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子連れ竜生録  作者: こるり
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~三十五里霧中~   日常風景

ちょいと体調不良で更新がおいてしまいました。なんとか復帰、ですわ。


「おーい、今度はそのやさいをもってってくれ。場所はわかるな」

「はい、わかりまーす」


 市場での大きな声のやりとりはここでの風物詩とも言える。

 ここで働き始めてそう思い、今に至るわけである。

 文字を覚えて、昔話を教えてもらってからなんのかんのとあっという間に二月の時が立った。

 

 そうそう、この世界は時間の感覚というのが12でわかれていて年が12回ればもうひと月だけ13の月が回ってくるとのこと。

 年も西暦とかの年はなくて聖暦だとのこと。

 なんでも偉大な王様がいて、そこから拝借したとかなんとか。

 前世での聖人みたいなものかね。

 で、あと、非常にありがたかったのは月の名前が前の十二支にちなんでいるところ。

 なのでとても覚えやすかった。

 ちなみに今は焔猪の月だとのこと。

 そうして来月になったら種火鼠の月だそうな。

 ちなみに、それ以降の月は、


 岩土牛の月

 牙虎の月

 泥兎の月

 水竜の月

 双子蛇の月

 草馬の月

 黒白羊の月

 長指猿の月

 風鳥の月

 白舞犬の月


 そして、焔猪の月と来るわけである。

 春夏秋冬あるようで、そのあたりは緯度の関係かなんのか、とにかく暑さ寒さは日本と気候が酷似している。だけども、それにもまして先月の白舞犬の月についてはほんとうに霧が濃いものでなんにも見えなくなっていたことには驚いたわ。

 四囲は山に囲われているわけだし、いくつか水脈や川も流れていることからたうんそのせいで霧が季節柄たちこめやすくなっているんだろうなぁ。

 

 まぁ、今でもそういうときがぽちぽちとあるけども。

 でも、そういう日ってあとあとで必ず快晴になるからお昼からは気持ちがいいものね。

 この辺は以前住んでたところと酷似してるし目安にするにはわかりやすい。

 そういえば、初めて亀岡に来た時、その霧を見てびっくりしたっけ。

 丹後地方って盆地っぽいし、日本海からの空気とかあと川からのもの、あと寒暖の差とか諸々の影響からで霧がとっても発生しやすい季節があって、それがちょうど秋から冬にかけてのさむーいとき。

 その頃の快晴の日って大概朝方から下手すれば昼辺りまで真っ白になるのよねぇ、お外が。

 

 ともあれ、今はまだまだ寒い時期。

 取れる野菜も冬物が多い。

 まぁ、見たことない野菜もちらほらあるけど根菜類が多いのは安堵するわ。

 知ってるものがあるだけでも安心する。

 以前に農業村のほうで体験で働いていた時に規格外ということで小さいのを一つ、試しにかじってみたことがあるけども、けっこう味も似てるものだったわ。

 ただ、若干味が薄いのはおしいけども。

 


 堆肥でも考えようかしら?


 

 基本的に肥料とするのは家畜の糞や灰などだし。

 まぁ、前に田舎で畑やってた時に祖父から教わったやり方だけどもね。

 戦時中に農家やってて銀シャリよく食べてたと笑顔で話してくれていたのが懐かしいなぁ。

 

 まぁ、そういう体験現場での作業とかに思いをはせながら、作業に戻る。

 現在では立ち直った市場のところで専ら運搬作業の傍ら経理と接客応対に追われているところである。

 レジというものがここにはないながらも貨幣経済というものなので暗算ができる自分はけっこう重宝がられていた。

 そもそも、紙か何か、書くものがあれば計算できるわけだけども、そもそもこの世界の識字率とか計算などの数理などはあまり浸透していないようである。

 そういうのは貴族や一部職業のもののみが使う代物なのだとか。

 ルネのところに書物などがあり、けっこう昔話などもあったからてっきり識字率は高い方なのかなとも思っていたが、そういう類は口伝など読み聞かせなどで、その読む対象もそれ特有の職業にあるもののみなのだとか。

 森林官であるルネがそれらを所持していたのは単に知識欲とたまに子どもたちに読み聞かせしてあげるときに使っていたものだとか。

 

 そういうわけで、あの昔話などそういう書物などで文字を覚えてからというもの、そういう職につく形に現在なったわけである。

 

 ちょっと予想が違ったけどもそれでも自分に出来る範囲で何かが行えるのは嬉しい限りである。

 また、角人種というのは傭兵をやっている人が多いので、ここでは自分以外には見かけたことはないが、力が強いというのが定説であるとか。

 実際にまぁ、膂力はあるにはあるが人並みよりもちょっとあるかってところであるのだが、それでも人一倍働けることだし、なんか運搬のほうの上役から


「なかなか熱心に働いてくれてるな」


 と、喜んでくれてた。

 過去に自分たちの種以外の人を働かせたことのある人で経験豊富なだけに比較も多いようでそこからほめてくれるのは嬉しい限りである。

 また、二ヶ月弱経った今では運搬作業の傍ら、いろいろと雑談を重ねていくうちにいろいろとここのルールとかあと、世間一般を教えてくれたりしてうれしいものだった。

 そもそもあまりこの世界の世間を知らなかった自分なだけにそういう知識はまたありがたかったりするものだった。

 そうそう、ここの上役は他にも部所ごとに何人かいて、そのうちの一人がミルエラさんだったりもする。

 というよりも統括に近いところにいるようで、人事なのかな、この経理についても推薦してくれてここに配属されたわけである。

 

 初めのときに「全部回る」と公言して実際に全てを回ってきただけに、ある意味、ここにいさせてもらっているのは厚遇に近いもののようだ。


 普通そういうのはいきがって言うものが多く、基本的に体力的にありあまっているだろうと鉱夫のほうへとまわされるのだとあとから聞いた。

 なんか対処法というものなのだろうな。


 で、それがこうして運搬もこみとはいえ、経理作業に携わらせてもらっているのはひとえに読み書きができることも大きいがミルエラさんの推薦あってのものも大きいのだろう。



 ん、持つべきものは友人かなとね。


 そうそ、あれから基本的にミルエラさんが改めて正式な自分の担当になったようで何くれと助けてくれている。

 それからか話す機会も増えて今では自分の中では友人ポジションにいるので何かと話しやすい人になっていた。


 たまに意味不明な笑みを浮かべてこっちをみることがあるけども、でもまぁ、そのあとには顔を赤くさせつつ軽口言って仕事についてきいてくる。

 ま、あんなことがあった手前、あのときのことを思い出して、若干テンションが変になっていることもあるかもしれないけども、まぁ、それでも楽しげに話してくれるのはいいことである。


 仕事をしてからフィラさんがルネの家にてヒィロちゃんを見ることが定着していて、専ら保育園いらずとなっている。

 事情をしっている人だから預けていても安心するし、ヒィロちゃんも始めの頃こそ、自分が長時間いなくなることに不安とかもあったようだけども今ではすっかり慣れてフィラさんと仲良さげに遊んでいるようである。

 フィラさん自身、赤ちゃんに手をやくことはないか、お年的にどうなんだろうと心配していた面もあるのだが、家事のときにも思ったが、けっこう年に似合わずパワフルである。

 何げにここらの若者よりも元気なんじゃないのかとも思えるくらいに元気である。

 ご飯についても、自分の素体を切り離せることも気づいて、それを素材にフィラさんが離乳食的なものを作ってヒィロちゃんにあげていた。

 そもそも、つかみ食べとかもできていたものだし、休日の時に一緒に食事の席についてパンやらおやきやらをぱくぱくと器用に食べていた姿には微笑ましく、また成長していく姿に喜びを噛み締めていた。


 

 そういうわけで、現状として、村も復興できてきていたし、生活もできてきたし、仕事も覚えられてきたこともあって、概ね順調な感じである。



 争いも今ではなりを潜めているようで、ルネから聞いた限りでは当分はないようである。

 ただ、一応は備えをしている必要あるそうだし、気は抜けないみたい。

 

 でも、それをのぞけば本当に平和なひと時である。



 そんな日常を自分はここで過ごしていた。

 

 

 

  

 

 そうして、そんなそろそろ年の瀬も控えたころ、大きなイベントが近いとミルエラさんがある日教えてくれた。


 準備もあるのでそれに向けての知らせではあるが恒例なのだそうだ。

 

 それは、王の巡行。

 

 この土地を通るという知らせであった。

さて、時間軸を勧めたし、とんとことまいります。

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