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子連れ竜生録  作者: こるり
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*ミルエラ視点*    ミルエラの気構え

 ふぅ、なんていったらいいのかしら。

 

 私、焦りすぎていたのかもしれませんわ。

 歓迎の宴から時間を置いて、自分がしていた行動とラス様の様子を鑑みて。

 

 これといった反応がさっぱりありませんでしたもの。


 ラス様はほとんど村の代表の、お父様やおじさま達のはなしばかりに耳を傾けて私が何をお話しても上の空といった感じ。

 寧ろ、村の中の話を真剣に聞いていた様子でしたわ。

 

 とても真面目な方。


 そうなると、宴の席での私のとった行いもあまり勧められたものでもなかったかな。

 

 となれば、少し趣は変える必要があるのかもしれませんわね。

 

 ではどうするか。

 もともと、私は経理や相談事といった仕事ばかりして『仕事女』なんて揶揄までされていましたけど、でも、私の本領はそこにある。

 やっぱり、慣れないことして焦って何かをするのはよくないと、これまでもいろんな人にアドバイスしてきたわけだ。それが単に私にも当てはまるということ。


 で、あのまま媚を売っていくのはどうなのか。


 応えはなさそうだし、好みではないのかもしれない。

 ルネディク様も宴の席は極力出ない様子ですし、ラス様も同じタイプなのかもしれない。

 

 それなら、真面目な私を見てもらうのが一番かもしれない。

 

 かといって、このまま何もせず、交流もなくしてただ来るのを待つのは大馬鹿です。

 なら、私がラス様のそばにいられる、そして真面目な私を見てもらい、周りからもおかしいとは思われないようにするやり方で接していくのが一番なのかもしれない。

 

 そこで、考えついたのが担当になること。

 私も何度か移民の方々と面談して、適性に合った村の仕事を割り振ったことがある。

 とはいえ、この職務についているものはほかにもいるし、女性も何人かいる。

 皆年下で、結婚している人もいるけど、独り身の人も数人いる。

 移民になる場合、そことの関わりを根付かせるために深く関係を持とうとすることがある。

 ことに異性の場合はそのまま恋愛にまで発展してしまうことも度々あるし、前例がないわけではない。

 無論、基本的に同性で相手をするわけだけど、女性の多い村の、護衛ともなると女性が相手をせざるを得ない。

 そうして、捕まえて結婚してしまうケースというわけ。



 せっかく、わずかでも先んじてお互いを知る機会をもてた人ですもの。


 

 年下連中に捕まえさせてたまるものですか。

 そうなれば急いで、ラス様の担当としての立場をとるのが一番ですもの。

 そう思い、意を決してラス様がいるところに急行したわけです。

 もちろん独り身の女性の、しかも近いとは言え森の中への一人歩きは危険です。

 昔から私の護衛で側仕えしている人を何人か呼んで、理由を放してついてきてもらうことにしましたけど・・・・



 道中、どうして慈しみな眼差しを向けられるのか、首をひねり出したくなりますわ。

 まぁ、忙しいお父様よりも幼少から側仕えしている、この間、自分のところのヤギが産まれたと喜んでいたオルディと普段は息子さんと一緒に酒場の経営なんかをしてるけど、私が呼んだとき喜んでついてきてくれるヤハンですもの。

 実の娘みたいに私のことを見てくれているからとても頼りになる二人ですわ。

 でも、いつまでたっても「お嬢」っていわれるのだけは勘弁して欲しいですわ。


 子どもじゃありませんのに。


 まぁ、いいですわ。彼の前で恥ずかしい真似だけしなければそれでいいのですから。


 そうして、戦場が近くにあるので、それなりに危険かと思い二人についてきてもらったけど、何の危険もなく、無事にルネディク様のツリーハウスにつきましたわ。

 

 で、面接していこうと扉に立ち、深呼吸一回。


 扉をあけて声かけして・・・・

 もしかしたら声が震えていたかもしれないけど気にしない。



 そして、扉をあけたその先で



 ラス様がいらっしゃいました。

 



 ぽぅっとなってしまいましたわ。

 なんていうか、こうして扉を開けた先にラフなラス様が見られたのはまるで妻の出迎えを待っている夫のような・・・・



 あ、ちょっとトリップしてしまいましたわ。

 いけないいけない、私はデキる女デキる女・・・・・



 後ろで「お、お嬢、ここまで来たんですから頑張ってくださいよ」とか聞こえて慌てて恥ずかしがって怒ってみせた。

 何か変な顔をされたけど、嫌な感情は抱かれてはいない様子にほっとした。

 うん、気を引き締めるために歓迎会の時にはおろしていた髪もいつものように後ろで引き結んでいて、その髪の毛先にちょっと触れてからラス様に向かい合った。

 なんだかじっと見られているようで落ち着かなくなる。

 でも、とりあえず、ここにきたことをきちんと言わないと。



「えーと・・・で、どんな、御用なんでしょう?」



 ただ、一言でグラっときてしまう。

 おかしい、私ってこんなに恋焦がれてしまう癖があるのかしら?

 頭が真っ白になっちゃたけども・・・・うん、ちょっと気合い入れ直していかなくっちゃ。

 二三言葉を交わして、家の中へと入っていく。

 うん、ラス様に私がどれだけデキる女かしっかりとみてもらわなくっちゃね。



 アピール開始、よ☆(←ラス様へウィンク☆)



 ルネディク様も私の様子を見て気を利かせてくれたようだし頑張らなくっちゃね。

 ちょっとだけ、可愛らしさで悪態ついちゃったけど、


「こほん、気を取り直しまして、話をしていきまょう」


 ぐっと握りこぶしを作って彼のことをいろいろ聞き出しましょう。

 

 あ、ついでに適正もだけどね。


 

  

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