~三十二里霧中~ 拍子抜け
なんだか拍子抜けというところか。
いろいろな意味で。
こほん、とりあえず、外ですごい風の音が聞こえてミルエラさんも一緒にヒィロちゃんを抱っこして外へ出てみた。ちなみに護衛の二人は未だ昏倒していて起こす間はありませんでした。。
そしたら、扉の向こうで寸の間、すごい砂埃が舞っていたがそれも消えて静かな明け方の空のみが残っていた。
霧とかは一切なく、晴れた空である。
ミルエラさんはその空を見て、慌てた様子だったが、首を振り「そんなことはないはず」と小声でいってたけども、何をいっているのやらというところだし、細かくきいてる気にならないしなんのこっちゃってところだけど、今はとにかく、何があったのかルネのもとに行かないと。
索敵したら、不思議とルネの反応しか感じられないけども、なぜに?というところ。
で、拍子抜けというのも、下に行ったらルネしかいなくて難しい顔をして、こっちに気がついて、話してくれたが、どうも砂嵐に紛れていなくなってしまったとか。
こっちこそなんのこっちゃというところである。
さっきの男達にそういう異能があったのかとびっくりする。
そういう種族でもいるのかなって思ったが、ミルエラさんどころかルネも難しい顔をしてる。
不可解すぎているような感じ。
実際にルネにこれって不思議なことなのかとすっと横によってきいてみたが、こんな現象は見たことも聞いたこともないっていってた。
忍術みたいに煙幕をはって逃げたのかなと思ったがあんな傷付いた、しかも縛られていた状態で遠くに逃げられるのかな?
索敵も十全ではないにしろ、それでも集中して範囲を今のできる限りで飛ばしたが、彼らの存在ははっきり知覚できなかった。
だけど、索敵したおかげであたり一面に何かいるという気配は感じられなかったので、もう安全であることは間違いない。
むろん、自分の索敵が完全ではないのは先のことで確認したがそれでもシラミつぶしに四囲を確認すればいいだけのこと。
なんていうかコンパスで円を描くような感じで周囲を確認するように思い描いた。
今までは漠然とした周囲でやっていたのがだめだったのかもしれないと考え直しての手法である。
時間は若干掛かるにせよ、それでもなれればすぐにできるようになる。
で、まぁ、そういうわけで、周りに敵がいないのを確認して改めて安全を確認してから、ほっと一息ついた。
ルネも周りに敵がいないようで、警戒心をとき、そこからミルエラさんももうだいじょうぶと思ったか、はぁ、とだけいってその場に座り込んだりはしなかったが、膝に手をおいて頭をさげて緊張感をといていた。
まぁ、そりゃそうだね。
唐突な襲撃とかあれば、当然かもしれないしね。
「ミルエラさん。今日はもうこのままラスをつれて仕事へ行ってください」
へ?ルネ、何言ってるの?ってよくよく考えてみたら、ミルエラさんがきたのってそもそも仕事の斡旋のためだっけ?
「ラス、とりあえず、この場については、そろそろ、フィラ殿がこられると思うから少し相談したいことがあるからここに留守番していよう。それで、ヒィロは私が留守番をするわけだし、ここに預けていかないか?そのほうが動きやすいだろうからね」
そういって、ヒィロちゃんをすっと自分の腕から受け取るや自然な感じで抱っこした。
いやさ、なんか流れるような感じでつい渡してしまったけどもあれ?ってかんじである。
ただ、言っていることはその通りだし、それにこんな朝早いその前からきていたわけだからやはり早めの行動をしておいたほうがいいかもしれない。
そもそも、仕事というのは一日にできるのは時間という制約がある以上限られているわけだし、かくいう自分はとにかく種類が多いから余計に多いものだ。
なら、早め早めに対処するのが吉だな、うん。
「わかったよ。なら、ヒィロちゃんをお願いするね」
「ああ、任せてくれ。あと、護衛の二人だけども・・・・二人の様子を見るにまだ起きそうにないようだね」
え?わかるの?って、まぁ、ミルエラさんが不安げな顔をしたわけだし、そこからわかったわけだね。
「なら、起きたら私は私でいろいろと話したいこともあるからそのあとに自主的に避難所へ戻ってもらうことにしてもらうよ。だから、とりあえず、二人はこのまま仕事へいってらっしゃい」
ん、それならありがたい。
なら、道案内に関してはミルエラさんに任せて、仕事へと直行するとしましょう。
ミルエラさん自身、とくに持ってきているものはないとのことでそのままこの場を二人してあとにすることにした。
なんていうか、妙に拍子抜けする感じである。
まぁ、そのあとは特に何かが起こることもなく、避難所へと到着した。
道中はミルエラさんと二人きりであったので取り立ててお話することはあったかなぁと考えを巡らしたが、基本的に雑談のみといった感じであった。
とはいえ、このあとの仕事のことについてもそうだったが、それ以上にさっきの襲撃にて怪我の有無を尋ねたり、また、心当たりもそれとなくきいてみたが何も思い当たることはないそうである。
村長の娘ってことでも、理由としてはイマイチな気がするとのこと。
それならルネのところまでの間にさらえばいいだけのことだし・・・・・
謎なことだ。
ともかく今はよくわからないことばかりだが、ルネがわかるようにしてくれているところもあるはず。
待てば海路の日和有り
だっけかな?
自分がいくらじたばたしてもむしろ事態を悪化させる場合もあるし、この場合の面ではおとなしくしていよう。
あとは、ミルエラさんともそれなりに話が弾むようになったし、考えてみれば、避難所までの道中の会話でルネとも仲良くなったことだし、けっこうこの道中の会話は自分にはいいことなのやもしれない。
ただ、あまりこっちと顔を合わせてくれないのはあれだけど、会話自体は弾んでいるわけだからいっか。
で、それ以降・・・・・
これがまたびっくりするくらい拍子抜けしてしまうくらい、ミルエラさんの行っていた通りの展開で仕事が始まったわけである。
多少説明は省くが農業村へいって立て直しを行いつつ、今後の仕事の説明を受けて昼ごはん食べて、それからまた立て直しを行って夕方になって家路につく。
そんな感じであった。
朝のあれだけのどたばたがあったわりにはほんとうにあっけないものだった。
もちろん、はじめてということでちょっとしたハプニングめいたものはあった。
村の非番だったのかそういう男性女性(ちょっと女性比率は高めか?)が物珍しげにこちらを見に来たがにっこり挨拶して普通に仕事に戻って行ったら興味が失せたのかそのまま一人去り二人去りとそういうギャラリーはいなくなった。
まぁ、当然だろう。
別にアイドルってわけではないんだし、話するわけでなくあくまで仕事してるんだから見ていてもつまらないものだろう。
仕事に関しては可もなく不可もなくといったところか。
ものをあるところからあるところへ運んだり、木材を建てたり、その補助したり、昼食時の時に炊き出しの手伝いもしたり・・・・
災害復興時の仕事みたい。
ま、それが終わり、帰りのときになって、ミルエラさんが迎えに来てくれて一緒に避難所まで帰りましょうと言ってくれた。
一応、今後も仕事が終われば一旦避難所へと戻ってルネのところに帰ることになりそうである。
そういえば、争いについてはどうなったのか気になったが、もう完全に撤退してしまい、軍もそれぞれの領地へと引き上げきってしまったそうである。
ほんとうに壊すだけ壊して帰るってはた迷惑な・・・・
なんていうか何が目的なのかわからずにやってそうな気がしてならない。
ともあれ、愚痴っても仕方がない。
今後もあーいう争いがあるならあるで、せめてその争いがさっさと終わってくれることを祈りたいものである。
中東の戦争ももしかしたらこんな感じかもしれないなぁ。
あっちは宗教とかも絡んであるから余計にややこしいというか根が深いものだろうけどこっちはまだものだから単純か。
とりあえず、ミルエラさんと連れ立って避難所へとつき、そして、そこでさよならまたあしたと別れてルネの家へと帰ることとなった。
で、ルネの家について・・・・・
本当にここにきてこれだけ拍子抜けすることもあるものかと家に帰るまで索敵もしたり目視で警戒したりもしたのに何もないんだからため息付きたくなるけども、本来ならそれが普通なのかもしれない。
この世界に来てなんのかんのとあったわけで、非常にいろいろと過敏になりすぎているのかもしれない。
警戒はするに越したことはないが過敏になりすぎるとストレスで胃をやられることだろう。
あまり根を詰めすぎないように気をつけないとね。
ふと、妻のことを思い出したが、頭をふってぞくりとした不安を消し、ヒィロちゃんの顔を見るためにとルネの家へと足早に向かっていった。
ん、晩御飯には間に合うだろうけども、少しでも長くヒィロちゃんの顔を見ておきたいから早めに、ね。
諸事情によりいろいろ遅れちゃいました・・・・・事実は小説よりも奇なり、ですわ・・・・




