第七話 完成に向けて
予定日程を越してしまい大変申し訳ありませんでした。
前回ガレクの元弟子であるウォークを仲間に引き入れるために動いていた少年は無事に引き込むことに成功した。ガレクとウォークの溝も解消したため研究開発も無事進むように見えたが大きな壁があったのであった。
**パスカリーヌ**:世界で初めて作られた計算機であり、実際に存在していたものである
ガレクの元弟子が参加したことで、魔道旋盤を動かすことができるようになった少年は、開発を本格化しようとしていた。
しかしながら、冷やし嵌めをする際に、固着を起こしたり、隙間がありすぎたりと手紙を読んだ後でもなかなか上手くいかないのであった。
「ガレクさん今まで試しに十点以上を作ってきましたが、なかなか上手くいってないと思うんです。少しこもって計算をじっくりやってみてもいいでしょうか。」
ガレクは少年が聞いてきたのが不思議そうな顔をしている。そんな顔を見るのは初めてで、少年自身も少し驚いた。
「何言ってんだ?これはお前さんの開発だ俺はそれを手伝ってるにすぎねぇ。お前さんがもっと集中して計算できるならそれに越したことはないだろ。俺もよくやるしなだから別に断る必要なんてねーよ」
その言葉を聞いた少年はいえに戻る準備をしていたがその顔には緊張感があった。
(戻るのを認めてもらったのはいいけど、この計算後に失敗はあまりしたくない。なら、やはり性格な計算をするために計算機が欲しい。)
そんなことを考えながら少年は帰路についた。
「あんた最近あんまみてないけどどこいってるの?」
その声は後ろから聞こえた。しかし、少年はその声に重い当たりがあった。
「やっぱり姉さんでしたか。あなたには関係ないでしょ。」
少年は後ろに振り向き、睨むように姉を見ていたそれを見て姉は一気に不機嫌になり少年を睨みつけた
「何よその目関係ないっていうけどね、あんた街の中での評判知ってるの。あんたのせいでうちがどれだけ評判落ちてるのか知ってるのって聞いてんのよ」
姉は怒気の混じった荒げた声で話していた。それは少年への苛立ちの現れであった。
「そんなのは僕に関係ありません。周りの人は「この家に生まれたなら」としか言いませんが、私には私の人生があります。後継がいないなら姉様が婿を取って当主を別で用意すればいいじゃないですか。私には私でやりたいことがあるんだ。姉さんに縛られる理由はない」
少年もまた怒気が混じった声で話していたが、どこか悲しみすらも感じた。
「あんたはそう考えるかもしれないけど、見ず知らずの人間を当主にするのがどれだけ危険かわかってないの。確かに私が好きになった人なら預けられる。だけどねこのご時世で恋愛結婚なんて無理なのよ、特に商人の娘なんて選べる側ではなくて選ばれる側なの。こっちが選べない以上どんな人間であっても当主っとして迎えることになる。そんなことにならないようにあなたについで欲しいの。」
その言葉は少年にとっても重い言葉であった。
(確かに見ず知らずの人間が当主になるのはあまりにも危険すぎる。いくら娘婿だとしても父との血縁もなく父様の話したことを素直に聞くとは考えられない。だとしたらということか…)
少年はそう考えながらも現在の夢を捨てるつもりはなかった。これは自分が前世から叶えられなかった夢を叶えられるラストチャンスかもしれない。もしここで死んだら転生は二度とできないかもしれない少年はそんな考えを持っており姉の考えを素直に飲み込むことはできなかった。
「姉さんの考えは至極真っ当だと思います。しかしながら、今回の研究開発は一長一短で作れるものでもないですが、しかしながら今後必ずこの世界を変えるものとなると考えています。この気を逃せばそれこそうちの家の損失となりかねません。」
そう少年は話しながらも姉の話しが頭に残り、少し妥協するべきだと考えた。
「しかし先ほども話した通り、姉さんの考えは正しいです。もし今回の研究開発が父様に認められなかったら、もしくは私個人が納得いくようなものを作れなければ早々に諦めて後継として正しい行動をすることを約束します。これでどうでしょうか」
その言葉を聞いて姉は少し納得した様子を見せた。
「わかったわならそれでいいわ、しかしながらやるなら絶対妥協せず成功させなさい。この家に泥を塗る真似をすることは決して許さないから。」
姉は少年に向けて確固たる態度を見せたのち、自分の部屋に向けツカツカと帰っていった。少年は姉からの言葉と姉の思いを聞き、絶対に成功させるとまた火を燃やし始めた。
少年はその心を燃やしたまま部屋に入り計算を始め三日三晩寝ずに計算をしながらも、計算ミスを徹底的に探し出しミスがないようにした。
「ようやく終わったこれなら成功するかもしれない。」
その言葉と同時に少年は工房へと走り出した。
「ガレクさんウォークさんついに計算が終わりました。早速作ってみましょう」
その言葉と同時に、ガレクとウォークの二人は頷きながら急いで準備を始め、作り始めた。
数時間後
「できたぞ」その言葉と同時にガレクは少年にピストンとシリンダーブロックを手渡した。
「じゃあ早速行きますよ」その言葉と同時に、少年は冷やし嵌めを行、温度が上がり、通常温度になった時に動かした。
「これは…成功です固着はせず、隙間も予定よりは大きいですがこれなら動くはずです」
ガレクとウォークはガッツポーズをしていたが、少年は少し泣きそうになっていた。研究開発においては小さな一歩に見えるが少年たちにとっては大きな飛躍であったからである。
「ようやく上手くいったな」ガレクはそう話しながら「ガハハ」と笑った。
その言葉と同時にウォークが話し始めた。
「これで終わりではないんですよね。これの動きをタイヤまで伝えないと動かないんですからなんとか形にしないと。」
その言葉を聞き、ガレクと少年はさらにやる気を出した。
(次は空燃比を考えながら、燃焼度合いを計算する必要性がある。しかしこの作業には精密な計算がいる。この部分は昔車いじりをしていた時にある程度の比率の考え方は学んだが、理論上の数値だけじゃ動かした時に失敗する可能性があるから、慎重にいかなくてはいけない。こんな計算をするにはやはり、計算機が必要だな)
そう考えた少年は計算機を探し出した。
そんなおり、少年はある噂を耳にする。ある学者が計算機を完成させたという噂だった。
その学者はフィジーのいる研究機関の人間だということを知った少年は早速フィジーを頼り計算機の仕組みと使用をしようとしたが、フィジーから断られたむねの連絡が来た。
(やはり計算機は一長一短で手にはいるものではないか。ならばそろばんを使って直接計算するほかないかもしれない。)
そう考えながら少年は諦めずに計算機を探していた。中世の世界にコンピュータなど存在しないと考えそろばんや、パスカリーヌのような計算機を探していた少年にあるものが目に入った。
「魔道計算機」この世界において魔法というものは前世の人間が想像するようなものではなく、旋盤などを動かすような技術面のサポート用に使われていた。しかしながら、魔道旋盤がそうだった通り魔道計算機はとても高価である。そのため学者はパスカリーヌのような計算機を作ったのであった。詰まるところ少年にとって学者の計算機は必要なものではなく本来彼が使うべきは魔道計算機なのであった。
(これさえあれば緻密な計算もできるかもしれない。しかしながら、魔道旋盤を買ってもらったばっかで父上は了承してくれるであろうか。もし拒否されたら本格的に学者が作ったと言う計算機の量産を待ち、量産開始後に使うしかないかもしれない。)
そう考えた少年は早速急いで父親の元へと向かい交渉をするのであった。
今回も見ていただきありがとうございました。
前書きでも書きましたが、投稿予定が1日ずれてしまい大変申し訳ありませんでした。今後はこのようなことが起こらないように前もって何話か書くようにすることにしました。
これからもこの作品を応援し続けていただければ幸いです。
さて、次回の投稿ですが、2026年5月26日火曜日12時丁度に投稿要諦ですのでぜひお楽しみに




