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子連れ竜生録  作者: こるり
31/48

~二十八里霧中~  客

 

「・・・ミルエラです。どうぞ入れて下さいませ」


 ルネが身構えつつ、自分が扉によって少しだけあけて、存在を確認すると半分だけ扉をあけた。

 うん、確かにミルエラさんだ。

 でも、どうしているんだろ?

 しかも今はけっこう遅いというか早いというか暗い時刻でなのに。


「あ、いえ、その・・・・・」


 なんかもじもじしだした。

 何か伝えることでもあるのか?


「お、お嬢、ここまで来たんですから頑張ってくださいよ」


 後ろでがっしりしたおじさんが声をかけてきた。

 その周りにて、同じくらいの年の別のおじさんがうんうんとうなずいていた。

 っていうか、お嬢?


「ちょ、ちょっと、こんなところでその呼び方はしないでっていったでしょ」


 少しそばかすのある顔を真っ赤にしてわたわたと慌てて言い募った。

 どうでもいいけど、後ろに引き結ばれているポニーが左右に揺れてなんとなく愛嬌があるように見えた。

 さっきの歓迎会のときは妙に強めの視線と時折ぶつぶつと呟いている姿に若干引き気味で、まぁ、敵意はないんだろうなってことで応対はしていたけど、それ以上に代表のおじさん連の話に集中していてあまり相手はしていなかった。

 そんなわけで改めてミルエラさんを見てみたけども、やっぱりこの年頃の女性の年齢ってわかりづらい。

 前世では『美魔女』とかいうのがいたし、そういうのを見たり聞いたりした経験もあって余計にわかりづらい。

 かといって「おいくつですか?」と女性に歳を聞くのはおそろしいものである。

 下手に聞いてしまってあとでアッパーカットでももらおうものならまずいことになるのだから。

 ただ、肌の起伏とか雰囲気から自分と同年代あたりかなって思っていいかもしれない。 

 けっこう自分設定しておけば応対も楽になるしね。

 下手なことは言わないしないは最低限マナーで。

 

「えーと・・・で、どんな、御用なんでしょう?」

 とりあえず、聞いてみるのが一番無難なところだろうな。

 我ながらひねりはないけど。

「あ、失礼しました。明日の職業体験についてのお話でちょっとお尋ねしたいことがありまして」

「は、はぁ」

 質問か何かかなぁ?まぁ、啖呵切っただけで自分の価値とか本意とかをあの人たちに見せたりとか、なんていうか面接めいたものはしてないし、そもそも書類審査的なものもしていないのだから、こうして真価とかそういうのを探りにきたのかなぁ?


 ただ、こんな暗い時間に?


 これって、あれか?水瓶の底を抜いて「さぁ、この水瓶にみずをいっぱいに張りなさい」って言われているような感じなのかな?


 いや、それとは違うか。

「そお、つきましては、中に入れていただけると有難いのですが」

 ああ、まぁ、こんなところで立ち話しているのもなんだしな。

 後ろを振り返ってルネと視線が合う。

 うん、いいみたい。

「なら、どうぞ」

 そう、扉をさらに開けて招き入れた。

 おじさんたちも無論一緒にいれようとしたのだが、


「いえ、お気になさらず」


 と、扉の両脇に陣取ってあぐらをかいた。

 門番っぽい感じであるし、腰をみたら、両刃の剣のようなもの鞘におさめてつけているので、彼女の護衛としてきたわけなのだろう。

 にしても、お嬢ってこととさっきからの言い方からするとわりと古くから仕えているって感じなのかな?

 一応、気に留めておいてあとで暖かいお茶でも持っていこう。

 あまり強く招いても返って失礼かもしれないから。



「で、どういうご用件でしょうか?」

 テーブルの上に乗っていた書類等は全部いつの間にか片付けられてお茶とお茶菓子が上にのっていた。

 あ、お茶というか、黒茶で、コーヒーに似たやつね。

 ちょっと味見したけどまるっきりコーヒーだったけども、まぁ、前世でも豆茶とかそういうのがあるわけだし、黒茶といってもいいのかな。

 緑茶というのはないんだそうな。

 紅茶はあるようだけども。

 おとと、脱線。

「はい、そのぉ、なんともうしましょうか」

 目線をしたに下げてちらちらとこちらを見る。

 ちなみにお互いテーブルに向い合わせになって椅子に腰掛けていわけだ。

 ヒィロちゃんはルネに抱っこを任せている。

 うん、なんかやたら慣れているようで、いいのだろうね。

 

 うん、くっついてるね・・・・うちの子だけどね。


 泣かれたら泣かれたで困るけども。

 にしてもなんかやたらちらちらと視線を向けてくるのはいいとしても、どうして下見たり横にいるルネみたりして落ち着かない様子なんだろ?


「ふむ、私は、どうやら座を外したほうがいいかもしれませんね」

 そういって、立ち上がり、自分が寝ていた寝室へと足を向けた。

「終わったら適当に呼んでくれ。ヒィロは私が見ているし、しっかりと仕事について話していてくれ。ただ、お茶のおかわりとかが自分で入れといてくれよ」

 それだけいって、ルネは引っ込んでいった。

 なんだろ、気をきかせたのか?

 ここ、ルネの家なのに。

 とはいえ、面接開始ともなるなら、話は別。

 誰かがいてとなるとただでさえ緊張する面接なのに、より一層、緊張してしまうし、それ以上にどうにもヒィロちゃんの存在で落ち着かなくなってしまうからね。

 起きたりしないかぐずったりしないかとかね。

 でもルネが見ていてくれているなら安心である。

 その間、ほっとしつつ、余裕をもって面接してこう。

「もう、ルネ様は・・・」

 なんかそんなこと考えていると急により一層、もじもじし始めたミルエラさん。

 え、なに?なんかあったの?

「えと・・・・」

 まぁ、もしもお手洗いとかだったらちょいとねぇ・・・・うん、ここは気にせず、言おうか。

「こほん、気を取り直しまして、話をしていきまょう」

 何やら気合を入れ直したか、テーブルの上においた手をぐっと握りしめて話し始めた。


 さて、面接、がんばろう☆


なぁんとなくだけど、ミルエラのCVを島津冴子様でいってるかなぁ・・・・


※追記:一文だけ文章をかえました。今後に響くことになりかねないので。

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