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第16話 かげろう(その10)
次の日から、僕たちは、屋外で練習を始めた。マスターの厳命だ。マスターの店のワゴン車に「BARたかい」当日の演奏用機材を積んで、僕が自転車に乗りながら咲の曲をウォークマンで聴いた、あの河川敷で炎天下、練習することとなった。当日はあくまでもBARがメインなので、イベント広場のせり出しステージは使わず、BARのテーブルが並ぶ横で、小型の機材を使って、比較的小さい音量で演奏する。一番大変そうなのが、武藤だ。いつも使っているドラムセットよりも小ぶりのものを使わざるを得ない。慣れる必要がある。屋外での演奏は、屋根付きとはいえ、屋外のイベントスペースとできるだけ同じ環境で練習することが河川敷練習の理由の一つ。もう一つは、中学の時から部活に属していなかった僕たちに、河川敷で演奏する、という、青春ぽいことをさせてやろうというマスターの不思議な親心。それから、昼間の炎天下でやるのは、夜はライブハウスの仕事も入るので、マスターが僕たちの練習に付き合えないからだ。




