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【キミの声をきかせて】~声を失った少女は、四人の王子に溺愛される~  作者: みみまる.com


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19/28

EP19:助ける為に響かせる。



春琉くんが街の方へ一人で行ってしまったあと、私はきょーくんと寮までの道をションボリしながら歩いていた。


買い物袋を握りしめながら、春琉くんとの喧嘩がショックで私の視界は涙でずっと滲んでいる。



私が迷惑かけたせいで…春琉くんはあんなに怒っちゃったんだ…うぅ…。



私の頭の中は春琉くんに嫌われたかもしれないという悲しみで胸が押しつぶされそうだ。


すると隣を黙って歩いていたきょーくんが、頭をぽんっと優しく撫でながら声をかけてきた。



「…澪…そんなに泣くなよ。お前がそんなんだと俺もつれぇよ。


春琉は、あんな風に怒ってたけど…お前に悪気があったわけじゃねぇよ…絶対にな


なんか…必死だったんだよ。あいつはいいやつじゃん」



きょーくんの優しい励ましに、私の胸の奥がぎゅっと締め付けられる。



悪気がないなんて分かってる…。

春琉くんはいつも不器用だけど…本当は誰よりも優しいことなんて私が一番よく知っている。

だって…私を拾ってくれたのも…家に置いてくれたのも…私の傍で私をずっと助けてくれてたのも…春琉くんだもん。


今までの事を思い出したら…春琉くんはいつも優しくて…喧嘩したままじゃ嫌だと思った…。


…このままじゃ嫌だ。ちゃんと追いかけて、ごめんなさいって伝えなきゃ……!



私はきょーくんに向かって深く頭を下げると持っていた買い物袋を響也くんの手に無理やり握らせた。



ごめん!きょーくん!私行ってくる!!



ホワイトボードを出す時間すら惜しくて心の中でそう叫びながら頭を下げる。



そして私は春琉くんが消えていった街へと全力で走り出した。


「おい!!澪!!一人は危ねぇだろ!待てって!!」


後ろからきょーくんが呼ぶ声が聞こえるけれど私は早く春琉くんに謝りたくて振り返らなかった。


必死に街の中を探し回る。


春琉くん…どこ…?どこにいるの…?


人混みをかき分け、必死にキョロキョロと周りを見渡す。


………いた…!!!


やっと見つけた春琉くんは、見知らぬ派手な女性に絡まれているところだった。


嫌そうにしている春琉くんが見える。

急いで駆け寄ろうとした時だった…


なにやら怒り出した女性が、春琉くんの胸を思いっきり押した。


驚いた顔の春琉くんはそのまま体が車道側に転がっていく。


私は目の前の光景に今までにないほど目が見開く。



…うそ…まって……そっちは…



それと同時に、曲がり角から猛スピードを出した車が春琉くんに向かって真っ直ぐに近づいてくるのが見えた。


春琉くんは道路に倒れたままで、春琉くんの後ろから近づく車に全く気づいていない。


春琉くん……!早く起き上がって!!

おねがい…!!!気づいて…!!!


叫びたくても私の声は音にならない…。

これ程までに声が出ないことを恨んだことはない。

距離がありすぎて走っても絶対間に合わない。



なんで…!!なんでよ…!!このままじゃ…春琉くんが…!!

春琉くんにこのままじゃ……もう二度と…会えない…!!



目の前がチカチカして頭の中が真っ白になっていく。今まで経験したことないほどの恐怖と焦りが私を襲う。



守りたい…!守りたいよ…!春琉くんは……私の大切な人だから…!!お願い…もう二度と声は戻らなくていいから…!!今だけで…いいから……お願いっ!!!!



その瞬間


「…春琉く…んっ!!! あぶなっ……いっ!!!」



街の中に私の少し震える途切れ途切れな叫び声が響き渡った。


私の声に反応して春琉くんがハッとこちらに振り向く。


だけど…その瞬間、春琉くんの目の前には、激しい急ブレーキの音を響かせた車がすぐそこまで迫っていた。



──────────────……


春琉side



「……チッ。クソ……」



行く宛てもなくただ街の中をイライラしながら歩く。頭の中にあるのはさっき涙を流して深く俯いてしまった澪の顔がずっとチラつく。



あんな言葉、言うつもりじゃなかった。



ただ、一瞬目を離した隙に澪が泣かされてて…なのに俺は女への嫌悪感が酷くて自分の事に必死で気づきもしねぇで…クソッ…。


響也が先に気づいて澪を助けてたことにも俺は情けなさと嫉妬で爆発してしまった…。


完全な八つ当たりだ。


澪を絶対最初に助けるのは…俺でありたかった…。


最悪だ…。自分の勝手なワガママで澪を守れなかった挙句、八つ当たりして傷つけて泣かせて…。


少しだけ歩いてると冷静になって頭が冷えてきた。


あいつに、早く謝らなきゃ…。


そう思って寮に引き返そうとした、その時だった。


香水の匂いをきつく漂わせた見知らぬ女がいきなり腕に抱きついてきた。


「さわんなっ…失せろっ!!」


強引に振り払ったら、その女は酔っ払ってるのか逆上する。そして、ものすごい力で俺の胸を思いきり押しやがった。


あまりにも予想外の行動と強い力に俺は車道に向かって投げ出される。


地面に強く背中を打ち付けた、その瞬間だった。


「…春琉く…んっ!!! あぶなっ……いっ!!!」


俺の名前を呼ぶ必死な知らない女の叫び声が響いた。


は……もしかして……澪…?


驚いて声のする方へと振り向く。


だけど、俺が振り返った次の瞬間、目の前には激しい急ブレーキの音を響かせた車が、もうそこまで迫っていた。



しまっ…た…!嘘だろ…やばい……



目の前が絶望に包まれていく。

迫り来る衝撃を前に、俺の頭の中を強烈な後悔と絶望が支配した。


なんで……なんで今なんだよ……

俺、今、澪にちゃんと謝ってあいつと話そうと思ってたのに……っ!!



その瞬間けたたましい音が街の中で鳴り響いた…。


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