EP1:拾ったのは美少女でした。
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「おい…お…だいじょ…」
薄れゆく意識の中、そんな声が聞こえた気がした。
再び目を開けると、知らない天井が目の前に広がっていた。
「……っ…」
あの日から私は声が出ない…。
重たい体を起こすと、キョロキョロと見渡すが、全然知らない部屋のベッドに私は眠っていた。
鏡に映る私は、ボサボサの頭に顔中に泥がつき汚れていて見た目も酷い上に着ていた洋服もボロボロで、こんな格好でベッドに入ってしまったことにも申し訳なくてため息が出た…。
とりあえず、起き上がり誰かいないか扉を開くと、ゴンッと何かにぶつかった音がして音のした下の方を見ると驚いて私の目は見開く。
「…いってぇ…」
私が眠っていた部屋の前で座り込み頭を痛がっている黒髪の男の子がいた。
不機嫌そうに振り返った男の子の顔はビックリするぐらい整った綺麗な顔をしていた。
慌てて頭を精一杯ペコペコと下げた。
「…っ……!」
だけど全然彼には伝わってなくてその綺麗な顔で睨まれた。サラサラな綺麗な黒髪を揺らしながら立ち上がる彼はすごく身長が高い。153cmしかない小さい私を上から見下ろすと
「……なんかないわけ?」
ど、どうしよう…
「……っ…」
「はぁ…まぁ、いいや。話は後で聞くからとりあえずお前汚れすぎ。風呂入ってこいよ下の階にあるから。」
そう言って彼が部屋に1回入ると部屋着とタオルを持ってきてかしてくれた。頭を下げると彼は、素っ気なく扉を閉めて部屋に戻っていってしまった。
たぶん、声が出ないのは伝わってない…よね…。
それにしてもここはどこだろう…。
廊下でキョロキョロするがやけに部屋が沢山ある…。
そして階段を見つけて、1階におりると広い玄関とリビングそしてお風呂やトイレには学校のように文字が書いてあり分かりやすく場所を示していた…。
お風呂と書かれた扉を開くとそこには、とても広い脱衣所とお風呂が広がっていた。
汚れてボロボロの服を脱ぎ、浴室に入る。
鏡に映る自分は何度見ても汚くて…あんな綺麗な男の子にこんな姿を見られてしまったことが少し恥ずかしいな…と思いながら丁寧に体と髪の毛を洗った。
そして、お湯に浸かると少しだけ気持ちが落ち着いてきた。
あの黒髪さんが助けてくれたのかな…。
お礼ちゃんと言わなきゃ…。
十分に温まり湯船から上がると脱衣所であの黒髪さんから借りた洋服を着ると…
ズボンは丈もウエストも全然合わなくてずり下がりパーカーもめちゃくちゃでかくて手は出ないし膝まで丈があった。とりあえずパーカーだけを借りることにした。
そして、お礼を言うことを胸に脱衣所の扉を開くと、お風呂に行く前に通りかかった大きなリビングの方から男の子たちの声が聞こえてきた。
さっきの黒髪さんこっちにいるかな…?
そぉっとリビングを覗くと…
男の子がダイニングテーブルに数人いて楽しそうに談笑していた。しかも、黒髪さんはいない…。
どうしよう…と思っていると
その中の一人と目が合ってしまった。
…………!!!!
「えっ…あの超可愛い子誰…?」
少しチャラそうな見た目をしている明るい茶髪にピアスをつけた男の子だった。
しかもダイニングテーブルにいた男の子たちが私をみんなして振り返った。
みんな目を見開いていて固まっている…。
ど、どうしよう…!!黒髪さんはどこ…!!!
視線を動かすとソファで寛ぎながらこちらに全く気づかずスマホをいじる黒髪さんを発見した。
私は声が出ないから説明しようがなくて…あたふたしながら男の子たちの前をぺこぺこしながら通り抜け、奥のソファに座る黒髪さんの元へと向かった。
そして肩を遠慮がちにトントンっと叩くと
振り返る黒髪さん。
その瞬間…黒髪さんまで目を見開く。
「…お前…さっきの女…だよな?」
と、意味の分からないことを言うからコクコクと必死に頭を動かし頷くと
「…別人じゃねぇかよ…てか、髪の毛びしょ濡れ…。乾かしてやるからこっちこい」
そう言うと私の手を引っ張りソファに座らせた。
そして
「碧ー!俺の部屋からドライヤー持ってこい」
と1人の男の子に言うと
「はー?自分で持ってきなよ〜!本当人使い荒いんだから〜!」
黒髪さんに命令されたのは、可愛い雰囲気の男の子だった。髪の毛がミルクティ色でふわふわしていた。
文句を言いながらもその男の子はドライヤーを持ってきてくれた。近くで目が合うと少しだけ耳を赤くして目を逸らされた。
そして、黒髪さんはドライヤーを受け取ると、私の髪の毛を乾かしてくれた。
久しぶりに優しく触れられる人の温もりはとても心地が良くて涙が出そうになった…。
「終わったぞ、こっちこい」
そう言って私の手を引きみんなのいるダイニングテーブルまで誘導して、私の席を用意してくれた。
みんなの視線がめちゃくちゃ痛い…。
「お前、名前は?」
答えれない私はジェスチャーをする。
そんな私に黒髪さんは目を見開き
「…もしかして、声出ねぇの?」
私はコクコクと必死に頷いた。
「…はぁ。さっきは酷いこと言って悪い。」
そう言って申し訳なさそうに謝る黒髪さんに私は慌てて手を振って悪くないですって身振りをするけど、伝わってるかは分からない。
「なんか書くものある?」
と黒髪さんが皆に聞くと
「俺の余ってるノート持ってくる」
そう言ってもう1人の黒髪の無口な静かそうな男の子が、ノートを取りに行ってくれた。
そして、筆談での自己紹介がはじまる。
【栗山 澪です。17歳です。】
私はみんなが読みやすいように丁寧に綺麗な字で書いた。
「俺は白波 春琉17歳」
私を多分助けたであろう、黒髪さんは白波くんと言うらしい。少し素っ気ないが、この中でも飛び抜けて顔が整っている。サラサラの黒髪から覗く圧倒的綺麗な顔は色が白くて本当に美少年だ。
スラッとしてて身長も180cm以上ある。
「じゃあ次俺ね〜!俺は枦山 響也春琉と同じ17歳。よろしくね〜?澪ちゃん」
そう言って愛想良く笑うのは明るい茶髪にピアスをつけて少しチャラそうな雰囲気をしているイケメンだった。身長は白波さんより少し低いぐらいだった。
「…俺は、神崎 律17…よろしく」
この中で1番無口で自己紹介の声も少しだけ声が小さくて、あまり目も合わせてくれない不思議な雰囲気を持っていて、少し癖のある黒髪に目の下に涙黒子をつけた大人っぽい顔立ちのこれまたイケメンの男の子。身長は白波さんと同じぐらいだ。
「やっと僕の番きた〜!僕は早川 碧!春琉くんとは中学の時の先輩後輩で16歳!よろしくね!」
そう言って愛嬌があって元気よく可愛いらしい雰囲気の男の子。ミルクティ色の髪の毛をふわふわと揺らしワンコみたいで可愛い。この子もイケメンでモテそうだ。この中ではいちばん身長は低くて175cmぐらいかな?私からしたら充分でかい。
「で、なんか聞きたいことある?」
【私を助けてくれたのは白波さんですか?
助けてくれてありがとうございます。】
「気にすんな。家で苗字呼び嫌だから下の名前でいい。コイツらもな。んで、聞きたいんだけど…学校帰りの道にお前倒れてた…何かあったのか?」
そう言って私をジッと見てくる。
みんなも名前呼びでいいよっと言ったあと、私と春琉くんのやり取りを静かに見守っていた。
そして、中々書く手が動かない私に
「はぁ…まぁいいや。帰るとこはあんのか?」
【ないです。ごめんなさい。すぐ出ていくので少しだけ置いてくれませんか?】
書いて春琉くんをジッと見てお願いしますと頭を下げると
「…別にいたいだけここにいれば?」
【それは悪いので大丈夫です】
すると、響也くんが
「この寮に住んでるのは俺たちだけだから春琉がいいって言ってるんだから好きなだけいなよ〜。
それにこんなに可愛い子が一人でまた外で倒れでもしたら、大変なことになるよ?」
そう言って優しく笑ってくれる響也くん。
【でも、お金もないし払えるものがないです】
そう言って俯いてションボリする私に
「気にすんな。気になるんだったらこの寮は寮母とかもいねぇし、男ばっかで生活大変だからお前が俺たちの飯とか家事全般してくれればそれでいい。それをここにいる理由にするのはどーだ?」
そう言ってくれた春琉くんに
「賛成さんせ〜い!!料理とかいつも激マズで死にそうだったんだよね〜!!女の子のご飯食べたい!!」
と可愛い笑顔で後押しをしてくれる碧くん。
そして静かに頷く律くん。
優しいみんなに胸がじんわりとして私はここにきて初めて笑顔がこぼれた。
【ありがとう】
私はそう書くとみんなに見せてふんわりと笑った。
「「「「………」」」」
するとみんなが目を見開きびっくりしていた。
私は不思議で首を傾けてみんなを見るが、みんなそれぞれなんでもないっと目を逸らした。
そして、私は何かあった時はすぐ助けを求めれるようにと春琉くんの隣の部屋を貸してもらえることになった。
そして、私は明日からの生活にワクワクすると嬉しい気持ちと久しぶりに人の気配を感じながら安心してその日は眠りについた。




