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五.山中にて
雪のしんしんと降り積もる山中。
春が来るのをいまかいまかと待ち構える、静寂の中。
雪を踏みしめる音だけが聞こえます。
冬忍者頭領だった男が、一人血を流しながら逃げます。
年齢か、怪我か、足取りはひたすらに重いようです。
足跡は一つ。
どうやら追手は来ていないと一息ついたところで、頭領に声をかけるものがいます。
「本物の忍者は、雪に足跡なんてつけないものだ」
見上げるほど高い木の枝の上に、春飛サスケはいました。
「追って来たか」
頭領は、歩くのを止めました。
サスケが告げます。
「もうすぐ、春が来る。冬の終わりだ」
頭領だった男が眼を細めました。
「ああ、冬忍も終わりだな。全部、終わりだ」
「春が来たら、夏が来て、秋が来て、また冬が来る。終わりはしないよ」
「さあ、とどめを刺せ。ワシは、最後に忍術勝負ができて満足だ。強い者が弱い者を倒す。それが忍者というものだ」
サスケは鼻で笑います。
「はん、誰がお前みたいな弱虫をいじめてなんぞやるものかい。女王様や姫様を苦しめた報いだ。一人で終われ、お前はそこで無惨に逝ね」
言葉の刃で斬りつけて、サスケは音もなく消えてしまいました。




