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私の日常の非日常  作者: タフ
9/14

帰り道

えーと、今日は何を話そうか。



つい最近、ほんの数日前に起きたことでも話そうと思う。




帰り道。

それは一日が終わり、家へ帰るために道を歩く、誰にでも当たり前に訪れる瞬間だと思う。


私にとってもそれは同じで、しかし人とは違うことが起きるときも多々あった。



まだ実家に居た頃は、通ってはいけない道、通るときは見ては駄目な場所、声をかけられても振り返ってはいけない所など、色々と気を付けなければならない事も多かったのを覚えている。



地元を離れて早十年近く。

今住んでいる街にも大分慣れてきていると思う。


職場から家までは徒歩で行ける距離だ。

その途中にある神社はわりと気に入っているし、商店街の人達との交流も増えてきた。

帰りがけに焼鳥やコロッケなどを買って帰ったり、リサイクルショップを覗いてみたり、近くの飲み屋で軽く飲んでから帰ることもある。


この穏やかな街の雰囲気を私は気に入っている。


だからだろうか。

私は少し気が緩んでいたのかもしれない。






その日もいつもの帰り道。

今日は久しぶりに顔馴染みの店で飲んできて、私は少なからず酔っ払っていた。


夜は冷えるようになってきたこの季節。

吹く風が、酔って火照った体には気持ちよく、鼻唄混じりでのんびりと帰る。





そして「ソレ」を見てしまった。



住んでいるマンションの目の前、街灯の下に誰かが立っていた。

耳に手を当て、顔は下を向きながら少し揺れるように立っている。

少し遠くからそれが見えていた私は、誰かが電話でもしているのかと思っていた。


夜も遅い時間、少し不思議に思いながらもあまり気にはせずマンションに向かう。

そしてマンションに入る直前に、その人を横目で見た。



それが間違いだった。




「ソレ」がゆっくりと顔をあげる


「ソレ」には顔がなかった

顔があるべき場所には、深い闇があった

月の光も街灯の光も通さない完全な闇

それでも確実に私の方を見ているのが分かった


少し揺れるようにしていた体を、段々と強く揺すり始める

顔は分からないが、女の笑い声が静かに聞こえてきた


クスクスクスクスと笑う声が聞こえてきた頃には、私の酔いはすっかり醒めていた





慌ててマンションの階段を駆け上がり部屋に入る。

開けっ放しだったカーテンを閉め、テレビをつけて音量を上げる。

寒気と心臓の鼓動がおさまるまでしばらく時間はかかったが、その後は何も起こらなかった。



久しぶりに見た「ソレ」は、やはり慣れるようなものではなかった……







ベランダに行くためのガラス戸にヒビが入ってるのを見つけたのは、次の日の朝だ。



不動産屋に連絡を入れて確認して貰ったが、外から強く押された様な壊れ方らしい。

強化ガラスだったため、割れて内側にガラスが落ちるような事にはなっていなかったのが幸いか。


また余計な出費が増えそうなのが困りものではあるが……







信じられない人には信じられないでしょう。

それでもこれが私の日常です。

強化ガラスって弁償だと結構高そうですよねぇ……

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