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子連れ竜生録  作者: こるり
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*ルネ視点*   予防措置をとるために


 「ふぅ、とりあえずいったか」


 階段を駆け上がっていったミルエラさんを横目に三人へと向き直った。

 どうにも不可解なことが多すぎる。

 この三人は当然見覚えがある。

 確か、ミルエラさんを追いかけていた三人組の男たちのはず。

 あのときは警告を発して、追い払ったはず。


 そのときに見た様子から雇われの傭兵が若干暴走して森に入ってきたといった様子であった。

 それは確か。


 そして、そのときの身のこなしなどみてもとても、ではないが普通の人の域をでないところだった。

 だが、矢を放ってきたこの男の木々を飛び移る力。

 それ以外でもこの二人の妙に雰囲気というかなんというか異質なものを感じる。

 ラスのように気配察知などできるわけはないのだがそれでなくても感じられる何かを彼らは発散させていた。


 それにこの三人、気絶しているように見えるがどうにもそのようには見えない。

 それこそ、死んでいるようにすら見える。

 

 しかし、それでもない。


 まるで、ネジをまいたおもちゃがその力を失い、動かなくなったようなそんな印象である。



 試しに弓のつるで矢を放った男の顔をつついてみた。

 しかし、なんの応答もない。


 

 正直、あれだけのことで気絶するようなものなのか疑問に思う。

 ラスの動きは確かに良かった。

 とどめを刺さずに無力化するのも無論よい。

 だけど、こんなすぐに気絶して身動きすらなくなるほどのものだったのか?

 少なくとも、ラスが上にきたときにはすでに彼らはこの状態だったのかもしれないが、実際に動けなくしたのかそれとも動かなくなったのかはわからない。

 どちらも無力化したことには違いないが、その差は大きい。



 もしかしたら、毒でも仕込んで自決したか?



 その思いに気がつき咄嗟にそばの男の喉に手をやろうとした。


 するとぐりんとありえないような首の動きでこちらをのぞきこんだ。

 というか、首が少しだが、ありえないが皮膚が伸びている。

 ぐにゃりとしてまるでほねそのものがないような動きだ。

 反射的に後ろに飛び退り、矢をつがえて身構えた。

 男はこちらを凝視したあと上を向いてまた、こちらをみてを繰り返し、にたりと笑った。





 「みぃつけた」




 しゃがれてはいるが男にしてはそぐわぬ女の声だった。

 その声がそれだけいうと、急に砂埃を伴った突風が舞い込んだ。腕で顔をかばいつつ、何が起こったのかと突風の強く吹き込んで小型の砂混じりの竜巻を見た。男たちを中心に吹きすさび、三人の体を包むや、まるで時間がそこだけ急速に加速しているかのように男たちはやつれ、シワが増え、徐々に徐々に風化していった。

 皮膚と骨だけの様相になり、服もぼろぼろとなり、突風がやんだころにはその場には男たちの姿はなく、ただ、乾いた茶色っぽい塊のみがその場に三つ残されているだけだった。


 あっという間の出来事だった。何が起こったのかわからず、ただただ呆然とその変化をみているだけだった。


 

 何をみつけたのかわからないがどう考えても嫌な予感にしか思えない。

 本当に何が目的だ?

 

 考えてもわからないし、なんていうか腑に落ちないことが多すぎる。

 だけど、ホンの少しだがみえてきたことはある。

 

 さっきの傭兵たちに関しては一応どの陣営にいたのかは密偵からの知らせで調べはついている。

 気にはなったので調べさせていたことのついでにでお願いしていたが・・・・


 エイル王側の兵だった。

 霧の竜の討伐に成功したところの。


 これについては結局のところそれ以上にいろいろとやらねばならないこともあったので、それだけに留めておいたのだが、もしかしたら、それ以上の何かを持っていた可能性もあったかもしれない。

 洗い直す必要があるかもしれない。


 また、考えようによってはあの魔物じみた王の考えにはもしかしたら本当に魔物が住み着いている可能性すらあるかもしれない。

 今の今までは一笑に付した内容だったかもしれないが、生まれて初めて見た人外の事柄にその思いを強くした。

 いや、それ以前に、そもそも霧の魔獣もいるのだからそういうことがあってもおかしくはない。


 結局、未だ、自分がいかに才気があるといわれていてもそれは人知の及ぶ範囲でのこと。

 それ以上の事柄が世界には満ちている。

 それを知っていくのはどきどきするものである。

 

 だが、今は、この不安を取り除くことが先決である。

 すぐさまにエイル陣営に密偵を多めに傾けて調べていくほうがいいかもしれない。


 


 そういえば、エイルが好戦的になったのはここ数年のことのように思える。

 もともと武辺の国家であったがそれが顕著になったのは現エイル王の治世になってからである。

 以前にあったのは森林官としての挨拶の際で五年も前になるがそのころはまだ周辺国家に攻め込んではいても一進一退でさほどの拡張は見られなかった。

 しかし、あってから数年後あたりから徐々に拡張がひどくなってきていた。

 そういえば、その攻め方に関しても大きな違いがあったように思える。

 以前であれば順序立ててから攻めて、絡めての慎重さで進み、それゆえに徐々に侵食していきつつもたまに後退したりしての繰り返しで確実に国を侵食していくようなやり方でもって行っていたのだが、その好戦的になったかなと思われる時期辺りから狂気のように兵を間断なく繰り出し、当たるを幸いに侵略していった。

 征服ではなく侵略である。

 略奪も増えていて傭兵もどんどん雇い入れているものだから各国も警戒が大きくなっている。

 にもかかわらず、エイルの侵攻はとどまることを知らず先日ガーランドが落ちることとなったわけだ。

 ガラセンナもそれに負けるなという形ではあるがあれはどことなく意地の張り合いに近いものでエイルほどの狂気は感じない。

 そもそもガラセンナが攻めていたフィルドリはせいぜい都市国家としてはほんとうに小国で、フィルドリの首都を落とせばもうそれ以外の都市は皆無というほどのものであるがガーランドは首都以外でも衛星都市や砦がいくつも点在している小国とは言えきちんとした防衛力をもった国だったはず。

 それでも落ちてしまい、今こうしてまた小競り合いを起こせるほどのものをもっているのだからどれほどのものかもうはっきりと肥大化してきていて一森林官では全貌がつかみづらくなってきているところがあった。


 エイルに何らかの軍が大きくなる要素があるとしか思えないほどの急成長ぶりである。

 これはヘタをすれば驚異である。

 公国も黙って見過ごせるほどではないかもしれない。

 もし、動き出すとすれば、どうなるか・・・・・


 出来る限りは戦争は回避したい。

 できなくばせめて大戦にまで発展はしないよう尽力せねばならない。

  

 

 ではどうするか。

 そこでさっきの男たちである。

 もしかしたら、エイル陣営の力の急成長ぶりに何かからくりがある可能性がある。

 そのあたり調べてみなくてはどうにもならぬというところか。


 今なら、まだあちらの軍の中に密偵がいるのだし、洗い出しも兼務しつつ本格的に増員して、エイル国そのものを見なくてはならないか。

 時間はかかるだろうが、撤収してまた戦争が始まることはないはず。

 少なくとも、あれだけの規模をすぐに動員するのは無理だろう。

 せいぜい、どれほど早くても国の距離や世上を見て、二週間というところか・・・・

 小規模であればもう少し早いかもしれないが同規模であればそんなところか。



 とにかくその間に、何を見つけたのか、また、見つけたとしてもこちらの自衛力をあげねばならないな。

 とりあえず、ラスには仕事も並行して修行してもらわないといけないな。

 仕事をしないとなると変に感づかれる可能性があるし、それにほかの人間の目があれば多少、なんとかなるだろう。

 

 今回の索敵で穴があったわけだからそれを埋めるための処置であはあるかな。

 十全ではないにしろないよりはいい。


 それに、ここに愛着がわけば、防衛戦術なども立てやすくなるだろうしその気にもなるはずだからな。



 私も、できる限り情報を仕入れてなんとかしてやるかな。

 


 今ここにいる友のために



 

 では、私も上に行って事と次第を伝えに行くか。

 

 忙しくなるなぁ。

 だが、ラスには私以上に、がんばってもらわないとな。


ここまで来て、それぞれにキャラ付けがだんだん固定してきたけど、ルネは全体を見渡して調えられる調停者、ミルエラは行かず後家の内心ちょい乙女な外見がっかりキャリアウーマン。ラスは大人な歳だけどどたばたなちょい少年感覚。

とりあえず、三人は確定してきたかなってところです。

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