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私の日常の非日常  作者: タフ
7/14

宿泊施設③

以前に書いたとある宿泊施設の続きです。

楽しんでもらえれば幸いです。

よろしくお願いします。

えーと、今日は何を話そうか。



以前にも話した、宿泊施設の話でもしようかと思う。






当時の私は中学3年生。

中学に入学してすぐにとある部活に入っていた。


その部活は「吹奏楽マーチングバンド部」だ。


吹奏楽部なら分かると思うが、マーチングバンドというと馴染みの無い方も多いかもしれない。


吹奏楽で使う金管楽器や木管楽器、打楽器であるスネアドラムやバスドラムで演奏をしつつ、全員で動き回り様々な形を作っていくという競技である。


パレード等で演奏しながら歩いているのを見たことがあると思うが、あれを体育館等の室内でやるのである。


もちろん文科系の部活になるのだが、そのキツさは想像を遥かに越えるものとなる。


演奏をしながら、小走りに近いような速さで歩き回るのだ。

部活は柔軟運動、筋力トレーニング、体力作りのための校外ランニング、そして全員での動き合わせ等の厳しい練習がある。

しかし、それを乗り越えての総勢数十名で作り出す様々なフォーメーションは、見るものを魅了し、その迫力のある演奏は人々を興奮させる。


それがマーチングバンドだ。





私の中学は毎年全国大会に行くほどのレベルで、地元では有名だ。

しかし他の部活でも使う体育館を占領するわけにもいかず、時には運動場を使い練習することもあった。


それでも夏休みともなると部活動も盛んになる。

学校の敷地内では練習もままならず、そういう時にはある場所を借りることになっているのだ。



それが、あの宿泊施設である。




そこは様々な団体が利用することもあり、体育館も存在する。

夏休みの数日を使い、私たちは合宿をすることになった。







正直に言って、気は進まなかった。

何せ、以前に来たときには恐ろしい体験をしている。

だが私一人が意見できるわけもなく、再びこの場所に来ることとなった。







「ソレ」を見たのは、練習が始まって数時間後の事だ。


休憩時間になり、疲れた体を休める為に座り込んで何となく外に目を向けた。


そこに居たのは、スーツ姿の男だ。

真夏の暑い日差しを浴びているにも関わらず、上着を脱ぐこともなく窓からこちらを覗いている。

感情が抜け落ちたかの様な無表情な顔で、こちらをじっと見つめる男。


やっぱりここはおかしい。

それでもまだ辺りが明るいおかげか、不思議とそこまで恐いという感情はない。

しかし不気味であるのに変わりはなく、私は「ソレ」を視界の外に追いやり見ないようにする。


気づけば「ソレ」は居なくなっていた。









練習が終わり、用意してもらった食堂で食事を済ませる。

男女ごとに部屋に別れ、大浴場で汗を流した。

そうすれば後は自由時間だ。

寝るまでの僅かな時間を使い、各自のんびりと過ごす。

男子部員人数が少ないため一つの部屋だ。

皆で集まり、練習での事やくだらない話で盛り上がった。











起こされたのは、皆が寝静まった深夜の事だった。

当時私たちを指導してくれていたコーチが、慌てた様子で部屋に飛び込んできた。

コーチは私を急いで起こし部屋から外に連れていった。




お前確か視えるんだよな!?

今すぐに来てほしい!A子が変なんだ!助けられないか!?


私はコーチに連れられて急いで女子の部屋の方へ向かった。











ひどい状態だった

A子はまるで男の様な声で唸るように叫び

狂った様に暴れるのを、男性の顧問とコーチの二人ががりで何とか抑えられていた



彼女は私を見るなり恐ろしい顔で睨んでくる


これは少し不味い



私は騒ぎを聞いて駆けつけて来た施設管理の男性に、急いで粗塩を持ってきてもらうように頼んだ。

きっと今までにも同じような事があったのだろう。

彼は状況を見て察してくれたのか、理由も聞かずに急いで走って行ってくれた。






持ってきてもらった粗塩を手に取りA子に近づく

それを見た彼女はこれまで以上に暴れるが、二人が何とか抑えてくれている

それを見ながらゆっくりと近づくと、突然彼女が話しかけてきた




ねぇそれが怖いの

それを持ってこないで

お願い、お願いだからそんなことしないで

ねぇやめてよ

私何も悪いことしてないよ

怖いよやめてよ近寄らないでよ


こっちに来ないでよぉおおおおお!!!!!



A子の声でそう言ってくる声を無視して粗塩を投げかける

それに触れた彼女は




痛い 痛いよぉ

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い




そう言いながら少しずつ静かになっていった






それから私は少し離れた場所に行く

そしてそこに居た「ソレ」に向かって話しかける


この子にはもう近づかないでほしい

何があったのかは分からないけどもう止めてほしい

お願いだからここから離れてほしい


そう話しかけた






しばらく私を睨み付けていた「ソレ」は、静かに消えていった


A子はもう大人しくなり今は寝息をたてている





どうにか治める事が出来たようだ

色々教えてくれた祖母に感謝しよう

帰ったらちゃんとお礼を言わないとな












落ち着いたA子と話したのは次の日の事だ。

彼女は昔から何かを感じたり視たりすることがあったようだ。

昼間、体育館の窓からこちらを見ていた「ソレ」にも気づいていたらしい。

きっとその時に目をつけられたのだろう。



その後、A子はの元にあの時の「ソレ」は現れていないらしい。











信じられない人には信じられないでしょう。

それでもこれが私の日常です。

この時間(4時~)に書いていると不気味ですねぇ

なんか部屋がパキッと鳴ってビビりました。

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