第6話
俺以外の戦える全員が突っ伏していた。ユウキ、オーンスタイン、ウェイト、アレスのおっさんにミネルヴァが倒れている。ユウキにはアナが、オーンスタインには踊り子が介抱に回り、ウェイトは剣を杖に立ち上がろうと震えていた。アレスのおっさんはなんとか自力で立ち上がろうとミネルヴァは立ち上がれず突っ伏したままだった。
「ほう……我が力の奔流を受けてもダメージも一切受け付けず、立ち上がっている者は初めてだ。今までは此奴らに合わせて戦っていたのか」
魔王は俺を見据えてただ笑う。高らかに笑い、突っ伏している者たちをあざ笑っているのだ。怒りが込み上げてくる。突っ伏しているとはいえ、俺にとっては初めてできた仲間だった。だからこそ怒りが込み上げてくるのだろう。アレスのおっさん、ミネルヴァを笑っている。何より伝説の三傑に恥じない戦いを見せた勇者と英雄と騎士を笑っているのだ。
許すことはできない。俺はアナに伝えた。
「アナ、今すぐここにいる俺以外全員を城外へ避難させろ」
「アトラスさん! それは出来ません! あなた一人では魔王には!」
悲痛な叫びでアナは俺にも城外へ避難させようと、今は立て直して再度戦うことがベストであると言っている。しかし、そんなことはどうでもいいんだ。俺がいなくても立て直すことはできる。
それ以上に俺は……この魔王とサシで勝負がしたくなった!
「アナ、頼んだぞ」
俺が一歩進んだ瞬間、俺と魔王の間に割り込ませないように俺の後ろに物理障壁が張られた。アナが力いっぱいに声を出して、叩いた手から血を出すほどに物理障壁を叩いていた。その姿を俺は目に焼き付けて、魔王を見据える。ただひたすら見据えるだけで、数分。物理障壁の叩く音がこだましていた。
もう聞こえなくなった時、振り向けば、俺以外の戦っていた者たちはいなくなっていた。
「ふむ……お主、あの三傑以上の傑物と見るぞ? 特殊な生まれでも育ちでもない。いや、その銃と刀が全てを物語っていよう」
「カタナ? これは剣じゃないのか?」
右手で持っていた剣を見せながら、魔王に問う。今まではこれは珍しい剣であると言われて、我流でやっていたが、剣に名称があったとは。
「昔、刀を使う英雄もいた。そうだのう……350年ぶりの刀身じゃ」
「350年……帝国で作られてそうだな」
「そう言うな。これは特殊な技法。帝国の自動工場では無茶な武器じゃな……さて、世間話もここまでじゃ始めようではないか……700年ぶりの闘争だ」
魔王は俺に向かって獰猛な笑みを浮かべて、俺はその獰猛な笑みにつられたのかわからないが、俺も口元のニヤケが止まらなかった。
「後悔しないように戦おうや。魔王」
「抜かせ、戦士! 我を楽しませてみよ!」
魔王は正直強キャラです。




