~二十六里霧中~ 実験開始してみて
ツリーハウスに戻るとそこには仁王立ちになって待っていたフィラさんがいた。
「もう、いつまでお散歩してらしたんですかぁ、ぷんぷん」
ほほをふくらませてぷんぷんとしている。
っていうか、擬音語がそのまま言葉に出てますけど。
まぁ、やたら、心配されていたのは確かだし、そのまま軽く怒られるにとどまるも甘んじた。
で、詳細をルネが語ると、軽くため息まではかれた。
「ルネ様がいれば、ムチャもなさらないかと思いましたが、足止め要員どもがいるせいで、変なことに・・・・・ラス様、もう少し、自制を覚えてくださいまし」
うん、自制。どうもちょっと猪突猛進してしまうきらいがある自分なのでその辺はどうにかしたほうがいいかもしれない。
勢いで物事決めてしまう節があることだし・・・・まぁ、いっかで済まされればいんだけども、でもふと、こうも全部やってしまうとなるとヒィロちゃんとの時間が少なくなることも冷静になってみて思い返し、さて、そのへんの折り合いをどうするか。
とにかく、いろいろとやれることをしっかり把握して、それを使いこなせるようにしよ。
まずはそれからかな。
ちなみに、今更仕事キャンセルは頭にはありません。
やれること、しっかりこなして、がんばりましょ。
それに全部見て回れるメリットとして自分の向き不向きに見合ったものを見られる事なんだから。
プラスに物事考えましょ。
そんなわけで特訓めいたことをそのあとは昼過ぎになって開始することになった。
実際帰ってきたのが昼を越えてしまっていたわけで、昼食も歓迎会用のご飯をルネがちょっともらってきていたようでそれですませることとなり、それ以降はなんかとんとん拍子で物事が進んでいった。
フィラさんは掃除も洗濯も、あと、晩御飯と明日の朝ごはんの用意までしてくれていて、それが終わってから自分に一言二言。「とぉにぃかぁくぅ、イメージしていくことが大事だそうですしぃ、しっかりとがんばってくださいませぇ☆」
そういうと、家をすたすたと出て行った。
まぁ、今朝も早くから来てくれていたわけだし、時間制の家政婦さんみたいなものかな。
あのお年でネコミミフリル付きメイドは自分的にはちょっといただけないけども・・・・
近くに住んでるのか出て行ったあと、ルネに聞いてみるが、
「いや、どこに住んでいるかはわからないんだ。以前、自分の家で働いてくれた誼もあってきてくれているようなんだが、どこに滞在しているのかは話してくれなくてな」
とのこと。
まぁ、元気にしているようだし、童話なんかではよく老婆が山の中にいるお話はおおいからなんらかの家をもっているんでしょうね。
もっとも、大半のお話は魔女だったり鬼だったりだけども・・・・
いっか。
話してくれる気があれば話してくれるだろうし。
とにかく今は目先のことを率先しないと。
昼食後にてルネにヒィロちゃんを見てもらいつつ一緒に外に出てもらって自分が今やることを見てもらう。
まずは、変身。
今、着ているルネと同じ民族衣装を別の衣装へと。
ふわりとした感覚。衣擦れの音がさらりとした。
とりあえず、イメージしたのは昨日来ていた、パーカーにジーンズの格好。
ちなみに変身時、光のおまけがついたけど、それを今度は抑え目で。
ヒィロちゃんがいることだし、ルネを驚かせるのもなんだしね。
それにそういうのも調整できるのならやっておくにこしたことはなし。
で、軽く集中して・・・・
さらっとできた。
その瞬間をみたルネは驚きに目を見開いていた。
まぁ、それは自分にとって想定内。
あと、霧になること。
これはヒィロちゃんが感情発露の際にやっていたから、それをイメージして・・・・
すると、自分の体がどんどんぼやけていって、目の前が真っ白に。
って、何も見えなくなるのはまずいまず。
目を見開いて全体を見通す感じでいかなくちゃ。
そう強く思うと、急に視界がぐわっと上にあがり、まるで幽体離脱でもしたか遊園地の一気に高くなるアトラクションにのったようなそんな視界の上昇に襲われた。
いきなりなことに頭に情報が追いつかず、乗り物酔いのような見酔いが襲ってきた。
吐き気がして昼に食べたものがリバースしそうな感じになったけどなんとかこらえて、目をこらした。
そこには、空から下をみたような光景があった。
真下で一固まりになった白いもやと手を前に出して慌てているルネの姿があった。
また、ツリーハウスも見えるし、その周りの森も見える。
というか、辺り一帯を見下ろしている感じである。
今、高度として周りの木々よりもちょっと高めの位置に自分の目線があるようだ。
きょろりと周りをみてそんな感じである。
ただ、かくいう自分の姿だが、視界の中には一切ない。
手も足も見下ろしても何もない。
なんていうか目だけが空を飛んでいるような感じである。
とりあえず、下へ戻ろうと、今度はゆっくりめに下降するイメージで霧の中へと戻る。
うん、霧の中はまっしろ。
視界だけ飛ばすことはできないかな・・・・・
とにかく、試せることは全て試してみよう。
自分にはゲームやアニメや本で得た歴史・雑学知識があるんだし、イメージすることなら人一倍負けない自信がある。
その上で実験を行ってやれることやれないことを検証していこう。
・・・・・
・・・・
・・・
そんなわけで、夕方になるまで自分の思いつく限りやれることは何かを実験し、検証し、繰り返し繰り返しで頑張ってみた。
結果として、どれもやればやるほど感度はよくなるようだし、威力もあがるが使い続けていないと精度も威力も上がらない様だった。
まぁ、当然か。
ゲームで言えば経験値みたいなものだし、それがなければレベルアップも望めないのだから。
それにどれほど能力値が高くても初見でできることは限られてるし、それで全てができるようになれば何の苦労もいらないだろう。
あと、探す面白みもないし、新しいことをみつけようとする意欲もなくなるからね。
それにこれで全てを把握したとは思っていない。
まだ、できることはあるかもしれない。
様々な分野の技術だって、日本の水準も江戸と平成とでは大きな開きがあるがその頃にはその頃の限界の水準だったわけで日々日進月歩だったわけだ。
いろんな試行錯誤の上で成り立っていたわけだ。
まぁ、自分にも自衛策もいくつかできるようになったわけだし、小ワザだけどなんとななるだろう。
詳しいことは今後にするとして、今は、俯瞰で見られる索敵地図を常に出せるように練習していって自然に描けるようになったことに満足するとしましょう。
これ、けっこう集中力を使うけど、慣れればどうってことはないし、何よりも応用範囲が広いのがありがたい。
何せ、索敵ということで特定の人物を広い範囲で見分けられるのがありがたい。
とりあえず、今のところは半径100m以内であれば常時見分けがなんとかつけられる。それを超えると途端にぼんやりとなってしまってわからなくなるが、それでもないよりはいい。
前以外でなく後ろもわかるのだから。
そして、ヒィロちゃんに関してのみだが、相当離れても今どんな状態かわかるし、つながっているようにすることが可能になった。
つながるイメージはGPSの感覚とでもいうのか、ヒィロちゃんは考えようによっては自分と同じ霧の魔獣としての素体をしているわけだから同じ波長でもってそれにのみピントを合わせるようにすればどれほど離れていてもどんな状態かわかるといった寸法である。
どのくらい離れたらいいのかはまだ検証してみないとわからないが実験時では一キロほど歩数から鑑みてで離れてみた結果である。
その際に、自分自身の体が引っ張られて痛みはないが違和感は感じていた。
もしかしたら、自分の体の体積によるものなのかもしれない。
それでも、おそらくこの世界にはまだ概念としてない原子核の小ささであれば自分の体積からでも相当の長さは保持できるはず。
そもそも実験からわかったことだけど、今の自分の体はほんとうにどんなものにも変化可能であること。
それゆえに、どれほど細くしても一つとしてつながることができるわけだ。
今後仕事となるとヒィロちゃんと離れることが多くなるのは必然。
そのため、子どもGPSは特にこの世界において治安機構がしっかりしているかと問われると微妙なところがある。
だからこそ、この繋がっていられることは大切である。
とにかく、今はこれだけできるということを自分の脳内でまとめてみた。あとで、いらない紙とかルネからもらってペンでまとめよ。
ちなみにルネとヒィロだが・・・・
自分がいろいろ行っている間、なんかたくさん遊ばせていてくれたようで、抱っこも様になっているし、うきゃうきゃとルネの顔を小さな手で笑いながら叩いている。
ルネはルネでにこやかにそれを応対していて、時折頭をなでてうあったりして・・・・・
うん、ジェラシーなんかしてないんだからね!!!!
仲良きことはいいこといいことと自分に言い聞かせながら、家の中へと入っていった。
無論、ルネには「ありがとな」といって、ヒィロちゃんをこっちに戻してもらうことは忘れずに。
明日の配信は仕事の関係で午後になります。




