EP2:寮の秘密と4人の王子。
─────春琉side
俺は学校を途中でだるくなり早めに早退して寮までの道を歩いていると目の前でフラフラと野垂れ死にそうな女を見つけた。
…ちっ…めんどくせぇな。
俺の目の前で野垂れ死ぬんじゃねぇぞ…
と思いながらその女を追い越そうとした。
すると…目の前で膝から崩れていくその女。
流石に助けないという選択肢はなくて倒れていく女を反射的に腕に抱きとめると声をかける。
「おい!…おい!…大丈夫か!!」
その女は死んだような目でうっすらだけ開いてた目を閉じていった。
はぁ…くそめんどくせぇことに巻き込まれた。と思ったが、流石に意識のない女をその辺に置いていける訳もなく、俺は寮まで連れ帰り俺の部屋のベットに寝かせた。
寝かせた後にその姿をマジマジと見たが、髪の毛はボサボサで顔や体中が汚れていてそんな女を自分のベットに寝かせてしまったことに後悔した。
「…まじかよ…」
と俺の独り言だけが部屋に響いた。
そして、俺は自分で言うのもなんだが人一番見た目がいいのを知っている。そのせいで昔から女絡みの面倒い事に巻き込まれてきた俺は女が嫌いだ。
一緒の空間にいるのが耐えられない俺は、部屋の外の扉にもたれ掛かりその女が目覚めるのを待つことにした。
はぁ…早退したのにとんだ厄日だな。
と、暫く扉の前で座り込みスマホをいじりながら待っていると既に夕方になっていた…。
あー…だりぃ。まだ起きねぇのか?
と、思っていると女が出てきた。
助けてもらった挙句、扉を人の頭にぶつけて謝りもしないとかとんだ女を拾ってしまったと思った。そして、あまりにも見た目が酷い女に話をする前に風呂に入ってくるように促した。
女が風呂に入ってる間に、リビングのソファで待っていると寮のメンツが揃った。
そして、肩を叩かれて振り向くと正直言ってかなりビビった。
自分の顔も綺麗だと思ってたが、俺が拾ってきたであろう目の前の女は遥かに美少女だったからだ。
色が白くて小柄で華奢な体には俺のパーカーはかなりでかかったみたいでワンピースのようになっていて、そして少し癖のある色素の薄い長い髪にくりくりの目に小さい鼻と唇。どこか光の無い瞳はその綺麗に整った見た目と相まって儚くて消えてしまいそうな女だった。
あんだけ薄汚れてた女が見違えるほどだ。
そして目の前でびしょ濡れの頭の澪は、俺を見ても何も変わらない他の女とは違う態度に、気づけばドライヤーをしてやっていた。
俺の思った通り何も反応しなかった。そんな澪に少し寂しい気もしたが新鮮だった。
そして事情はよく分からないが澪という名前と17歳で家がないことはわかった。
そしてこんだけ可愛い女だ。家もないのに流石に追い出したらどーなるかなんて誰がどう見てもわかる。しかも、声が出ない。何かあっても助けも求められない女だ。
この時は、こいつがあの時違う男に拾われてたらどーなってかと考えると拾ったのが俺でよかったと心から思った。
この寮にいることを提案すると金がないからという理由で頑なに受け入れようとしなかったからこの寮で俺らの世話をしてほしいと頼むと、ここにいることを選んだ。
俺も一安心したがたぶん寮のメンツもみんな俺と同じことを思ったと思う。
なんて言ったって最後に安心したあいつの初めて見る笑顔は、みんなの心を一瞬にして奪うほどのあまりにも可愛い破壊力のある笑顔だったからだ。
そして今、澪が眠った後にみんなでダイニングテーブルに集まって話をする。
「にしても、すんげぇ美少女だったよな〜。あんな可愛いくて家がないって何があったんだろうな。とりあえず事情がわかるまではかくまってあげないとその辺ぶらぶらしてていい見た目ではないよな〜。危なすぎ」
「…まぁな」
そう言って以外に真面目なことを言う響也。
可愛いだどうだって1番騒ぐのはこいつかと思ったがちゃんと真剣に考えていた。
「僕は澪ちゃん可愛いすぎてドライヤー渡した時顔見れなかったよ〜。明日からの澪ちゃんのご飯楽しみだなぁ〜。あ、そうだ!リビングには澪ちゃんの為にホワイトボード置いててあげようよ!」
「おっ!いい事言うじゃん!いいねいいね」
碧と響也は二人で明日から澪が過ごしやすいように色々と動き出した。
「…春琉。澪に、この寮のこと説明しなくていいの?…気を使うんじゃない?」
そう言ってきたのは、無口だが結構周りを見ている律だ。周りが見えすぎる為、色々と敏感で引きこもり気味だ。夕方ぐらいまではあまり部屋からも出てこねぇし、学校にもあんまり行かねぇこいつもちゃんと澪を受け入れようとしているみたいだ。
「まぁ…そーだな、明日話すわ」
別にこの寮が特別なにかあるわけじゃない。だけど、律の提案で気を使わないように伝えた方がいいかもしれないなと思った。
この寮は、うちの白波家の所有物だ。
今は新しい最新設備の寮を建ててしまったからこの寮は俺たち以外はいない。
なんで俺たちがいるかって言ったら、親父とお袋が出会った場所でどうしても取り壊したくなかったらしくこのまま残っている。
普通に新しい方の寮に入れば寮母もいるし、食堂もある。生活や飯には困んないけどまぁ、それなりに門限や制限もあり結構面倒臭い。
自由に過ごしたい俺たちには新しい方の寮は合わなくて、自由な楽観主義の親にこっちの寮をむしろ使って欲しいから好きに使っていいよと勧められ俺がここに暮らすことにするとダチの響也と律も着いてきた。そして、今年の春から高校生になった後輩の碧もこっちにきた。
寮という名のただのだだっ広い家みたいなもんだ。
もちろん食費も何もかもが白波家持ちだ。気にする物は何もない。
それを伝えてやろうと思う。




