夏休み
こんばんは、お久しぶりです。
気づけば一ヶ月以上も空いてしまいました。
今日も楽しんでもらえれば幸いです。
どうぞ宜しくお願い致します。
えーと、今日は何を話そうか。
私がまだ実家に居たときの、夏休みの出来事でも話そうと思う。
当時私は小学一年生。
その頃の私は、夏休みになるといつも祖父母の家に預けられていた。
祖父の病気の関係もあり、中学校に上がる頃には一緒に住み始めた祖父母だが、当時は地元から船で一時間程の距離にある離島に住んでいた。
私は夏休みが始まるとすぐに、姉と共に祖父母の家へ向かうことになった。
そこは人口も少なくコンビニも無いような田舎だったが、毎年そこに行くのが楽しみだったのを覚えている。
港に着くと、叔父が迎えに来てくれていた。
叔父の車に乗り込み移動を始める。
目的地はもちろん、祖父母の家だ。
到着したのは、昔ながらの平屋の一軒家。
お風呂は外にあり、トイレは裏庭の隅にあるポットン便所。
その裏庭では祖母が家庭菜園をしていて、様々な野菜が細やかながら育っている。
夜は街灯も少ない場所だが、月明かりで仄かに明るく虫の鳴き声が響いてくる。
それが私の好きな祖父母の家だ。
出迎えてくれた祖母に連れられ家へ入る。
まずは仏壇へ線香をあげ、手を合わせる。
ご先祖様へ今年も来ました、そしてしばらくお世話になりますとご挨拶。
漂ってくる線香の香りにまたここに来れたなぁと少し嬉しくなる。
居間では祖父がお茶を飲みながらゆっくりと時間を過ごしている。
そんなのんびりとした田舎の風景。
さーて、楽しい夏休みの始まりだ。
ここにはお年寄りが殆どの田舎だが、私や姉と同じくらいの歳の子どもも暮らしている。
毎年夏休みになるとやってくる私たち兄弟を待ってくれている友達もいる。
その友達と遊ぶのが毎年の楽しみだ。
遊ぶと言っても特に何があるというわけでもない。
それでも子供はどこでも遊べるものだ。
近くの海に行き砂で山を作り浅瀬で泳ぎ、地域に一つしかない学校に行き古びた遊具で遊ぶ。
校庭で鬼ごっこやドッジボールをし、校舎全体を使ってのかくれんぼ。
暗くなったら大人が買ってくれた花火を持って皆で花火をする。
そうやって毎日楽しく過ごしていた。
その日はここへ来て二週間くらいたった頃だったろうか。
昼食を食べ、すぐに友達の家に遊びに行く。
姉はこれから友達が家に来るとの事で別行動だ。
友達の家に着くと待ちきれなかったようで、すでに外で待っていた。
近所を二人でぶらぶらと歩く。
途中ですれ違うおばあさんに挨拶をし、良い子ね~と言われお菓子を貰う。
貰ったお菓子を食べながらまたぶらぶらと歩き回る。
何をするわけではないが、それがまた楽しい。
そうしている内に、少しずつ日が傾いてきた。
夕方になる少し前に友達と別れることになった。
家に帰って姉達にでも混ぜてもらおうか、等と考えながらのんびり帰ることにする。
家に着くと、祖父母はどこかに出掛けているようだった。
姉達を探すと、いつもは開けっぱなしの奥の部屋の扉が閉まっている。
不思議に思いその扉を開けると、薄暗い部屋で姉達が何かをしている。
見ると雨戸を閉めて暗くしているようだった。
私が声をかけると、姉に部屋に入ってくるなと怒られてしまう。
何をしているか聞いても教えてくれない。
つまらないなと思いながら家の外に出る。
暇なので裏庭の方へ行き、何となく姉達がいる部屋の方を眺めていた。
まだ明るい時間なのに雨戸を閉めて何をしているのか。
よく分からないが、何となく姉達が怖く思えた。
そうやってしばらく裏庭で暇を潰していると、急に音が消えた気がした。
何の音も聞こえてこない。
さっきまで吹いていた風が止み、辺りがシンと静まり返った。
何かがおかしいと思った瞬間
ドンッ
と物凄い音がした。
驚いた私が音のした方に目を向けてみると
「ソレ」がそこにいた
真っ黒な、人の形をした何かが、姉達がいる部屋の雨戸を激しく叩いている
それが一つではなく
周りから少しずつ集まってきていた
一つ、二つと影が集まってくる
そして雨戸を壊す程の勢いでドン、ドン、と叩き続けている
「ソレ」に顔はない
日の光が当たっているはずのその体も、何かで覆われているように真っ黒で
うねるようにグネグネと動いている
そして何度も何度も何度も何度も、雨戸を叩き続けていた
どれくらいの時間がたっただろうか。
帰ってきた祖母が異変に気づき、雨戸を勢いよく内側から開ける。
その瞬間に「ソレ」は煙の様に消えてなくなってしまった。
恐怖で泣き叫ぶ姉達と呆然としていた私を、祖母が抱き締めながら落ち着かせてくれた。
誰にも怪我はなく、異常もないのが救いだった。
その後、普段怒ることの無い祖母が姉達に激怒している所を、少し怯えながら見ていたのを覚えている。
姉が高校を卒業し実家を出る少し前に、あの時の事を聞いてみた。
あの直後にも聞いてはみたのだが、祖母から口止めをされていたようで教えてもらえなかったのだ。
あの時姉達がやっていた何か。
それはいわゆる「こっくりさん」に似たようなものだった。
その当時、あの島で静かに流行っていたもののようだ。
やり方はもう忘れてしまったようだが、島の友達に教えてもらい、やってみようという事になったらしい。
後日その事を祖母に聞いてみたところ、祖母が子供の頃からその遊びはあったそうだ。
誰が始めたのか、どこからそれが来たのかは当時から分かっていないらしい。
ただ、祖母の友達がそれを行い、その内の一人がある日居なくなってしまったとか。
狭い島だがその友達は見つからず、今となっても原因は分かっていない。
だがそれ以来、その遊びは島から禁止されていたらしい。
姉はそれを誰から聞いたのか覚えていなかった。
同じ歳くらいの誰かから聞いたのは覚えているが、それが誰かは思い出そうとしても思い出せないようだった。
今でもあの時の黒い何かを視ることがある。
だが祖母からの忠告を聞き、私は絶対に「ソレ」には近づかないようにしている。
それが祖母との約束なのだから。
信じられない人には信じられないでしょう。
それでもこれが私の日常です。




