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【キミの声をきかせて】~声を失った少女は、四人の王子に溺愛される~  作者: みみまる.com


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25/28

EP25:澪の初恋。


その後、碧くんと寮に帰る頃にはすっかり日が暮れてしまった。


「ただいまぁ」


「たっだいま〜!!」


私と碧くんの声が玄関に響き渡る。



サボったこと…なんか聞かれないかな…?


と思いながらリビングに入ると



「おーおかえりっ、碧お前、澪とどこいってたんだよー?」



と明るく笑うきょーくんが迎えてくれた。



「えへへっ遊園地デートっ!!」



いつも通りに碧くんはきょーくんに明るく答えていた。だけど少しだけ赤い目に胸がチクっと痛む。



するとソファから立ち上がった春琉くんが


「おかえり……楽しかったなら、よかったな」


そう言って頭をぽんっと優しく撫でるとそのままリビングを出ていこうとした。


「あ…っ、春琉くん…」


「…ん?」


視線だけ私に向ける春琉くん。


「あの…私、春琉くんに少しだけお話があって…いいかな…?」



私は春琉くんと話をしたかった。

自分の気持ちに気づいてしまった私は春琉くんにどうしてもこの気持ちを伝えたかった。



だけど…春琉くんの瞳は切なそうに揺れる。

そしてすぐに私から視線を逸らすとリビングの出口を見る。



あ…まただ…。最近よく見るこの顔だ…。



そして



「あー…ごめん。俺今からお袋に呼ばれてるんだわ。悪いけど…きょーに聞いてもらってくんね?」


「え…」



私の返事を聞く前に春琉くんは、それだけ言うとリビングを出て行ってしまった。



目の前で扉が閉まる音が響いて…それと同時に私の胸を締め付けた。



やっぱり…何か変だ。私の事避けてる…?

私の中で違和感が確信になった。





─────それから、数日が経った。



あれから何度も二人きりで話せるチャンスがないか春琉くんを追いかけたけど…


学校でも寮でも…なにかと用事があると言われて結局私は話ができないままだ…。



最後に抱きしめてくれた中庭での事を思い出しては…寂しくて切なくなる。



寂しいな…春琉くん…一体どうしちゃったの?



だからと言って春琉くんが私に冷たいわけではない…。なんか遠慮してるような…二人きりを避けているような…そんな感じ。



そして相変わらず春琉くんは女の子に人気で最近は見慣れてきたその姿を寂しい気持ちで見つめる日々。



見たくなくて…だけど心配もかけたくなくて机に突っ伏してたら…いつの間にか肩を叩かれるまで眠っていた。



顔をあげるとそこにはきょーくんがいた。



「…わっ…きょーくん…ごめん私寝てた?!」


「春琉がさっきまで澪を待ってたんだけど、俺が来たら用事あるから、澪を起こして先帰っててくれって」


「…そっか…」



帰ってしまった春琉くんにへこむけど、さっきまでは寝てる私といてくれたんだ…。


その間何を考えていたのかな…。


寝てしまっていたことに酷く後悔した。


そしてきょーくんが目の前にいることを忘れてため息をついてしまった。



すると



「……澪、お前なんか最近おかしくね?」



そう言って誰もいなくなった夕暮れの教室で心配そうに私の顔を覗き込むきょーくん。



「…そんなことないよ…」



するときょーくんの温かい手のひらが私の頭に優しく乗せられた。



「最近、春琉となんかあった?

あんなにお前らよく一緒にいたのに最近二人のツーショット全然見ねぇもんな…

なんかあったなら俺に言ってみろよ」



そう言ってニッと笑うと私の前の席に座るきょーくん。


優しいきょーくんの笑顔にいつの間にか私の目からは涙がポロポロとこぼれ落ちていた。



「…な、なんでもないよ…」


そう言って慌てて零れる涙を制服の袖で拭くと


「はぁ…そんなに泣いてなにがなんでもねぇだよ…俺には言えないこと?


言っちまえば楽になるぞー

俺は……お前のそんな姿見たくないけど?」



そう言って笑うきょーくんの姿は、昔と変わらなくて優しくて涙が更にポロポロと溢れる。



「…私…春琉くんに…なんか、しちゃったのか、な…っ?わかん、ないよ…っ


冷たくされて、るわけじゃないっ、けど…避けられてる…と思うっ…っ」



そう言って泣きじゃくる私を見るきょーくんの目は、私より切なくて辛そうだった。



そして私に目線を合わせると、私の涙を親指でそっと拭う。

そしてほっぺたを両手で優しく包み込むと



「泣くなよ…。澪は、春琉が好きなんだな?」



コクコクと頷く私に



「あいつが何考えてるかはわかんねーけど…お前をこんなに泣かせるなよなー。


はぁ…まったくあいつは…


まぁ…俺も言えたことじゃねーけどな」



そう言って私のほっぺたをむにっと引っ張る。



「…もうっ…きょーくん…いたいよ…はなして」



「なぁ…忘れたか?俺は昔からお前のことだけがずっと大好きなんだけど?

澪が、春琉が好きでもこの気持ちは変わんねーの。お前が春琉が好きって言うなら見守るよ。


だけどさ、お前が笑っててくれないと俺すげぇ辛いんだけど」



そう言って困ったように笑うきょーくん。



そんな風に思っててくれてたんだ…。

きょーくんのことは大好きだけど…それは昔の話…。昔は大好きだった…。

ずっとキーホルダー大切にしてたよ。

私にとっても初恋だったよ…。



だけど今は春琉くんがどうしようもなく好きだ。



「はぁ…あいつのせーで泣くなよ……


辛いなら俺がお前の隣にずっと一緒にいてやるよ?お前が俺の方を向いてくれるまで俺は何年だって待てるしなっ」



そう言って…ニヤッと悪戯顔で笑うきょーくん。

だけどその笑顔の下ではきっと誰よりも悲しい顔をしてるのがわかる。



だって私を探してた頃のきょーくんは表面では明るくて優しかった…だけど夜は荒れてたきょーくんのあの頃を思うと、きっとこの笑顔の下は苦しくて悲しい顔を隠してるのが…わかってしまう。



「…ごめんね…きょーくん」


「だーかーら、暗い顔すんなっつーの!」



そう言って私の頭をガシガシと撫でるきょーくんに私もきょーくんを悲しませたくなくて頑張って笑顔を返した。


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