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第41話 秋の調べ(その10)
発表会終了後、別室の大きな会議室を借りて、生徒と父兄方とで、持ち込みのジュースやお菓子で、‘打ち上げ’が開催された。咲は世話役として会場を動き回っている。飲み物やお菓子を配ったり、おじいちゃん、おばあちゃん方に椅子を出して勧めてあげたり、年少の生徒たちに、「今日は頑張ったね、いい演奏だったよ」と声を掛けてあげたり。
そして、不思議なことに、そんな風にしている咲からは、‘忙しそう’とか、‘大変そう’という感じが全く伝わってこないのだ。どんなにいっぱいいっぱいの状態だったとしても、どこか静かでゆっくりした印象を与え、容姿も含めて目立つはずなのに、存在を必要以上に主張しない。‘目立ちたくない’というはっきりした意思すら感じられる。でも、そんな感じで自然なのだ。考えてみればそんな咲は、本当は4LIVEでステージに立つ、ということは望んではいなかったのかもしれない。しかし、それが咲の生まれついての‘本質’なのか、殴られ側で生きて来た結果の後天的なものなのか、僕には判断がつかない。
ただ、咲が作った曲は、どれも本当に美しい。そして、咲自身は、その曲が誰かの耳に、心に届くことについては、望んでいるはずだ。




