EP24:夕暮れと一番カッコイイ笑顔。
たくさんの乗り物に私の目は輝き出す。
だって…小学生の時ぶりだっ!!
「澪ちゃんっ!こっち〜!!!」
そう言って楽しそうに笑う碧くんに着いて行き、久しぶりの遊園地にワクワクしてたくさんの乗り物を二人で制覇する。
「澪ちゃん絶叫系もいけるって最高だね〜っ!楽しい?」
「…うんっ!すごく楽しい…」
「じゃあ…次は…お化け屋敷だよっ!!」
「…えぇ…それはちょっと…」
「来たからには楽しまなきゃ損だよっ?!」
そう言ってキラキラの笑顔の碧くんを見てると行ってあげたい…と思い頷く。
それに…怖かったのは小学生までの話で、私は今17歳!!…楽しまなきゃ!!
覚悟を決めて碧くんとお化け屋敷に入っていく。
入ってみたはいいけど…薄暗い通路に効果音…年齢を重ねても怖いものは怖いみたいだ…。
「……うわぁっ!!……きゃっ!!」
あまりの恐ろしさに立ち止まる私に
手をぎゅっと握った碧くんは余裕そうで
「ふふっ!澪ちゃんお化け屋敷ダメなの?こんなに楽しいのに〜!僕の後ろに隠れててい〜よっ」
そんな頼もしい碧くんがちょっとだけ意外だった。
いつもならふざけたり一緒に怖がりそうなタイプだと思っていた…。
そして、後ろをついて行ってても怖いものは怖くてビクビクする私に
「大丈夫だよ〜。澪ちゃんがそんなに怖がると思わなかったなぁ。やめとけばよかったね?付き合わせてごめんね?」
そう言って私の手を力強く引いてくれる碧くんの背中はすごく大きくてちゃんと男の子だった。
「ご…ごめん…小学生ぶりで…さすがにもう平気かなって思ったんだけど…苦手なままでした…」
「あははっ澪ちゃんは可愛いねぇ」
そしてまぶしい光が見えてくるとやっと出口だった。
外に出た頃には、空がオレンジ色になってきて日が暮れてきていた。
「手を離すのもったいないなぁ〜…ねぇ、最後に観覧車乗ろうよ」
そう言ってキラキラと笑う碧くんにいいよって、返事をすると観覧車に乗り込む。
きっと今日は私に元気がなかったから、碧くんなりに私を一生懸命励ましてくれてたんだよね。
その優しさがすごく嬉しかった。
私は学校でのモヤモヤも碧くんのお陰で吹き飛んでいた。
1日すごく…楽しかったな。
私たちの番がきて観覧車に乗り込む。
乗り込むとすぐに碧くんに感謝の気持ちを伝える。
「碧くんっ!今日は本当にありがとう…私すっごく元気出たっ!」
私は満面の笑顔で碧くんにお礼を言った。
すると、いつもなら澪ちゃん大好きーとか可愛いーとか言って抱きついてくるのかなって思ってたけど…
今日の碧くんはそんな事なくて
「…澪ちゃん、今日澪ちゃんが元気ない理由すぐ分かったよ。春琉くんたちでしょ?
女の子たちがいつも周りにいるもんねー…中学の頃から人気だったから…僕は見慣れてるけど澪ちゃんは見慣れないよね…寂しくなかった?」
そう言って心配そうに笑う碧くん。
「あの三人年上のくせして本当鈍感なんだから…きっと澪ちゃんがこうやって寂しがってるのも気づいてないんだ…バカだよね本当に…いつも近くにいるくせにさっ
僕だったら絶対に澪ちゃんを一人ぼっちにさせないし寂しいなんて言わせないんだけどな」
碧くんは切なそうに観覧車から外の景色を眺める。
「…人気だから仕方ない、よね…励ましてくれてありがとう。私は大丈夫だよ。
碧くんが今日こうやって連れ出してくれて元気出たんだよ?だから明日からはまたがんばれそうだよ」
そう言って私はニコッと笑う。
そんな私に視線を戻すと何か覚悟を決めた真剣な顔した碧くんは
「…澪ちゃんにそんな顔させるなんて…やっぱり僕は…いやだ。
ねぇ澪ちゃん、僕じゃダメ?僕なら絶対悲しませない…僕の事を好きになってくれない…?絶対にそんな顔させないよ…いつだって…絶対に元気にしてみせるよ…?」
そう言って私の手をぎゅっと両手で握りしめる碧くんは切なく縋るような目で私を見る。
私はそんな碧くんを見るのが初めてで…私の胸はぎゅっと苦しくなった…。
可愛いくて明るくて優しい碧くん。
可愛い碧くんにいつも癒されてたよ。
だけど…やっぱり気になるのは最近少し変な春琉くんの事で…。
「…碧くん…ごめんなさい…。碧くんのことは大好きで…本当に…とても大切だよ…っ
今日もすごく楽しくて嬉しかったの…だけど…私は…やっぱり…」
春琉くんが…好きだ…。
私は、碧くんの想いに申し訳なさで胸がいっぱいになって涙が溢れる。
碧くんのがきっと辛いはずなのに…涙をこらえる碧くんはいつもの可愛い笑顔を向けてくれる。
「ははっ…すっごくすっごく…悔しいなぁー…澪ちゃんの好きな人はやっぱり…春琉くん?なんだよね…?
そんな辛そうな顔してさ、澪ちゃんはバカなんだから…」
「…えへへ…だよね…ごめんね…」
「いーよっ!今日は僕が澪ちゃんを笑顔にさせてあげれたから、今日のところはそれで満足してあげるっ!
…でも…もし…春琉くんが澪ちゃんのこと泣かしたりしたら許さないよっ!すぐにでも奪いに行くから覚悟しててねっ!諦めてなんかやんない…っ」
そう言って碧くんは私の手をそっと離した。
その離れる手が少し寂しかった。
でも甘えちゃダメだ…。
そして私の頭をいつもの優しい笑顔でぽんぽんっと撫でてくれた。
夕日に照らされた碧くんの笑顔は、少しだけ目が潤んでて…だけど今までで一番かっこいい男の子の顔をして笑っていた。




