第5話
勇者から魔王討伐の旅に加わった俺は、紆余曲折を経て魔王討伐の最終段階まで来ていた。帝国の英雄 オーンスタイン、皇国の騎士 ウェイト、王国の勇者 ユウキ・ミナト。3つのパーティーが揃っていた。アナちゃんは前線で補助をしつつ、俺は後ろで雑魚を倒していた。
ここまでで勇者 ユウキについてよくわかった。彼は正義感の塊であり、魔王を倒すことで満たされる正義感があり、それによって世界が救われると本気で思っている。俺個人としては世界は救われない。世界は破滅に向かう一方だ。そんな魔王討伐後の話を考えずに彼は戦っている。それは素晴らしいことである。王国民にとってはだが。
そして、彼が異世界転移によってやってきた召喚勇者であることも分かった。異世界では高校生という職のような身分を身につけていたようだ。若くしてしっかりと勉強しているようだが、まだ世界の汚さを見ていない。それらからまるで守るかのように戦士 アレスと弓兵 ミネルヴァがいる。俺はその姿を見ては、不快感を露わにするようになってはいたが、アレスとミネルヴァ、アナちゃんによってなんとか勇者一団としてやっていけていた。
魔王城に入るなり、俺は完全な後衛で銃をチューンナップし直した。遠距離も撃てるように弾薬も変えた。隊列がおかしくなるかと思ったが、アレスやミネルヴァがしっかりそれに合わせて動いてくれた。そのことを二人に伝えると、笑顔で気にするなと言う始末。なんとなく心苦しい部分も出てきた。
そして、三傑が玉座の扉の前に集まった。オーンスタインは踊り子に補助を頼み、騎士は盾を行うと言い、勇者は全体の補助と攻撃をうまくやることを伝えていた。
「俺は勇者と共に前線に出る。アトラスとミネルヴァはいつも通り後衛を、アナは全体を見ながら補助に務めてくれ。最後の戦いだ。生きて帰るぞ!」
アレスのおっさんの言葉に胸を打ちつつ、俺は頷き、左のホルスターから銃を取り出し、バックパックにある弾薬の数を確認する。しかし、後衛に回ったことで弾薬が少なっていた。これでは心許なさ過ぎていた。
「ミネルヴァ、アレス。弾薬が心許ない。弾が尽きたら、前線に出る。アナ、俺が前線に出た時は補助の必要はない。」
「アトラスさん、それではあなたが……!」
アレスのおっさんがアナちゃんの言葉を制止し、頷いた。それには安心できた。ここで俺は死んでも後悔はあまりなかった。名誉な戦死で済むと思っていた。アナちゃんの悲しい顔を見た瞬間、少し胸が痛んだ。でもそれは気のせいだと俺は思った。
「よく来たな。伝説の三傑よ。我を追い詰めた700年前が昨日のように思えてきたわ」
玉座に座った禍々しい気を放ち、体長が3m近くある体躯で強者が放つ圧力に押しつぶされそうになっていた。これが魔王かと感じ、俺は気を引き締める。
「魔王、貴様はここで終わりだ。世界平和のために……ここで討つ!!」
勇者、英雄、騎士が魔王に向かって駆けた。
次回魔王戦突入




