EP11:律くんと秘密のお昼ご飯。
昨夜は、すこしだけ春琉くんと夜更かししたせいでふわぁぁと欠伸が出る。
眠い目を擦り伸びをすると気合を入れてリビングに静かに降りた。
朝からいつも通りみんなの朝ごはんとお弁当をテキパキと作っていく。
作りながら昨日の夜のことを思い出す。
「お前のそばで守るのは…俺がいい…」
そう言って苦しそうに寂しそうに言う春琉くん。
あまりにも苦しそうだったから背中をとんとんとしてあげた。
あんな春琉くん初めて見たな…。
やっぱりみんな寂しくて元気が無くなることもあるよね?私が元気づけてあげなきゃ!
すると、後ろから静かな足音がしてきた。
「……おはよ…澪」
相変わらず朝が苦手そうな春琉くんだった。
だけど、昨日の夜と違っていつも通りに戻ってるようだった。
私はペンを持つと
【おはようございます。元気そうでよかったです】
ホワイトボードを見せてニコリと笑う。
「…ふっ…元気に決まってんだろ」
春琉くんもそう言って笑うと席についた。
そこに、きょーくんもやってきた。
「おはよー!二人でなに話してたわけ?」
そう言って私と春琉くんに明るく近寄るきょーくん。
「…べつになんでもねぇよ」
「うわぁー、あやしー」
楽しそうなきょーくんは久しぶりで、二人のそんなやり取りを見ながら
【きょーくん、おはようございます】
と、ホワイトボードを見せた。
すると、ふっと私を見る表情が変わるきょーくんは、私を愛おしそうに見てくる。
そして
「昨日はたくさん驚かせてごめんな。」
そう言って頭をぽんっと撫でてきた。
「おい響也、朝から澪に触れてんじゃねぇよ、離れろや」
春琉くんが響也くんの手をパシッと叩いて睨みつけていた。
そして、また昨日みたいにプチ喧嘩が始まる。
でもなんだかそんな二人が面白くて私はくすくすと笑った。
そんな騒がしいリビングに碧くんもやって来て、朝のメンバーがやっと揃った。
「澪ちゃん、おはよー!!今日も朝ごはんすごい美味しそーう!!」
ミルクティ色の髪を揺らして、碧くんは相変わらず私の料理を見るといつも嬉しそうだ。
そして、みんなで朝食を食べ終えるとみんなにお弁当を渡して学校に行くみんなを見送った。
みんなを見送ると私はいつも通り律くんに朝ごはんとお弁当。
そしてメモを部屋の前まで運んだ。
【おはようございます。今日もたくさん食べてください】
これももう毎日続いてるルーティンだ。
その後、私はいつものように掃除や洗濯をこなしていく。
気がつけばお昼の時間になっていた。
自分のお昼ご飯はなににしようかな〜
と冷蔵庫を確認したあと、キッチンに向かい適当に残り物でチャーハンとスープを作ってダイニングテーブルに運んだ。
その時だった…。
トントントンと階段から静かな足音が聞こえてきた。
律くんかな?トイレかなー?
すると、予想外にリビングの方に足音が向かってくる。
あれ?と思って振り返ると、そこにはすこしだけ癖のある黒髪を揺らした律くんがお弁当を持って立っていた。
いつも夕方までは部屋から出てこなくて、出てきても人とは接しない彼が、私のいるリビングに顔を出したことにビックリして私は目を丸くさせていると
私の目の前まで近寄ってきて、少し気まずそうに遠慮がちに
「えと…あのさ…、お昼は…澪1人でしょ…?俺と一緒にご飯食べない…?」
……あの律くんが?とビックリしている私に言葉を続ける
「みんないないから…澪1人でご飯食べるのは…寂しいかな…って思って…俺じゃ…嫌…かな?」
と少し自信なさげに涙黒子のある目を揺らす律くんに私は慌ててブンブンと首を振ってホワイトボードに文字を書く。
【その提案は、とても嬉しいです。ご飯は一人で食べるよりも誰かと食べると幸せですよね】
ホワイトボードを掲げてふわっと私は律くんに笑った。
すると、その返事を見た律くんは少しだけ目を見開いたあと、嬉しそうに照れくさそうに笑った後、私の手を握るとその手を引いてダイニングテーブルに私を座らせた。
そして律くんは、私の前に座ると私が作って部屋の前に置いてたお弁当を目の前で広げると
「…いただきます」
と手を合わせて私の目の前で嬉しそうにご飯を食べだした。
「いつも澪のご飯はさ…澪の人柄が出てるよね…すっごく優しくて美味しい味する…」
そう言って涙黒子のある目を緩ませて笑う律くんは大人っぽい。
そんな律くんに声は出ないけどふふふっと笑う。
【ありがとうございます。二人で食べるご飯は美味しいですね】
ホワイトボードを見せて私もニコニコしながらお昼を食べる。
すると…律くんは何か覚悟を決めたような顔をすると
「あ、あのさ…」
私はそんな律くんにん?と顔を傾けて律くんの言葉を待つ。
「明日からは…お昼は澪と一緒に食べていいかな…?」
控えめな律くんは遠慮がちに聞いてくる。そんな嬉しい提案断るわけないのに、春琉くんと同じぐらい大きいのに自信なさげな律くんにクスクスと笑いながら
【もちろんです。私はいつでも大歓迎ですよ】
私はホワイトボードを見せてニコリと笑う。
返事を見た律くんは、少しだけ耳を赤くさせる
と照れくさそうに笑った。
「よかった…ありがとう」
【私の方こそありがとうございます。明日からはお弁当じゃなくてお昼は作りますね】
そう提案すると、何かを思い出したように
「嬉しいなぁ…あ、そうだ…これ春琉たちには秘密ね…?」
【秘密ですか?】
「うん…そう秘密。春琉たちにバレたら…絶対うるさいから…みんなには内緒」
そう言って悪戯っぽく笑う律くん。
【わかりました】
私が返事を書くと
「二人だけの…秘密」
律くんは、機嫌よく残りのご飯を食べるとあまり見た事ないような笑顔で
「ごちそうさま…澪と食べるご飯はすごくおいしかった…」
と笑った。そんな律くんに私も嬉しくてニコリと微笑み返した。
そして意外にも律くんはすぐ戻るのかな?と思ったけど一緒にお皿洗いまでしてから部屋に戻って行った。
明日からはお昼も一緒に食べる人がいると思うと嬉しくなった私は午後の家事もがんばった。




