなと朝ごはんを食べた。


そしてご飯を食べる中でこの寮のことを春琉くんが説明してくれた。

春琉くんちの両親の持ち物で使ってくれた方が嬉しいみたいで普通の寮と違って寮母もいなくて食事も掃除も管理もできていないからタダ同然らしく、何もかも白波家から出ているらしい。だから

「あまり色んなことに気を使わなくていい」と言ってくれた。

私も少しだけ安心した。


そして春琉くんに

【そうでした。この家いろいろと足りない物多くて買い物に行きたいです。そのついでに私洋服も無いので、荷物も取りに行きたくて…】


朝ごはんを食べる春琉くんにホワイトボードを見せるとチラリとホワイトボードに視線を移した春琉くんは


「あぁ、わかった手伝う」


と言ってくれて、ありがとうの気持ちを込めてニコリと笑って頭を下げた。


その後みんなは綺麗に完食してくれ「久しぶりに美味しいご飯を食べた」と満足そうに笑ってくれて、私も誰かのために作って美味しいと誰かに言われたのは久しぶりで懐かしくて…嬉しかった。



そしてみんながそろそろ学校に行く時間になりお見送りのために玄関に向かうとその制服姿にビックリした。


あれ…?みんな私と同じ高校だったの…?


その制服は私と同じ高校だからだ。

私の家庭の事情と声が出なくなったことを知っている理事長は、また通えるようになったらおいでと優しく微笑んで、私を通信制に切り替えてくれて、月一のレポート提出だけで退学はしないですんでいる。



みんなと私もいつか通えるといいな…という気持ちを胸にペンを走らせる。そして


【いってらっしゃい】


とホワイトボードを見せてみんなにニコリと微笑んだ。


するの春琉くんが私に振り返ると


「帰ってきたら買い物と荷物な、早めに帰るから、大人しく待ってろよ…いってくる」


そう言って春琉くんは素っ気ない物言いだけどさっきのちょっとした約束をちゃんと守ろうとしてくれていた。


他のみんなからもいってきますを言われると、みんなに精一杯手を振って見送った。



そして朝食の片付けをする時に、そのままの律くんの朝ごはんだけがやっぱり目に入ってしまい、部屋の前まで届けることにした。


朝ごはんをトレーにのせると、ノックだけして部屋の前に朝ごはんを置き


【おはようございます。

よかったら食べてください】


とメモを添えて私はキッチンに戻った。

そしてキッチンの後片付けを済ませると


掃除と洗濯済ませちゃおう!と気合を入れ


私は丁寧にあちこちを掃除していく。

男の子たちで住んでいただけあって…洗濯物もすんごい溜まってて、あちこち汚れも溜まっていて大変だった。


だけど、広くて綺麗なお庭に大量に干される洗濯物からは洗剤のいい匂いが辺り一面に広がっていてその匂いに心が温かくなるととても落ち着いた。



そしてひと段落してキッチンに戻ると、律くんの部屋の前に置いたはずのトレーに綺麗に食べて空になった食器とメモ用紙が置いてあるのに気づいた。


【おいしかったです】


律くんらしく短いメモだけど食べてくれた嬉しさと一言のメモで私は嬉しくなった。

単純な私は毎日運ぼう!と胸に決めた。



すると、まだお昼すぎの静かな玄関から


───ガチャッ


と扉の開く音がした。


こんな時間に…誰だろう?


恐る恐る私は玄関に顔を出すとそこには少しだけ息を乱し


「待たせたな……行くか?」


と、早めに帰宅してくれた春琉くんの姿だった。

私は慌ててリビングに戻るとホワイトボードを持ってきて


【おかえりなさい。急いでくれたんですか?ありがとうございます】


とそれを見せてニコリと微笑むと


「べつに…ちげぇよ。俺の服だけだと困るだろーが…はやくいくぞ」


私から視線を逸らした春琉くんは私の手首を掴むと二人で玄関を出た。


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